ドイツの正統派オーケストラとして高い人気を誇るベルリン交響楽団が、2018年以来となる来日公演を行う。2002年から定期的に日本を訪れている同楽団だが、コロナ禍以降はそれもストップ。その間に、元ベルリン・フィルの首席オーボエ奏者であるハンスイェルク・シェレンベルガー氏が新たな指揮者に就任するという大きな転機を迎えた。来日経験も多く、2013年度から今年の3月末まで岡山フィルハーモニック管弦楽団の首席指揮者も務めたシェレンベルガー氏は、現在の音楽活動を「とても充実しています」と話す。
「首席指揮者に就任した後、ベルリンのフィルハーモニーホールで素晴らしい定期演奏会を開催し、音楽生活を続けています。また、ベルリンの様々な場所で、いわゆる〝文学コンサート〟を開催したり、シューベルトの序曲と『Laharpe á Paris』というタイトルのハープ協奏曲を収録したCDを2枚リリースしました。昨年の夏には、ベルリン近郊のラインスベルク音楽祭でスメタナのオペラ『売られた花嫁-Dieverkaufte Braut』を数回演奏する機会も。このように非常に充実した内容でベルリン交響楽団と共に演奏活動ができることを光栄に思っています」
そんなシェレンベルガー氏に、コロナ禍をどう過ごしたか尋ねてみると、このような答えが返ってきた。
「パンデミック期は音楽家としての活動を中断させられ、私にとっても非常に困難な時期でした。しかし、岡山のホテルで14日間隔離された後、ささやかな形ですが日本でも音楽愛好家の方々のために音楽を届けられる事が出来ました。私のモチベーションは、常に素晴らしい音楽への愛情と共にあります。それを、今音楽を聴きたくても聴く機会を持てず苦しんでいる方々や、大きな困難を抱えている方へすぐにでも届けたいと思っています」
今回は、東京などいくつかの公演でピアノにフジコ・ヘミングを迎えることも話題の1つ。
「彼女と演奏する機会は今回が初めてで、とても楽しみです。一緒に素晴らしい音楽を奏でられると信じています」
まさしく夢の共演、大注目のプログラムと言えるだろう。
「東京芸術劇場という素晴らしいホールで演奏できることは、私たち自身にとっても非常に光栄なことです。6月に皆様と会場でお会いできるのを楽しみにしています」
(取材・文:西本 勲 撮影:三浦興一)
プロフィール
ハンスイェルク・シェレンベルガー
1948年生まれ。13歳からオーボエを始め、1971年にケルン放送交響楽団のオーボエ奏者に。1977年よりカラヤン指揮のベルリン・フィルにエキストラとして参加するようになり、1980年1月から2001年夏まで同楽団のソロ・オーボエ奏者を務める。退団後は指揮者、ソリストとしての仕事を中心に活躍。2013年度から2023年3月末まで、岡山フィルハーモニック管弦楽団の首席指揮者に就任した。また、3年に1度開かれる国際オーボエコンクール・東京の審査委員長を1994年から務めている。
ベルリン交響楽団
母体となるベルリン・シンフォニー・オーケストラとドイツ・シンフォニー・オーケストラが1966年に合併。1989年、ベルリンの壁崩壊を経て現在の名称に。2002年の初来日からこれまでに9度来日しており、各地でソールドアウトを果たすなど人気を博している。
公演情報
ベルリン交響楽団 with フジコ・ヘミング
日:2023年6月15日(木)19:00開演(18:00開場)
場:東京芸術劇場 コンサートホール
料:SS席15,000円 S席12,000円 A席10,000円 B席8,000円(全席指定・税込)
HP:https://sunrisetokyo.com/
問:サンライズプロモーション東京 tel.0570-00-3337(平日12:00~15:00)