トム・プロジェクトが届ける初の青春群像劇 高校コーラス部を舞台にそれぞれの葛藤と再生を描く

トム・プロジェクトが届ける初の青春群像劇 高校コーラス部を舞台にそれぞれの葛藤と再生を描く

 様々なジャンルの出演者たちで描く、舞台『ソングマン~翔べ!三ツ矢高校・男子コーラス部~』が3月に岩手と東京にて上演される。
 本作は、100本を超える創作劇を上演し続けたトム・プロジェクト初の青春群像劇になっている。作・演出には、なるせゆうせい氏を24年ぶりに迎え、さらにU-25(25歳以下)とシニア料金を設定するなど、新たなエンターテインメント作品をめざす意欲作だ。
 演劇集団キャラメルボックスの多田直人演じる神崎ヨージが、コーラス部の顧問に就任したことから始まる生徒達との交流と、それを取り巻く大人たちの葛藤を音楽にのせてドラマチックに描いていく。作品を代表して、高校コーラス部のメンバー・佐藤祐吾、佐藤智広、石賀和輝に話を聞いた。

どの世代でも楽しめる作品に

―――皆さんは高校生役を演じますが、公開されている映像からも楽しさが伝わって参りました。撮影はいかがでしたか?

佐藤祐吾(以下・祐吾)「撮影の時には仮台本をいただいていたので、それを読んで役もなんとなくわかっていて、そのイメージで撮影したので凄くスムーズに終わった印象でした。他の方はチラシで初めて拝見して個性的な方々ばかりで楽しみです」

―――おでこ全開がお久しぶりです。

祐吾「あははは! 参考写真がおでこを出していて、僕はおでこが狭いのでこの仕上がりです(笑)この髪型はビジュアルのみでレアかもしれません」

石賀「僕はステージに出た瞬間からわかるキャラの雰囲気があって、本番の衣裳がどうなるかまだ分かりませんが、撮影の時は長ランの内側が赤で存在感が既にあり、髪型も気合が入っています! 普段の自分とは真逆の役どころなので普通に楽しみですね。意外と長ランが似合っていると思いました(笑)」

佐藤智広(以下・智広)「この歳で学生服を着られるのはこの仕事の特権ですよね。お話も青春もので、撮影の時からこれはいい作品になりそうだな、どの世代でも楽しめるんじゃないかと手応えを感じていましたね」

―――学校にもよりますが、コーラス部の勝手なイメージとして、空調の良い部屋で大会に向けて練習しているちょっとエリートなイメージがあります。皆さんはどちらかと言えば運動部系ですが、コーラス部にどんなイメージをお持ちでしたか?

祐吾「全国大会を目指す部であれば厳しそうですけど、僕の学校の文化部はまず部員に男子がいない女子だけで、男子がいたとしても幽霊部員みたいな。帰宅部がない学校だったので今回のお話と似ていますが、そういう人たちは吹奏楽部とかに入っていて、ちゃんとやってない人たちが名前だけ在籍しているみたいなイメージはありましたね」

石賀「僕はコーラス部が存在する学校に通っていなかったのでイメージでしかないですけど、やっぱり勉強ができる人が集まっていて、おしとやかな人が多いイメージだったので、この『ソングマン』のキャラクターたちがいるコーラス部は僕の想像とは真逆の印象でした」

智広「僕も学生時代はコーラス部が無くて、合唱部や吹奏楽部はあったのでそのイメージで言うと、ほぼ運動部と変わらない運動量で活動しているんじゃないかなと。歌には肺活量が必要だからランニングをしたりとか文化部でも体力を使う印象があって、あとオフシーズンがないイメージですね。
 野球やサッカー、バスケットも冬は基本的に体育館で活動するのですが、オフシーズン中もずっと集中している落ち着いた人達のイメージがありますね」

コーラス部、注目の楽曲はオリジナル曲!

―――そんなそれぞれのイメージがあるコーラス部ですが、本作では皆へっぽこ部員とのことで、役どころについて教えてください。
 祐吾さんが演じる井野中拓人(いのなか・たくと)役は、親の影響で音楽に囲まれて育ったエリートですが、田舎に転校後は音楽に触れる機会もなくモヤモヤ中の役どころです。

祐吾「本人はめちゃくちゃやる気満々で実力もあるのに、転校して来たら歌う場所がコーラス部しかない。仕方なく在籍しているけど、コーラス部のレベルが低くてモヤモヤ。他の部員を見下しているような、僕の中で1番嫌なやつだなって思っていますね。稽古はこれからですが、僕が唄う歌から逆算して拓人を作っていけたら、脚本のなるせさんの思ったキャラクターに近づけるのかなと思っています」

―――そして智広さんが演じる河合アタル役は、とある理由でコーラス部に入部している、ちょっと繊細な役どころです。

智広「本を読んでいる時点からその人のキャラクターが入ってくるように書いてくださってるので、あとは固め過ぎずに稽古に臨まないといけないなと。考えすぎちゃうとアタルの性格に対して失礼になっちゃう部分があるなと思っていて、稽古で皆さんと会話しながら作っていきたいです。
 自分との共通点として、何か決めてもすぐ行動に起こせず時間がかかってしまうところは似ているかもしれません。アタルの明るさはそのままにやりすぎずに、青春という物語のピースとしていれたらいいなって思っています」

―――石賀さん演じる戸狩慎之助(とがり・しんのすけ)は、孤独な不良でクセのある役どころです。

石賀「すごく真っ直ぐな奴だなと感じています。こういうキャラクターって一見嫌われそうですが、最終的にそうならないようにと今の段階では思っていて(笑)、愛されるキャラクターとして演じられたら。
 自分に似ているところは、目の前にあるものに対してこれだって思ったものに突き進むところは近いのかな。あと僕は怒鳴ったりするタイプじゃないのですが、戸狩は怒鳴るような荒っぽいシーンがあるので、それが気になっています。自分の地元のイメージですが、やんちゃしてる人ほど根はいい奴という印象があって、そういう自分の経験を役に生かしていけたらと思っています」

―――コーラス部の物語なので、歌がメインかと思うと実はそうでもなく、観る人それぞれの心に刺さる人間模様も見どころですね。

祐吾「年齢が割と高いカンパニーなんです。生徒たちは実年齢で言うと先生たちの年齢ですし、このストーリーの軸として、生徒側の悩みと大人達の悩みがあって、だからこそ幅広い年齢層が楽しめる作品になっています。
 僕たちは大人たちの悩みを知りつつも演じるのは高校生で、それは経験しているからわかることだと思うので、経験した人たちが高校生を演じてどう見せていくか、どう描いていくかが役者としての1つの課題でもあります。やっぱり悩んでいる瞬間はわからなかったことなので、わかった風にならないように新鮮に演じていきたいですね」

石賀「ビジュアルからも、何故このメンバーがコーラス部を一緒にやっているんだろうと思いますよね。それぞれの関係性が大事になってくると思うので、それぞれの関わりや会話、ささいなやり取りだったりとか、セリフがない時もお芝居が大事になってくると思っています。特にこの作品はそういう空気感があるんだろうなと。学生の時は空気感で伝わることがあったので、そういうものを短い稽古期間でどれだけ作れるか、それをこの作品で出して、それを見つけてもらえたら嬉しいです」

智広「お客様にも青春して欲しいです。学生の時は青春だなんて思わず青春してると思うんです。ただ退屈だとかスレてみたり、それが大人になってあれが青春だったんだとわかる。戻りたい時もあれば、今の方が楽しいと思う時もあって、それが青春ですよね。
 舞台を観にいらっしゃる年齢層は学生の方よりも、その時代を超えてきた方々が多いと思うんです。物語の中に自分を投影して観てもらえたら面白いんじゃないかなと思っています。もちろん現役で学生の方は、ツッコんだり共感したり考えてもらえたら。コーラス部のお話ですが会話劇でもあるので、1つ1つのセリフとか気にして観ていただいて、心に何かが残る作品になったら嬉しいです」

歌の良さや楽しさが詰まっている作品です

―――この物語は「自身の再生」もテーマになっています。それにちなんで2023年、今年こそ頑張りたい事を教えてください。

祐吾「やりたい事があるとすぐにやってしまうタイプなのですが、『ソングマン』では歌がキーワードで、ボイトレとかをやらないといけないと思っています。最近はどのお仕事でも歌が必須なので、苦手な所を向上していけたらと。それを今年頑張りたいですね」

智広「僕は……今年こそ着ない服を捨てる断捨離……?」

一同「(爆笑)」

祐吾「年末やってなかったらやんないと思う(笑)」

智広「あはははは! 身軽になって身体づくりを頑張りたいです!
 今舞台を中心に活動していますが、役者は動けるのが当たり前みたいな感じになってきているんです。アクロバットができないなんて言いたくないので、まずは身体づくりをしないと。この技をやらなきゃいけない役が来た時、身体ができているか否かで、できるようになる期間も違いますよね。
 あとは個人的にスーツとか服が大好きなので、それをカッコよく着こなすには(見栄えの良い)身体があった方がいいと思うんです。いつでも準備万端でいたいです」

石賀「僕は今年、海外旅行に行きたいでけたらいいなと思いますね。韓国とタイ、アジア系です。
 韓国はミュージカルや作品を観に行きたいと思っています。配信作品をたくさん見るようになって、韓国の方の芝居がすごいなと改めて思って、韓国エンタメを生で体験したいですね。タイは遊びに行きたいです!」

―――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

祐吾「共演者は初めましての方が多い中でも、ちらほら共演したことがある方もいらして、特に舞羽美海さんは素晴らしい歌を聞いているので、個人的にも素敵な歌が楽しみですし皆さんも期待してください! 舞羽さんと同じ舞台で歌うんですよ(笑)。またいろんなジャンルの音楽も聴けそうですがミュージカルではない青春物語です。気軽にいらしていただけたらと思います」

石賀「僕も過去に共演した事がある方が2人いらして、桑野晃輔さんと松村龍之介さんの芝居がとても熱いんです。この僕のビジュアルで負けられないと思っていて、そこは一生懸命頑張って熱いものを出してぶつかっていきたいです。それぞれのキャラクターが良い化学反応を起こして面白い作品になると思うので期待して足を運んでもらえたら嬉しいです」

智広「今回、岩手公演がありまして、しかも一関文化センターがある駅は、僕の地元なんです。そういうこともあり色々な想いと気合いが入っています。歌の良さや楽しさが詰まっているので、お客様には楽しかったと思って帰ってもらえたら1番嬉しいので、そんな作品を作りたいです。頑張ります!」

(取材・文&撮影:谷中理音)

プロフィール

佐藤祐吾(さとう・ゆうご)
1994年8月29日生まれ、埼玉県出身。声優や俳優として活躍中。代表作に、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 木更津淳亮役、『僕のヒーローアカデミア』The “Ultra” Stageシリーズ 上鳴電気役、舞台『鬼滅の刃』シリーズ 嘴平伊之助役、アニメ『遊☆戯☆王SEVENS』加山シュベール役など。

佐藤智広(さとう・ともひろ)
1995年4月20日生まれ、岩手県出身。演劇パフォーマンスユニット「六三四」のメンバーとしても活躍中。主な作品に、ミュージカル『忍たま乱太郎』シリーズ 尾浜勘右衛門役、舞台『男おいらん』シリーズ、2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ【ツキステ。】シリーズ、舞台『ヲタクに恋は難しい』などがある。

石賀和輝(いしが・かずき)
1996年5月13日生まれ、大阪府出身。「アミューズオーディションフェス2014」ファイナリスト。舞台を中心に、ドラマや映画で活動中。主な出演作に、ミュージカル『怪人と探偵』、オフブロードウェイ・ミュージカル『bare2020』、舞台『真夜中のオカルト公務員』、ブロードウェイ・ミュージカル『GLORY DAYS』など。

公演情報

トム・プロジェクト プロデュース
『ソングマン~翔べ!三ツ矢高校・男子コーラス部~』

日:2023年3月21日(火・祝)~26日(日)
場:こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
料:一般6,500円
  U-25[25歳以下]3,500円
  シニア[60歳以上]5,000円
  ※U-25・シニア券は団体のみ取扱/要身分証明書提示
  (全席指定・税込)
HP:https://www.tomproject.com
問:トム・プロジェクト
  tel.03-5371-1153(平日10:00~18:00)
※他、岩手公演(一関文化センターにて、3/19)あり。詳細・お問合せはこちらから

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