蜂巣和紀・古野あきほ・麻生金三からなるユニット“放課後ビアタイム”。抱腹絶倒の爆笑コントイベント・舞台を2017年より定期的に企画・開催しており、2022年10月には5年ぶりに行われた「黄金のコメディフェスティバル2022」で初出場にして最優秀賞・カンフェティ賞ほか多数を同時受賞する偉業を成し遂げた。
そんな同団体が、2023年2月に14次会『鬼はソト、俺はナカください。』を開催する。注目が集まる中だが、驕らず、あくまで自分たちと、そして何より観客が楽しく過ごせる空間を作り続ける3人に、改めて話を聞いた。
―――まずは“放課後ビアタイム”、『黄金のコメディフェスティバル2022』(コメフェス)カンフェティ賞受賞、おめでとうございます!
一同「ありがとうございます!」
―――カンフェティ賞どころか、今回最優秀賞も含めて、沢山の賞を同時受賞されており素晴らしいですね。2017年から活動されているということで、団体としても5周年。コメフェス自体が5年ぶりの開催でしたので、初出場ということですよね。それでこれだけの賞を受賞されるというのは、偉業だと思います。
蜂巣「いやぁ、とんでもないです。そうか、もう5年になるんですね……」
―――お三方が一緒に活動するようになったきっかけは?
蜂巣「たまたま次の月に出る予定だった仕事が何かの事情でなくなってしまった時に、『単発のイベントでもやってみようか』という話が僕と古野で出まして。そのタイミングで麻生からも一緒に何かやらないかという話があって『じゃあ3人で何かしよう!』となったのが始まりですね。
その時にコントとバラエティコーナーで1時間半くらいのイベントを実際にやって、思いの外、お客様から好評で次回以降もぜひという風にご要望をいただき……気がついたら14回も(笑)」
古野「気がついたらね(笑)」
―――すごいですね! 初歩的な、他でもおそらく聞かれそうなことをお伺いして恐縮ですが、“放課後ビアタイム”ということで、皆さんビールがお好きなのでしょうか?
蜂巣「そうですね、全員酒好きです(笑)」
古野「8年前くらいに蜂巣と私が共演した時、初めましての次の瞬間には飲みにいこっか?ってなりまして(笑)。2人で飲み放題の居酒屋で5時間くらい話して、意気投合して」
蜂巣「初対面の翌日にね。で、先ほどのイベントをやるってなった時は、もう突発的に組んだものだからユニット名も全然考えてなくて……で、お酒を飲みながら何にしようかって考えた時に、目の前のビールを見ながら……」
古野「これでいいんじゃん?って感じで」
麻生「正直、酔ったノリで決めました。こんなに続けられると思っていなかったので……。なので、名前に熱い想いはないです(笑)」
―――正直(笑)! “第〇回公演”ではなく“〇次会”と表現されているのにもビアタイムらしさがあると思うのですが、名前自体は突発的だったのですね。
麻生「お酒を愛しているのも本当ですけども。今後続くかも分からないし、飲み会のノリで、“1次会”でいいんじゃない?って始まって……次が14次会ですって」
古野「5次会くらいから、もう朝だねって言ってたのに……。一体何日間オールしてるんだって(笑)」
蜂巣「ちなみに最初にやった作品が学園モノだったので、それもあって“放課後”ってつけました。そしてもう2度と学園モノはやらないと思っていたんですが、今回は久しぶりにやります!」
―――では改めて今作について。放課後ビアタイム ~14次会~『鬼はソト、俺はナカください。』で上演される『初恋ショコラティエール』は、「黄金のコメディフェスティバル」で上演された『常夏ブライダル』の前日譚と伺っています。
蜂巣「そうなんです! コメフェスでやった作品はヒロイン・夏咲(なつみ)の結婚式の話なんですけど、その結婚する相手、旦那さんになる人との高校時代のお話です」
―――昨年の13次会『チョコで鼻血は出ないみたい』でも上演された演目ですが、前回は1日のみで中止になってしまったそうで……。
蜂巣「そうなんです。なので今回リベンジというか、1年越しに再演という形になります。いつもイベント全体のタイトルと、作品のタイトルがあるのでややこしいですよね。
そう、昨年は丁度バレンタイン直後の時期だったので『チョコで鼻血は出ないみたい』、今回は節分の時期になっちゃったので『鬼はソト、俺はナカください。』というタイトルがイベント全体としてはついています。自分で言いながら、何だよこのタイトルって感じですが(笑)」
古野「(小声で)2秒でつけたタイトル」
一同「(笑)」
―――再演とはいえ、大きくいうとキャストが変わるなど違いもあります。見所は?
麻生「そうですね、キャストが変わっているし、日替わりゲストさんも含めて今回初めてビアタイムに出てくださる方が多いので、新鮮かなと思います。今年(2022年)の公演を1度観てくださった方もやっぱりキャストが違うと全然違ってくるのでそこも楽しんでいただけるかなと思っています」
古野「普段、この2人(蜂巣・麻生)だけが男性キャストで、ゲストは女優陣を集めていたのですが、今回日替わりゲストで男性の俳優さんが2名いらっしゃるのが珍しいかなと」
蜂巣「全部で4人も男性がいるのはレアだね」
麻生「日替わりゲストのキャスト陣には先日の『黄金のコメディフェスティバル』にも一緒に出てくれたキャストもいるので、『コメフェス』で初めて僕たちビアタイムを知ってくださった方も楽しんでいただけるのかなと」
蜂巣「そして14次会までずっとコメディをやっているんですけど、初めての、純度100%のラブコメです!」
古野「確かに! キュン度高い! 『コメフェス』でやった『常夏ブライダル』はどちらかというと友情や家族愛の要素も強かったので……。今回の『初恋ショコラティエール』はだいぶピュアピュアな……」
蜂巣「ピュアピュア、キラキラです(笑)」
麻生「酒飲んでます(笑)?」
蜂巣「素面です(笑)。でもラブコメとはいったものの、『常夏ブライダル』も『初恋ショコラティエール』もどっちも夏咲の想い人、いわゆる相手役が出てこない話で……。言ってしまえば“桐島”という人物が実際には出てこない『桐島、部活辞めるってよ』(著・朝井リョウ)的な感じなんですよ」
―――なるほど! ヒーローはあえて不在ということで、夏咲の恋のお相手がどんな人なのか、妄想の余地がありますね。
古野「そう思っていただけるとありがたいのですが……。男キャラを出すとなるとこの2人(蜂巣・麻生)のどっちかになっちゃうからというのもあります(笑)」
麻生「僕らじゃちょっとね」
蜂巣「でも、イケメン俳優使うのも癪に障るので、相手役は出しません(笑)」
一同「(笑)」
古野「ムト(コウヨウ)さんと柏木(佑太)さんに失礼だよ!」
蜂巣「日替わり! 2人は日替わりだから(笑)!」
麻生「日替わりとはいえイケメンが出るのは本当に珍しいので。要チェックです」
―――ちなみに、皆さんご自身のバレンタインデーの思い出はありますか?
蜂巣「ないですね!!!」
―――食い気味に(笑)!
一同「(笑)」
蜂巣「全然ないです!」
古野「脚本家なのに(笑)」
麻生「でもやっぱり女子の方があるんじゃない?」
古野「そうですね……。小学生の頃にクラスで1番モテる子に友達と一緒にチョコを作って渡したら、その男の子が私の自宅までお母さんと一緒に来て、手作りのクッキーをお返ししてくれたんですよ。でもよく考えたらバレンタイン当日に、すぐお返しの手作りクッキーをもらったから、チョコをもらうこと前提で作っていたんだな、モテる子ってすごいなと……」
麻生「あ、ホワイトデーじゃなくて当日中に? 即レスじゃん!」
蜂巣「くそ~、世の中そんなヤツもいるのか……! 自分は中学・高校とも男子校だったんですよ。だからなーんにもなかったです」
麻生「男同士で友チョコはないか」
蜂巣「いや、もうみんなバレンタインの日なんて誰も意識してなくて、みんなラグビーやってたから(笑)」
―――近くの女子校や、共学校のところ行ってソワソワ……といったこともなかったですか?
蜂巣「いや、みんなひたすらラグビーに青春を捧げていました」
麻生「嘘だろ絶対、ラグビーなんかやったことないやろ」
古野「卓球でしょ?」
蜂巣「……正確には、俺が卓球やってる間、みんなはラグビーやってた(笑)」
麻生「何で嘘ついたの、自分がラグビーやってたみたいな(笑)」
蜂巣「言ってないから! 俺がやってたなんて言ってないから! みんなはラグビーやってた。俺は卓球(笑)」
麻生「びっくりした、聞いたことないもんラグビーの話なんて(笑)」
―――麻生さんはバレンタインの思い出は……?
麻生「もらったことはあるんですけど、食べた時に銀歯が外れて『うわ! 何か変なの入れられた!?』と思ったら、自分の銀歯だったっていう……思い出です。うん、まあ、あとは僕も青春時代はラグビーやってました」
一同「(笑)」
古野「絶対嘘じゃん(笑)」
―――『初恋ショコラティエール』は、あまり実体験は元にしていないということはよく分かりました(笑)。
合わせて行われるチーム対抗日替わりバトルも含めて楽しみなところですが、昨年の同公演が1日のみで中止になってしまったのも含め、長く続くコロナ禍で色々な苦境もあったかと思います。そんな中でも明るいコメディ作品を上演し続けてくださる“放課後ビアタイム”の皆さんですが、2023年の抱負や今後の展望はいかがですか?
蜂巣「来年は、2月にこの14次会があるほかに、今までは40〜50人が入るくらいのカフェスペース規模でやっていたんですけど、夏に劇場公演をやろうと思っています。15次会ですしね」
麻生「そうか、15次会。キリがいいですね」
―――ひとつ大きな挑戦になりそうですね。とはいえ、いつも通りの“放課後ビアタイム”らしい公演になるのでしょうか?
蜂巣「そうですね! 急に社会風刺シリアスとかやる? 72行くらいの独白から始まるやつ(笑)」
古野「お客様の度肝抜くようなやつ(笑)」
蜂巣「……というのは冗談で、いつも通りのハッピーなコメディをお届けします!」
―――楽しみにしています! では最後に、今回の2月の公演を観に来てくださるお客様に、一言ずつお願いします。
古野「『コメフェス』ではありがたい賞を沢山いただいて、今までは新しいことに挑戦するというよりは、今までやってきたことをどんどん面白くしていこうという感じだったんですけど、これをきっかけに新しいことにも挑戦していきたいと思っています。
“放課後ビアタイム”を応援してくださるファンの方々のことを“ビアタイマー”とお呼びしているのですが、“ビアタイマー”の皆さんには変わらずついてきてほしいし、新しくビアタイムのこと知ってくださった方にもこれから応援していただけるように、頑張っていきたいと思います!」
麻生「今、古野が言ってくれたことがもう本当に全てなのですが、お客様はもちろん、ゲストさん含めた出演者の方々がビアタイムの評判を広めてくださって、次回作に出たいですって言ってくださる役者さんがいるのも、とても嬉しく思っています。
演劇業界内でも輪を広げていくことで、より皆様に楽しんでもらえる公演が出来たらいいな、それがまた新しいお客様にも広がっていって、さらにでっかくなれたらなって思っているので、2023年も引き続き頑張りたいと思います」
蜂巣「これまでは現状維持で大きな挑戦はそこまでしてこなかったものの、『コメフェス』でいつもとは違う客層の方にも観ていただいたことは、ひとつの大きなきっかけになったと思っています。
もしかしたら今回の2月公演にも初めて来るお客様が沢山いるかもしれないし、いると嬉しいなと思っているのですが、今まで“放課後ビアタイム”はこうやってきたんだよっていう、変わらないビアタイムらしさもお見せしたいですね。『初恋ショコラティエール』は前回公演時にキャストにも大人気だった作品なので、自信もってお届けして、この夏に向けて盛り上げていけたらなと思っています」
(取材・文&撮影:通崎千穂(SrotaStage))
プロフィール
蜂巣和紀(はちす・かずき)
1988年7月26日生まれ、群馬県出身。Bobjack Theater所属。マルガリータ企画主宰。6歳の時、子役としてデビュー。舞台や映像を中心に活動し、現在は俳優業だけではなく、舞台やイベントのプロデュースや 脚本・演出・MCなど幅広く活動中。脚本では“毎秒笑えるコメディ”をスローガンに多くのコメディ作品を著している。「黄金のコメディフェスティバル2022」最優秀脚本賞・最優秀演出賞を受賞。
麻生金三(あそう・きんぞう)
1989年11月9日生まれ、神奈川県出身。劇団ドガドガプラス所属。「どこか憎めないバイプレイヤー」として数多くの舞台に出演。熱量や一風変わった役柄、時には繊細な芝居に定評がある。現在では俳優業の他、カメラマン・舞台制作・キャスティング等幅広く活動している。
古野あきほ(ふるの・あきほ)
1989年9月28日生まれ、埼玉県出身。13歳から演劇を始め、グラビア活動を経て、2013年に日テレジェニック2013を受賞。現在はフリーランスの女優・タレントとして、舞台を中心にバラエティ番組や映像作品出演など幅広く活動中。「黄金のコメディフェスティバル2022」では優秀俳優賞を受賞。
公演情報
放課後ビアタイム ~14次会~
『鬼はソト、俺はナカください。』
日:2023年2月3日(金)~5日(日)
場:ステージカフェ下北沢亭
料:4,500円(全席自由・1ドリンク込・税込)
HP:https://houkagobeertime.wixsite.com/houkagobeertime
問:放課後ビアタイム
mail:houkago.beer.time@gmail.com