慎ましやかな生活の中でも、そこにあるささやかな喜びを胸に生きる4姉妹の物語 世界中で永遠に愛されている名作に、劇団文化座の若手女優たちが挑む

慎ましやかな生活の中でも、そこにあるささやかな喜びを胸に生きる4姉妹の物語 世界中で永遠に愛されている名作に、劇団文化座の若手女優たちが挑む

 世界中の人々に永く愛されているルイザ・メイ・オルコットの名作『若草物語』。舞台でも数多く上演されてきたこの名作を、劇団文化座が2015年に57歳で早逝した文学座の高瀬久男による脚本、高瀬の先輩でもある西川信廣の演出で上演することとなった。劇団代表の佐々木愛によれば長いこと劇団の上演企画にあった作品で、文化座の俳優たちならどんな『若草物語』になるかと夢に見ていたのだという。今回主役の姉妹を任せることになった4人。長女メグ役の深沢樹、次女ジョー役の原田琴音、三女ベス役の神﨑七重、四女エイミー役の市川千紘に話を聞いた。

―――若草物語は4姉妹が主人公となる物語ですが、劇団内オーディションがあったそうですね。決まったときの気持ちを教えてください

深沢「オーディションの時から、4人の中なら長女のメグだろうと思っていました。役を頂けたのはとても嬉しいところですが、配役は予想通りでした」

原田「私も自分ならジョーかエイミー役だろうと思っていました。末っ子のエイミーかと思ったのは、劇団の中でも私が最年少ですから。結果としてジョー役でしたが、物語は彼女を中心に進んで行くので、少しプレッシャーも感じています」

神﨑「私はオーディションのときにちょっとやりきれなかった意識があったので、不安な気持ちでした。だからこそ発表されたときは嬉しかったですね。ベスもやりたかった役なので、さらに嬉しかったです」

市川「この数年の公演で、このメンバー内の組み合わせで舞台に立つことが多くて、仲良くなってきたこともあるので、この4人で決まった事は嬉しかったです。でも私はベス役を狙っていて(笑)。周囲の人にエイミー役だと話すと、役に合っていると言われるんです。台本を読んでみたら確かに自分に通じるところがあるなと思いました」

―――末っ子キャラということですか?

市川「実際に三人兄弟の末っ子なんです(笑)」

―――劇団でのキャリアも皆さん近いのでしょうか。

深沢「私と市川さんが入団4年目の同期です」

神﨑「私は3年目ですね」

原田「それで私が2年半(笑)。私は12月入団なので」

―――じゃあそこそこ近いですね。それならお互いのキャラクターもわかっていると思います。どんな4姉妹になりそうですか?

深沢「お姉ちゃん目線で見て、多少クセの強さはある4姉妹だと思います」

原田「いや、クセ者揃いでしかないでしょう(笑)。でも本番はおそらく上手くやれる、そんな自信みたいなものが持てる4人ですね」

神﨑「私には素敵な4姉妹になる確信しかないですね。王道の4姉妹ではないかもしれませんが」

市川「そうですね。先輩からも台本通りに演ってもダメだと言われます。まさにその通りで私達ならでは、そして文化座ならではの4姉妹を作りたいですね」

―――そんな四姉妹の姿を楽しみにしている皆さんに、一言頂けますか。

深沢「最近ちょっと世の中がすさんでいる気がしますが、そんな中で少しでも観る方の心が温まるような作品にしたいです。ご覧になった方が子供の頃を思い出してくれたら良いですね」

原田「今までの文化座は男性主体の芝居が多かったと思います。今回は私達4姉妹が主役なので、普段より華やかで明るい舞台になるのではないかと思っています。物語自身は異国の話で、しかも150年以上も昔に書かれたものなのに、現代の私達に通じるのも凄いですね。皆さんの心が少しでも晴れれば良いなと思います」

神﨑「確かに古い物語ですが、どんな時代でもこの4姉妹くらいの年頃で、多感な時期というのはあまり変わらないと思います。だからこそ読む人皆が共感するのでしょう。このお芝居でホッとする、安心するような舞台にしたいです」

市川「それこそ自分の親の世代。さらにその上の世代が親しんできた物語をあえて2022年に上演するのは、今を一生懸命に生きる人に刺さるようにという希望があるからだと思います。今一番新しい4姉妹の物語を観て頂きたいです」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

深沢 樹(ふかさわ・みき)
長野県出身。東京映画俳優&放送芸術専門学校を卒業後に劇団文学座付属研究所に入所。卒業後の2019年に入座。劇団公演の他、ミュージカル座『ひめゆり』、演劇集団アトリエエッジ『流れる雲よ2022』などの外部作品にも出演。歌とオーボエの演奏が得意。

原田琴音(はらだ・ことね)
東京都出身。幼少期から文化座に関わり、2007年に文化座創設メンバーである鈴木光枝追悼公演『瞽女さ、きてくんない』に子役で出演。2020年12月に入座し、同年の『炎の人』、2021年の『子供の時間』に出演。外部作品にも出演する。特技はクラシックバレエ。

神﨑七重(かんざき・ななえ)
千葉県出身。俳協演劇研究所、演劇集団円付属円・演劇研究所を卒業し2020年に入座。以降、『フライ,ダディ,フライ』、音楽劇『ハンナのかばん』、2021年『ビルマの竪琴』などに出演。ミャンマーの民族楽器サウン・ガウの演奏ができる。

市川千紘(いちかわ・ちひろ)
三重県出身。舞台芸術学院を卒業後に劇団文学座付属研究所に進み、その後2019年に入座。劇団公演『フライ,ダディ,フライ』、音楽劇『ハンナのかばん』、『子供の時間』に出演する他、外部出演として、甘噛み『ベタースイッチ』がある。歌と料理が得意。

公演情報

劇団文化座公演 161
『若草物語 ~小さな貴婦人たち~』

日:2022年10月14日(金)~23日(日)
場:東京芸術劇場 シアターウエスト
料:一般5,500円 Uシート4,000円
  30才以下4,000円 高校生以下3,000円
  ※Uシート・30才以下・高校生以下は文化座
   のみ取扱(全席指定・税込)
HP:http://www.bunkaza.com
問:劇団文化座
  tel.03-3828-2216(10:00~18:00 / 日祝休)

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