目を覚ますとそこは無人島。サバイバルの物語が始まる 守山カオリ&扇田賢のコンビが贈る、極限状況の人間ドラマ

目を覚ますとそこは無人島。サバイバルの物語が始まる 守山カオリ&扇田賢のコンビが贈る、極限状況の人間ドラマ

 リゾート船が座礁して、ある無人島に上陸することとなった12人の男女。救助のあても見えないまま、生存を賭けた物語が幕を開ける。
 ワンシチュエーションの会話劇から、アクション満載のファンタジーまで、幅広い作風で人気のENGが送る最新作は、無人島に流れ着いた人々によるサバイバルストーリー。今回は脚本と演出に劇団ボブジャックシアターの扇田賢と守山カオリを招き、これまでのENG作品とはひと味違う新作を送り出すという。総合プロデューサーの佐藤修幸。主演となる松木わかは。そしてボブジャックシアターから参加の丸山正吾に作品について語ってもらった。

―――まずプロデューサーの佐藤さんに伺いますが、今回の『S.O.S(エスオーエス)~save our souls~』、あらすじも含めてどんな作品でしょう。

佐藤「当初考えたのは『カイジ』や『イカゲーム』のような“デスゲームもの”でした。制限された環境に人が放り込まれて、生命の危険を感じたときは、人間の隠していた部分や本音が出やすくて、会話劇として作りやすいと思ったんです。そして今回はいつも一緒に作品を創っている作家ではなく、それ以外の方を考えたとき、ボブジャックシアターの脚本家、守山カオリさんと演出家の扇田賢さんが思い浮かんだんです。それで打合せをしていたら、だんだん話が無人島への漂流ものに変わっていきました。その時子供の頃に『15少年漂流記』が好きだったことがフラッシュバックしました」

―――守山さん、扇田さんとの作業は初めてですか?

佐藤「初めて、ですね。一度できなかった合同公演はありましたけど。コメディー・タッチでも最後はドキッとさせる。そんなところも好きですね」

―――松木さんは佐藤さんがプロデュースする舞台には沢山参加されていますね。今回主役にキャスティングされていますが、心境を聞かせてください。

松木「もう多くの作品に出ましたが、実は今回初主演なんです。でもそれ以上にオールスターメンバーの中で主演を張るということは相当なプレッシャーになっています」

佐藤「わかはとはもう10年くらいの付き合いで、実は一昨年主演をお願いしたいと思っていたのにコロナ禍で実現できなくて。でもその時主役を任せる話をTwitterでツイートしちゃった(笑)。だからようやく約束が果たせたかなと思います。
 まるちゃん(丸山)はボブジャックの公演をみせてもらい、その直後の『山茶花』で主演をお願いしたことがあります。観たことがあるようで観たことがない。そんなタイプの役者さんで、基礎能力や技術があって方法論も持っているのに、それを上回るパッションが出てきます。
 そして今回はボブジャックシアターの役者さんにはなるべく出てもらうことにしました。役者に個性があって面白いんですよ。例えばハッチ(蜂巣和紀)とかことりちゃん(小島ことり)なんかデスゲームものに出てきそうなキャラクターじゃないですか。無人島に流れ着いたときに、欲望に負けてしまうキャラクターは必要ですから」

丸山「オファーをもらうのは嬉しいですね。それにENGに出ることは俳優仲閒でもブランドになっていますから。毎回声をかけて頂きますが、今回も周りが好きな俳優ばかりで、それも嬉しいです」

―――ボブジャックのメンバーが沢山いますが、安心感はありますか。

丸山「そりゃあります。扇田さんや守山さんとは20年一緒にやっているので信頼もあります。むしろ佐藤さんが揃えたこれだけの達者なメンバーで、扇田さんがどう勝負するかが楽しみです」

松木「でも扇田さんの演出って凄く分かり易いので、困ることなく上手くやると思います。私も1度ボブジャックの公演に出ましたが、指示が本当に分かり易いんです。それを体現できるかは役者の問題ですから」

佐藤「何しろ無人島なので何が起こるか、そして何があるかわからないわけです。例えば無人島には図師光博さんが演じる先住民がいて、流れ着く死体の服を剥ぎ取ってスカートのように身に纏っているという設定なんです。その守山さんの発想が凄いなと」

丸山「守山さんって凄く暗い人なんです(笑)。暗く辛い話ばっかり書くのを扇田さんといお祭り野郎が明るく味付けするのがボブジャックの歪な魅力ですから」

―――稽古はこれからですが、今の時点でどんな舞台になるか、皆さんの気持ちを聞かせてください。

丸山「僕は無人島と聞いただけでワクワクします。テレビバラエティの無人島ものも好きで観ていますから。それだけにどんな作品になるか楽しみですが、ともかくメンバーが達者で面白い人が揃ってますし、それをどうやってまとめるんだろうとも思っています」

松木「そうですね、佐藤さんがこれだけ面白い人を沢山集めてくれたんで、もう私は頑張らなくて良いかと(笑)」

佐藤「ガンバレ(笑)」

松木「いや本当に豪華な大船に乗っている気分ですよ。お客さんが大いに笑って、最後にほろりするかもしれないし。楽しみにしていてください」

佐藤「世の中まだ大変な状況ですが、それに負けて勝負しないと消えてしまうと思うので、いつも以上に面白いものを作ろうと思います。何しろ今はその時々の状況で100パーセントができるかわかりませんから。でも良い稽古をして、それが本番で花開くようにしたいですね」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

松木わかは(まつぎ・わかは)
高知県出身。高校の演劇部で演劇に関わるようになり、2008年にDMF入団し劇団作品に出演。さらにENG作品にも数多く出演している。

丸山正吾(まるやま・しょうご)
静岡県出身。2001年から役者としての活動を開始。これまでに唐十郎(劇作家・演出家)、望月六郎(映画監督・演出家)、和栗正明(俳優・声優)、北見敏之(俳優)に師事。ボブジャックシアター、劇団ドガドガプラスに所属し、両劇団の看板俳優として活躍している。

佐藤修幸(さとう・のぶゆき)
東京都出身。高校時代、演劇部の顧問がみせてくれたサンシャインボーイズに感動して演劇に打ち込み、中央大学在学中に劇団DMFに参加。以後の劇団作品に出演する。そこから発展する形でプロデュースユニットENGを立ち上げ、プロデューサーとして多くの人気作品を贈りだしている。

公演情報

ENG 第16回公演『S.O.S ~save our souls ~』

日:2022年9月21日(水)~25日(日)
場:中目黒キンケロ・シアター
料:【劇場】S席[A ~ G列]6,500円
      A席[H ~ J列]5,500円
      (全席指定・税込)
  【配信】9/23[4カメ生配信]4,500円
      9/25[1カメ定点生配信]3,500円
      (税込)
    ※Confetti Streaming Theaterにて配信
HP:https://eng-age.site/sos/
問:ENG-AGE mail:dear.eng.info@gmail.com

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