ジャンプ黄金期の傑作アクション漫画『魁!!男塾』が初舞台化! “魁!!武田塾”開講!「塾生を稽古中から鍛えあげます」

 週刊少年ジャンプにて80年代に連載され、総発行部数は2700万部を超える大ヒットを記録した、宮下あきら氏による伝説の人気コミック『魁‼男塾』。少年たちを虜にし、アニメ化や映画化など様々な展開を経て、ついに初舞台化される。
 過激なスパルタ教育を施す私塾「男塾」を舞台に、そこに籍を置く塾生たちのコミカルな日常と友情、壮絶な死闘を描いていく。作品を代表して、脚本・演出家の田中大祐、剣桃太郎役の武子直輝、赤石剛次役の賀集利樹、江田島平八役の武田幸三に話を聞いた。

舞台化発表で大反響!

―――まず脚本・演出家の田中さんにお尋ねします。この作品との出会いはいつですか?

田中「小学校4年生くらいですかね、ジャンプでやばい漫画が始まったと大騒ぎになり、そこからどハマりしました。もちろん単行本は全て集めていましたし、少年心をくすぐる謎のうんちくや漢字だらけの必殺技に興奮していました。覇極流気張禱の奥義は今でも言えます(笑)」

―――「アクション」「ギャグ」「狂気」など、多くの要素を含んだ作品ですが、田中さんが思う作品の魅力について教えてください。

田中「原作の宮下先生ともお話させていただきましたが、先生が『次の週のことなど考えて描いていなかった』と仰っていて、だからこそ作品が異常なエネルギーを持っているんだなと思いました。ツッコミどころ満載ではあるんだけど、有無を言わせぬ迫力と想像を超える展開に惹きつけられます。他にも名言やキャラクターの魅力など、あげればキリがないです」

―――舞台化の発表で反響はいかがでしたか?

武子「僕の親父と叔父さんがド世代で、いつになくはしゃいでいましたね。何か発表があっても特に連絡とか来ないんですけど、『え? 桃やるの? ヤバいね』と。俺よりもテンションが上がっていたと思います。その世代のバイブルだったんだなあと再認識しました」

賀集「僕はジャンプも読んでアニメも見ていた世代なので、友達がすごく食いつきましたね。普段舞台に行くとか言わない友達が観に行くと(笑)。兄からは赤石の画像が送られてきまして、普段はそんなこと絶対しないのに。関西出身なので『関西で上演しないの?』と声も多くて、地方公演も行けるよう頑張りたいですね」

武田「僕もド世代ですね。ジャンプを授業中に回し読みしていました。どれだけ早く手に入れるかが僕らの課題で。前日夜に並んだ本をこっそり買っていたり、前日に手に入れた人はヒーローでした。(マネをして)みんなで闘う訳ですが、お前はあの役で、あれやれとかやっていました」

―――ちなみに武田さんは何役で?

武田「僕は主人公ですね。顔は違いますが(笑)。僕のまわりは舞台に縁がなく普段あまり舞台に興味を持たない体育会系の方々が多いですが、今回は大きな反響がありましたね」

どこまで本気でやって命を懸けるかが面白さに繋がっていく

―――演じるキャラクターについて、どんな印象を持っていますか?

武子「けっこうギャグ要素が強くて、ツッコみたくなるような場面が沢山出てくる中、意外と桃がコマにいないことが多くて、出てきたと思ったらサラッと流していて。意外にクールで、でも心にはものすごい熱いものがあるのかなあと、そんな印象がありました」

賀集「赤石は二号生筆頭役で、しかも原作の外伝で主人公になるような愛されているキャラクター。大切に演じたいと思います。ギャグっぽいところがすごくありますが、ギャグとは違う豪快なところを思いっきり真面目にやることが結果ギャグになるというか、思いきりやることを意識して良い作品にできたら。真面目に頑張りたいです」

武田「お二人が言った事と全く一緒ですが、塾長は本気でバカをやる筆頭です。どこまでまじめに、このいろんな事件をどこまで本気でやって命を懸けるかが面白さに繋がっていくではと。それの親分ですね」

賀集「ビジュアルが素晴らしい出来でしたよね!」

武子「凄かったです! めちゃくちゃそっくりでした」

武田「ああ良かった! 江田島はちょっとエラが張っててどこまで再現できるか頑張りました。頭もその場で剃ったんですけど、カミソリが無くてヒゲソリで剃りまして(笑)」

―――ポージングなどにもこだわって?

武田「塾長は腕を組む感じでしたね、お二人は色々あったのでは?」

賀集「何パターンかありましたね。僕は何でも真っ二つにする技を使うので、しかも刀がメチャクチャ重くて大変でしたが、出来上がりが楽しみです」

武子「僕も刀を持つ撮影が多かったですね。凄くカッコイイ長ランを着ました。その時、僕は別の役で痩せていたので、まだ桃になれてない!これは本気で鍛えないとダメだと思いました」

武田「1日8食…(ボソ)」

賀集・武子「8食!?」

武田「鍛えるには基本的にたんぱく質をずっと入れつづけて切らさない。筋肉の生成を常にしているイメージです」

武子「空いている時間に筋トレしながら間食、それで近づけるのであればやります!」

武田「ボディービルダーとかは、寝る時に目覚まし時計をかけて、夜中に起きてプロテインを入れてまた寝たりしますね。それをしないとこの身体はできないんです」

武子「すげ~~~」

賀集「もうまずは筋トレですね」

どうなる男塾名物!?

―――見どころについて、ゲスト企画など気になります。

田中「もちろん男塾名物はいろいろと再現します。日替わりゲスト枠は、二号生筆頭代理・江戸川先輩役で登場してもらう予定です。あとはやっぱりアクションシーン。飛燕役の金澤くんは武術太極拳の元アジアJr.チャンピオン、雷電役の長田くんは柔道元日本一だったり、自分自身も武田さんのジムでお世話になっていて格闘技は大好きなので、男塾の名に恥じないリアルなアクションシーンをお見せできればと思っています」

賀集「そうですよね、アクションシーンは見どころですね!」

―――キャストとして見どころや気になっているシーンは?

武子「桃としては、赤石とのある闘いで2人の間に友情が芽生えるところがバトルマンガとしては熱くて。メチャクチャ強い人が仲間になった感、口には出さないけど男同志、何か通じたあのシーンが好きです」

賀集「男塾という絶対的な序列がある中での先輩として、桃や一号生への教育があって、桃ともぶつかりがあります。男塾って敵だった人が味方になっていくのが魅力で、子供ながらにいいなって思っていたので、先輩として認めるような、そういう部分もちゃんと見せていけたらと。最近そういう役も多くなってきて自分もそんな年齢になったんだなって思ったりもしていて、若い子たちに頑張れよ!というメッセージも含めて先輩としてみせていけたら。
 と言いつつもイカレタ先輩ですが、それが面白いんですよね。気になるシーンは?と聞かれたら、いっぱいありますよね! 観に来る方も何をやってくれるのかと。油風呂とかの男塾名物も、本番でどうなるのか僕らも楽しみです」

武田「もう全部ですね。皆さんはアクションシーンがたくさんありますが、僕はないんですよ。しかも脱がないんです。強烈なキャラクター達を一言で締めなければならず、けっこうな場面で“わしが江田島平八である!!”と言います。このキメセリフが見どころになれば。皆さんが大活躍したあとに一言でどうやって締めていこうかと考えて演じていけたら」

―――喉のケアも大変そうです。

武田「そうなんです。1番デカイ声を出さないとですね。自分はジムもやっているので、そこで皆さんをトレーニングしてパンチやシャドーをレクチャーできたらと思っています」

――稽古から塾長ですね!

武田「ジムでは武田塾を開いていまして、罵声をあびせたりそういうレッスンもありますね」

賀集「なるほど! 塾長そのままですね」

武田「江田島は根本的にすごく愛があるんですよね。その方向が間違ってるけど全力でやるっていう」

賀集「逆に武田さんにキックされるなら、されたいですね」

武子「えええ!?」

―――以前の舞台作品で、気合いのキックをされていたというお話を聞きました。

武田「『ガムシャラエール』という舞台の時に、急遽本番中にアドリブで全員にタイキックを……(笑)」

一同「(爆笑)」

武子「塾長だったら成立しちゃいますよね」

賀集「今回もありそうですね」

武田「タイキックはあるようです!」

原作ファンも原作を知らない方も両方楽しめるように

―――脚本、演出として、こだわっていこうと思っていることは?

田中「自分自身が原作ドストライク世代なので、男塾独特の世界観は大切にしたい。あの狂気を舞台ならではのギミックでどこまで再現できるか。その上で、原作ファンも原作を知らない方も両方楽しめるようにどうバランスをとっていくかが課題です」

―――武子直輝さん、賀集利樹さん、武田幸三さんほか、キャストの印象や期待している事について教えてください。

田中「主演の武子くんは初めましてですが、涼しげなのに男臭い佇まいが剣桃太郎にピッタリだと思いました。賀集さんには座組の兄貴分としての存在感を期待しています。武田さんは何しろ塾長ですから、男塾ワールドのシンボルとして睨みをきかせて頂ければ。
 原作のエネルギーに負けない熱量を舞台上で見せてほしいですね。もちろん原作の肉感をそのまま再現するのは難しいとして、舞台だからこそできる表現方法があるはず。狂気とも言うべき男塾ワールド独特のロジックを体現してほしいです」

―――キャストの皆さんが楽しみにしていることは?

賀集「僕はキャストが男性しかいない現場が初めてで、どうなるのか楽しみですね。こんなに面白いキャラクターがいっぱいいる作品ですし、その中で個性の強い演者の皆さんが集まってのお芝居になると思うので、とにかくみんなが集まること、顔合わせが楽しみですね。台本は原作の世界そのままで読んだだけで面白くて、そのまま皆さんに伝えることができたら。あとは肉体ですね」

武子「これから稽古を経て筋肉がついてくると思うので、いまのイメージから本番までどう変化するのか楽しみです!」

武田「お任せください。稽古の度にトレーニングとしてアップと稽古後に両方やりましょう! 今回、キャストは昭和生まれが多くて年齢層が高いんですよね」

賀集「今回年齢もそうですが、いろんなジャンルの方も多いんです」

武子「今まで舞台を観た事がない方も楽しめる作品になると思います」

田中「男塾は究極の“男の園”です。熱い男のロマンや友情を、男女問わず楽しんでもらえたらと思っています」

武田「原作ファンの方に届くような熱量で塾長としてお客様へハートを届けたい想いもあります。塾生を稽古中から鍛えあげ、舞台の初日にまでにはキャラの様な身体に全員仕上げて皆さんの前にお届けすることを誓います」

賀集「あははは! 熱量を思いきり出さないといけない舞台になると思います。こういう時代だからこそ、この作品が活性剤になってくれたらいいなという想いです。この座組でみっちりと鍛え、それを全身全霊でお客様にお届けすることができたら」

武子「バトル漫画はいっぱいありますが、それの魁となった作品で、しかも初舞台化です。原作が大好きだった方々の期待に応えらえるように力を合わせて一同精一杯努力して、筋肉もモリモリつけて、稽古場でも武田塾生として頑張ります! ご来場された皆さんを男塾の世界に連れ込んで、熱量と男気で今の世の中の悪い空気を吹っ飛ばせたらいいなと思います!」

(取材・文&撮影:谷中理音)

プロフィール

武子直輝(たけし なおき)
1993年3月28日生まれ、東京都出身。2002年に子役としてデビュー後、CM・映画・ドラマなどで活躍中。近年は、映画『牙狼』シリーズ、ドラマ『ハンサムセンキョ』、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』シリーズ、舞台『刀剣乱舞』シリーズ、「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stageシリーズなど。9月にはイマーシブシアター『スタジオより愛をこめて』に出演。

賀集利樹(かしゅう としき)
1979年1月16日生まれ、兵庫県出身。『仮面ライダーアギト』の主演で俳優デビュー後、ドラマ『はぐれ刑事純情派』、NHK大河ドラマ『義経』、バラエティー「昼めし旅」、「朝だ!生です旅サラダ」などに出演。さらに演劇ユニット“かしこみかしこみ”を立ち上げるなど、活躍の幅を広げている。

武田幸三(たけだ こうぞう)
1972年12月27日生まれ、東京都出身。元ムエタイ世界チャンピオン、キックボクシング日本チャンピオン。“超合筋”の異名を持つキックボクシング界のレジェンド。ジム講師・俳優の2刀流で活躍中。近作に、映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱-』、劇場版『シグナル』、舞台『素敵なカミングアウト』などがある。

田中大祐(たなか・だいすけ)
1976年生まれ、東京都出身。脚本家・演出家・放送作家。2001年より放送作家として活動開始。バラエティー番組を中心にテレビ、ラジオの構成の他、芸人のライブ構成などを手がける。2011年に演劇ユニット気晴らしBOYZを旗揚げ、全作品の脚本・演出を担当している。テレビ・演劇・映画など、幅広いジャンルで活動中。近作に、舞台『ハイスクール!奇面組』、舞台『サルまん』などがある。

公演情報

舞台『魁!!男塾』

日:2022年10月7日(金)~11日(火)
場:渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
料:S席8,000円 A席6,500円 桟敷席6,500円
  (全席指定・税込)
HP:https://otokojuku2022.com/
問:気晴らしBOYZ
  mail:info.butai.otokojuku@gmail.com

インタビューカテゴリの最新記事