IBCの完全オリジナルバレエ『TOSCA』、遂にオーケストラによる全幕上演! バレエ『TOSCA』を、後世に受け継がれる作品に育てていきたい

IBCの完全オリジナルバレエ『TOSCA』、遂にオーケストラによる全幕上演! バレエ『TOSCA』を、後世に受け継がれる作品に育てていきたい

 今秋、井脇幸江率いるIwaki Ballet Companyが、オリジナルバレエ『TOSCA』全3幕をオーケストラ演奏とオペラ歌手の生歌(一部)で上演する。

井脇「昨年の初演では大きな充実感を味わいつつも、『もっとこうしたかった』という想いも膨らんできました。終演してすぐ、次の上演に向けて私と振付・演出を担当した高橋竜太君、音楽監修の井田勝大君とで改良すべき点を書き出したんです」

 カヴァラドッシ役を演じた安村圭太は、当時をこう振り返る。

安村「内容が少しずつ固まり、『いいものができそう』という手応えを得てからのチーム感、全員の熱量が高まっていったのが印象的でした。物語やキャラクターの感情の動きがジェットコースターのようで、一回通すと魂が抜けてしまうくらい(笑)。オペラでは歌詞で伝えるたくさんの情報を、踊りでどう伝えるか。普段のバレエにはない課題と向き合ったなと思います」

 ダンサーとしてのお互いの魅力を尋ねてみると……。

安村「幸江さんは、なんでも器用にこなせるマルチな方というイメージだったのですが、振付について悩むこともありました。でも次回のリハーサルでは消化しているので、努力家な面がみられてその人間らしい一面に、ホッとしたのを覚えています」

井脇「圭太君は“会話ができる人”。私がどう踊るか悩んでいたときも、『一緒に探していきましょう』と言ってくれて、パートナーとして信頼できると実感しました。若いですが落ち着いた雰囲気の持ち主で、委縮することなくフラットな関係を持とうとしてくれるのが嬉しいです」

安村「それは、幸江さん自身がフレンドリーな雰囲気でいてくださっているからだと思います!」

 今回もスカルピアを高岸直樹、アンジェロッティを梅澤紘貴、堂守を江本拓と、初演で好評を博したキャストが続投。作品にさらなる深みをもたらす。

安村「ストーリーバレエをクラシックの文法でいちから作る現場に立ち会えたのは、貴重な経験。『TOSCA』を後世に残っていく作品にする、その一助となれればと思います。公演を通じ、幸江さんたちバレエ界を盛り上げようとしている方々から、いろいろ学びたいですね」

井脇「人間には、年を重ねて熟成されていく面白みがあるんです。角度を変えて向き合ってみると体はまだまだ変わりますし、演技の面でもそう。圭太君についていって(笑)、新しい自分に出会えるのを楽しみにしています」

(取材・文:木下千寿 撮影:間野真由美)

プロフィール

井脇幸江(いわき・ゆきえ)
元東京バレエ団プリンシパル。在団中は『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』に主演する他、モーリス・ベジャール、イリ・キリアン、ジョン・ノイマイヤーなど世界的振付家の代表作を踊る。07年に井脇幸江バレエスタジオを創設。12年に東京バレエ団を退団後、「心身の美」を世界基準で追求することを目的にIwaki Ballet Companyを立ち上げ、現在もダンサーとして、またディレクターとして多角的な活動を続けている。

安村圭太(やすむら・けいた)
茨城県出身。3歳より渡辺洋子バレエ教室でバレエを始める。02年、上京とともに今村バレエスタジオに所属。今村昌子、穴吹淳などにクラシックバレエを師事するほか、白石詩子にコンテンポラリーダンス、小林春恵にキャラクターダンスを学ぶ。12年、谷桃子バレエ団に入団。21年、東京バレエ団にソリストとして入団。

公演情報

Iwaki Ballet Company TOSCA 全3幕

日:2022年10月1日(土)・2日(日)
場:新宿文化センター 大ホール
料:SS席11,000円 S席10,000円 A席7,000円 
  B席4000円 ※他、割引チケットあり。詳細は団体HPにて(全席指定・税込)
HP:https://ibc.yukie.net/ 
問:Iwaki Ballet Company tel.03-6274-8477

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