Kバレエカンパニーが紹介する新シリーズ。『K-BALLET Opto』発進! 《Petit(プティ)》をキーワードにした3作品で、ダンスの新たな楽しみを見つけたい

 我が国のバレエ界を牽引する大きな力の1つ、Kバレエカンパニーがこの秋、『K-BALLET Opto(オプト)』と呼ばれる新シリーズを始動させる。カンパニーの舞踊監督である渡辺レイの指揮の下、オリジナル作品をはじめとする気鋭の振付家による現代ダンス作品を披露するシリーズだ。オランダのNDTをはじめヨーロッパのいくつものカンパニーで活躍してきた渡辺は10年前の帰国後からは国内を拠点に活躍。3年前からはKバレエカンパニーの舞踊監督に就いている。

 「舞踊監督として3年間務めてきて得た経験がオプトの立ち上げにつながっています。Kバレエという古典バレエを極めたカンパニーにしか引出せないコンテンポラリーダンスの魅力があると思っています。ダンサーたちの普段見ることがない、新たな一面をご覧いただけるよう、私の海外での経験を思う存分伝えたいと思っています。ぜひ、皆さんに“まだ知らないK-BALLET”を劇場でご覧いただきたいです。」

 『プティ・コレクション』と題されたこの公演のために、フランス語で《小さな/あどけなさ》を意味する《Petit》をタイトルに掲げた3つの作品を渡辺は用意した。可愛らしさ(Petit)に潜む、強さ・美しさを表現するのが狙いだ。

 「メディ・ワレルスキーさんの『Petite Ceremonie』はもともとカナダのバレエ・ブリティッシュ・コロンビアに振り付けたレパートリーですが、割とクラシックのダンサーも取りかかりやすいかと思って選びました。それがきっかけで《Petit》をキーワードにしました」

 残り2作品は自身の新作と、昨今注目されている振付家・森優貴に依頼した新作だ。

 「1つは外国人の作品で決めていましたが、オプトのコンセプトに国内の作家や新進の作家にスポットを当てる、ということもあって森さんを選びました。彼もドイツのバレエ団で芸術監督として活躍する才能で、今回オプトの立ち上げとしては、経験値の高い方が適していると思ったのです。私の作品は、バロックの音楽に惹かれて調べると「歪んだ真珠」という意味があり、それをモチーフに小さなものの裏にある強さや、可愛らしさに潜む不完全な形を意識しました。ただ3作品を上演するのではなく、《Petit》というキーワードで相互に関連性を感じてもらえると思います」

 現代に生きる振付家の作品をクラシックバレエで実績を積んだK バレエカンパニーが紹介するのは実に意義深い。

 「コンテンポラリー作品になるべく触れて、違う世界観を観てもらいたいですし、心を動かしたいと思います。あまり恐れずに素のままで劇場で観て、それぞれの感じ方をしてもらえば良いなと思っています」

(取材・文:渡部晋也 撮影:岩田えり)

プロフィール

渡辺レイ(わたなべ・れい)
群馬県出身。山本禮子バレエ団にて山本禮子に師事。東京新聞全国舞踊コンクール第1 位受賞。1993 年にオランダのNDT(ネザーランド・ダンス・シアター)に入団。その後フランス、リヨン・オペラ座バレエ団やスウェーデン、ヨーテボリ・オペラ・バレエ団等で活躍の後にNDTに復帰して活躍。2005 年にスウェーデン、クルベルグバレエ団に移籍し、2006 年よりオランダを拠点にフリーランスダンサーとして活躍。2012 年以降日本を拠点として多くの作品に出演する他、後進の育成にあたっている。

公演情報

K-BALLET Opto プティ・コレクション “Petit Petit Petit!”

日:2022年9月30日(金)・10月1日(土)
場:KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉
料:S席9,000円 A席7,500円 B席[イス付立見席]3,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/22_opto_petit/
問:Bunkamura tel.03-3477-3244(10:00~18:00)

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