就職活動とオーディションの違い、役者という仕事を選んだ経緯とは? 松島勇之介&松田昇大がフレッシュな就活生に!

 『プロパガンダゲーム』(根本聡一郎・著)が2022年8月11日よりサンモールスタジオにて舞台化される。原作は2016年に電子書籍として出版され、Kindleランキングで初登場2位にランクイン、翌年には双葉文庫から出版された話題作。大手広告代理店“電央堂”の就職試験を勝ちあがった大学生8名が、最終選考の課題として“政府チーム”と“レジスタンスチーム”に分かれ、仮想国家の国民を戦争に導けるかどうかを競うゲームを行う。今回の舞台は実際にキャストも2チームに分かれての公演となる挑戦的な試みだ。今回は“政府チーム”で共に戦うことになる後藤正志役の松島勇之介、椎名瑞樹役の松田昇大の初対面の日に取材を行った。

―――『プロパガンダゲーム』の印象はいかがでしょうか?

松島「頭をフルに使う作品という印象です。自分たちは“政府チーム”ということで、広告や言葉の力で戦争を正当化する側になるので、難しいな……と思いますが、その分面白そうだなとも思いますね!」

松田「奇しくも“戦争”という話題がタイムリーでもあり、攻めた舞台になるなと思いました。あえて今、このご時世に上演させていただくことに意味がある作品になりそうだなと」

―――松島さんのおっしゃる通り、お二人は“政府チーム”ということで、国民に対して戦争の必要性を訴える側になりますが……一見不利な気がしますね。

松田「そうなんですよね。なので、発想の転換というか……自分の本心はともかく、気持ちの切り替えが必要だなと思います」

松島「就職活動の最終選考でこの話題をディベートさせるってすごいですよね。実際に自分が後藤の立場だったら、相当色々な葛藤があるだろうなと……」

松田「こんなお題が最終選考で来たら、この会社に入社して大丈夫かなってちょっと思っちゃうよね(笑)」

―――ちなみにお二人は就職活動をしたことは……?

松島・松田「ないです!」

松島「オーディションはありますけど、別物ですよね。僕らが受けるのは作品のオーディションがほとんどで、一生その作品に出続けるわけではないじゃないですか。でも就職活動ってこれから先、もしかしたら一生をかけてやる仕事に関わるものなので、全然違うだろうなと思います」

松田「自分の長所や、出来ることをアピールするっていう意味では似ているんですけど、オーディションは爪痕を残せたら受かる場合もあるし……」

松島「そう! その人の個性や、面白みが見せられたらね」

松田「未完成さや拙さを逆に評価してもらえる場合もあるんですよ。でも就活ってそうじゃないだろうから、厳しいよなと」

―――お二人は最初から役者志望だったのでしょうか?

松島「僕はもともと地元の福岡で活動していました。兄が2人いるんですが、カッコいいんですよ! 地元では2人ともよくスカウトされていて……それを子供のころにいいなぁと憧れていたんですね。僕はそういうことはないまま成長したのですが、高校を卒業したら上京して芸能のお仕事がやりたいな……なんて、漠然とそう思っていたタイミングでスカウトしていただいて。そこからダンス・歌・お芝居と経験を積ませていただいた中で、お芝居が1番好きで続けている感じです」

松田「僕の場合は高校卒業後の進路が決まっていなかった時に、とあるアーティストさんのライブを見て感化されて、東京に出てアイドルになりたいと思ったんですね。その後、専門学校に通いながらアイドル活動もして、ダンスや歌をやっていました。アイドルを辞めるタイミングで初舞台を経験して、そこから芝居にハマりました」

松島「経緯はちょっと違うけど、歌やダンスも経て最終的にお芝居にたどり着いたところは共通点だね!」

―――お二人とも優しい雰囲気ですが、自分と違う意見の人がいた時に議論して、説得するのは得意ですか?

松田「(松島さんに)得意そう」

松島「どうかなぁ? 学生時代には確かにリーダーシップをとる方ではあったんですよ。学級委員長をやったり、部活では副部長をやったり、体育祭では応援団長もやりました。だから説得出来ていたかは分からないけど、いつもみんなの意見をどうやったらまとめられるか、というのは考えていましたね。ひたすら褒めて伸ばすって感じでしたけど(笑)」

松田「僕も学級委員長でした! 生徒会も入っていたし、(役者になった経緯も含め)僕ら似ているところが多いかも!」

松島「本当に⁉ 嬉しい!」

松田「ただ、僕は“そこにいるだけのリーダー”でした……周りがなんとかしてくれるタイプで(笑)。人の意見をあんまり否定しないんですよね。あ、Aさんはこういう考えなんだ、Bさんはこういう考えなんだ、じゃあ話し合おっか!っていう。まとめるのは苦手かもしれません」

―――演じる役とご自身の性格は似ていますか?

松島「後藤は寡黙で、冗談が通じないタイプなので、真逆に近いですね。でも明確な野心があって、そのために努力する姿勢が好きだなと思います」

松田「僕はどうだろう……椎名は器用に立ち回ることが出来る人なので、似ていたらいいなとは思います(笑)。あとは与えられた状況を楽しめるタイプかなと感じたので、そこは似ているかもしれないですね」

―――お二人は何かを宣伝したり、SNSで告知したりするのは得意ですか?

松田「苦手です。周りからの見られ方がすごく気になっちゃう。あと自撮りも苦手で……よく事務所から怒られています(笑)」

松島「わかるわかる(笑)。でもSNSは大事だよね。僕、心理学的に毎日同じ人の顔を見続けるとその人のことが好きになっちゃうっていうのを聞いたことがあって……」

―――サブリミナル効果、のようなものですかね。

松島「あ、そうです! だから真顔でもいいから毎日自撮りは上げた方がいいんだろうなと思います。なかなか実践は出来ていないんですが……」

松田「舞台本番中、みんなで頑張りましょう(笑)」

―――最後に、お客様にメッセージをお願いします。

松島「このインタビューで語った通り、僕自身には就職活動の経験はないため、探り探りの役作りにはなりますが、物語自体がとても面白いので、そこに色を添えられるように頑張ります。2チームに分かれての公演になりますが、それぞれのチームの視点も楽しみつつ、ストーリーが繋がっている部分にもぜひ注目していただけたら嬉しいです」

松田「初めてこういった会話劇に出演させていただくので、僕自身もとても楽しみです。今回の劇場の距離感だと、息を飲む音まで聞こえて、まるでお客様自身も就活の最終面接に来たかのような臨場感が味わえるのではないかと思います。何かを持ち帰ってもらえる作品になったらなと思います。楽しみにしていてください!」

(取材・文&撮影:通崎千穂(SrotaStage))

プロフィール

松島勇之介(まつしま・ゆうのすけ)
1996年11月17日生まれ、福岡県出身。劇団番町ボーイズ☆のメンバー。主な出演作品にハイパープロジェション演劇『ハイキュー!!』シリーズ 宮侑役、ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage 大和祐大役、演劇調異譚『xxxHOLiC』百目鬼静役、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ 大包平役など。

松田昇大(まつだ・しょうた)
1996年1月5日生まれ、三重県出身。ダンス&ボーカルグループAMAZO NIGHTとして活動の後、現在は舞台を中心に活躍中。主な出演作品に『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- Rule the Stage -』シリーズ 山田二郎役、舞台『HELI-X』シリーズ シュンスイ役、『アマネ†ギムナジウム オンステージ』ゼップ・ジングフューゲル役など。

公演情報

舞台 プロパガンダゲーム

日:2022年8月11日(木・祝)~28日(日)
場:サンモールスタジオ
料:特典付き7,500円 一般6,800円
  (全席指定・税込)
HP:https://mmj-pro.co.jp/propaganda-game/
問:メディアミックス・ジャパン
  メディアミックス・ジャパンHP【https://www.mmj-pro.co.jp/contact/stage/】よりお問い合わせください


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