声優・岩田光央とイラストレーター・いしいのりえによるコラボユニット「カナタ」。絵本と朗
読劇を掛け合わせて、男女の赤裸々な恋愛模様を大胆に表現してきたが、今回はかなりの異色作だ。
岩田「最初は言葉が出ませんでしたね。僕らはずっと愛交物語を作ってきて、11年目からはもっと新しいチャレンジをしていこうと話し合ってきましたが、今回は初のファンタジーなんですから」
岩田が驚くのも無理はない。彼の本作での役柄は地縛霊だ。
いしい「岩田さんの役は、自分の魂と引き換えに奥さんと子どもの命を助けて地縛霊になります。その後は人と人との寿命の交換ができるようになり、噂を聞きつけた人が彼のいる祠に祈りにくるようになるんです」
生きていたくない人は寿命を差し出し、生きていたい人はその寿命を受け取ることができる――。病でオリンピックの夢を絶たれたフェンシング選手役の細谷佳正、岩田演じる父親を亡くし、生きる気力がもてない息子役の吉野裕行という3人が、命を巡る物語を描く。新しいジャンルに踏み込んだ理由を伺うと。
いしい「吉野くんと細谷さんというエッジのきいたゲストなので、今までにない温かみのあるお話を作りたいなと思ったのがひとつです。それに、今ってしんどい時代じゃないですか。コロナがあり、戦争も始まって……。真綿で首を絞められるような息苦しさをずっと味わってきて、みんな疲れていると思う
んです。何より私自身が生きづらさを感じています」
岩田「たぶん、生きることに対する意欲が減ってきている人たちが増えてきているんじゃないかな『人の役に立つなら俺の命を使えば』と言ってしまえるくらいに、自分の生きる意味が見出せていない。一方で、より良く生きていこうと努力しても、積み上げてきたものが病気などで一瞬で破壊されてしまうこともある。2人のキャラクターは、そんなやるせなさも表しているんじゃないでしょうか」
ともすれば無力感に苛まれる世界で、自分の命、そして相手の命とどう向き合っていくのか。カナタはそのヒントをくれるだろう。
いしい「生きにくい世の中ですが、少しでも希望が持てればと願いを込めて作りました。せめて観劇中は良い気分になってもらえたら嬉しいです」
岩田「いしいさんがこの作品に込めた思いをちゃんと昇華できるように、しっかり演出していきたいなと思っています」
(取材・文:いつか床子)
岩田光央さん
「嘘ですか、そうですね〜……
ワタクシ、身長が165cmと、もう何年もプロフィールなどで皆さんにお伝えしていますが……実は、3mm低くなりまして、正しくは164、7cmなんですぅ……
……嘘です。
本当は……な、7mmも縮んでしまいまして、本当の身長は164、3cmです!
もう嫌です! 歳を取るとマジで身長が縮むんですね。貴重な身長が7mmも縮みやがって! ちっくしょー。」
いしいのりえさん
「兄妹猫を飼っているのですが、兄猫はよくオヤツを食べたのに『食べていないよ』のウソをつきますね。食いしん坊なので。表情でわかるんです。でもそれをやられると『しょうがないなあ』とまたオヤツをあげてしまいます。親バカですね。」
プロフィール
岩田光央(いわた・みつお)
1967 年7 月31 日生まれ、埼玉県出身。教育映画『あすも夕やけ』に出演したことをきっかけに、小学5 年生から劇団こまどりに入団。1980 年、ドラマ『1年B組新八先生』に生徒役で出演し人気を博す。1983 年にドラマ『大草原の小さな家』の吹替で声優デビュー。その後は幅広いキャラクターを演じ分ける演技派俳優として活躍。主な出演アニメ作品に『AKIRA』金田正太郎役、『呪術廻戦』伊地知潔高役など。パーソナリティや音楽活動など、多彩に活動中。
いしいのりえ
1974 年10 月28 日生まれ、東京都出身。女性の美しさや柔らかさをイメージさせる、物語性を重視した女性を描くイラストレーター。著名官能小説作家の装幀も数多く手掛け、雑誌「an・an」のセックス特集イラストや神戸・新開地で行われている女性向け官能映画祭「新開地映画祭」メインビジュアルなどに起用されている。2010年に岩田光央との愛交物語ユニット「カナタ」を結成。脚本となる絵本の執筆、イラストを担当している。
公演情報
カナタpresents トライアングル『アイビー』
日:2022年5月14日(土)・15日(日)
場:ニッショーホール(旧ヤクルトホール)
料:8,000円(全席指定・税込)
HP:https://kanata-official.com/
問:サンライズプロモーション東京 tel.0570-00-3337(平日12:00~15:00)