クリスマスの風物詩として親しまれ、59年目の上演を迎える牧阿佐美バレヱ団の『くるみ割り人形』。金平糖の精はトリプルキャストで、うち上中穂香と今村のぞみが初主演を果たす。
上中「小さい頃から牧阿佐美バレヱ団の『くるみ割り人形』を観てきたので、この曲を聴くとクリスマスの季節が来たなと気持ちが高まります。入団して8年目ですが、今までは棒キャンディを踊ることが多く、主演と聞いた時はまさかと驚きました」
今村「去年は雪の女王に抜擢して頂き、とにかく丁寧に踊り切ろうと必死で挑みました。今年は主演ということで、より一層責任感を持って臨まなければと気を引き締めています」
王子役は水井駿介と石山陸で、その新鮮なパートナリングにも注目だ。上中「水井さんは私の弟と留学先のバレエ学校が一緒で、15年前からよく知る間柄。今回ペアと聞いた時は、びっくりだねと言い合いました(笑)」
今村「石山さんと組むのは初めて。凄く頼もしくリードしてくれるので、踊っていて安心感がありますね」 金平糖の精は夢の世界でクララを優しく導くお菓子の国の女王で、テクニックに加え表現力が求められる。
上中「金平糖の精は2幕しか出ないので、短い時間で存在感をどう見せるか。さらに細かいステップも多いのできちんと踊り切らなければならず、とても難しさを感じています」
今村「バリエーションが長く、それでいて大きな技を派手にみせる訳ではないので、繊細さが必要になる。そういう意味でも、やはり基礎を大切に踊らなければと思っています」
古典大作の主演という大舞台に挑む2人に、現在の心境を聞いた。
上中「今は踊れることがとにかく幸せ。沢山の方に喜んで頂き、続けてきて良かったなと思います。幕が開きスモークの中から金平糖の精が登場する、冒頭の場面でまずお客様を惹きつけたい。女王らしい魅力をいかに身につけるかを課題に、しっかり役と向き合えたらと考えています」
今村「大きな挑戦であるけれど、これがゴールではなく、一つのステップとして積み重ねていきたいという気持ちがあって。大切にしたいのは女王らしい輝きで、クララから憧れられるような存在を目指したい。そしてクララとお客様を非現実の世界にお連れできたらと思っています」
(取材・文:小野寺悦子 撮影:山本一人(平賀スクエア))
上中穂香さん
「今までハロウィンのイベントに参加したことはありませんが、様々な仮装をしてパーティするのは見ている分にも楽しいなと思います。この仮装をしてみたいという具体的なものはありませんが、やるなら誰だか分からないくらい思い切った仮装をしたいです(というよりかは誰か分かると恥ずかしいので……)。ハロウィンを楽しめる世の中に早くなってほしいです」
今村のぞみさん
「セーラームーンです! コスプレになってしまうかもしれませんが、小さい頃から大好きなので一度はやってみたいです。中々大人数でのイベントは厳しい世の中ですが、落ち着いたらみんなでハロウィンを楽しみたいです」
プロフィール
上中穂香(かみなか・ほのか)
神奈川県出身。小倉佐知子バレエスタジオ、A.M. ステューデンツ、牧阿佐美バレエ塾で学ぶ。第26 回ヨコハマコンペティション 3 位、第15 回NBA 全国バレエコンクール 3 位、第2 回ジャパンダンスコンペティション 1 位。2014 年牧阿佐美バレヱ団入団。これまでの主な出演作に、『白鳥の湖』(小4 羽/ パ・ド・カトル)、『くるみ割り人形』(コロンビーヌ/棒キャンディ)、『眠れる森の美女』宝石などがある。
今村のぞみ(いまむら・のぞみ)
神奈川県出身。飛沢バレエスクール、荒木小弓美バレエスタジオ、チャイコフスキー記念東京バレエ学校で学び、2018 年牧阿佐美バレヱ団入団。『くるみ割り人形』(雪の女王/ チャイナ/コロンビーヌ/ 花のワルツソリスト)、『眠れる森の美女』(水晶の泉の精/ 白猫)、『飛鳥』紫竜、『ライモンダ』グラン・パ・クラシック 他、入団以降牧阿佐美バレヱ団全ての公演に出演。
公演情報
牧阿佐美バレヱ団 くるみ割り人形
日:2021年12月25日(土)11:00/15:30開演
26日(日)14:00開演 ※開場は開演の1時間前
場:メルパルクホール
料:S席13,000円 A席10,000円
B席7,000円 C席4,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.ambt.jp
問:牧阿佐美バレヱ団
tel.03-3360-8251(10:00~18:00/土日祝休)