歌の力をもって奮い立つ戦士たちが、舞台狭しと駆け巡る 派手なアクションと、理解を超える手数の殺陣が炸裂

歌の力をもって奮い立つ戦士たちが、舞台狭しと駆け巡る 派手なアクションと、理解を超える手数の殺陣が炸裂

 例えば暗い夜道でどうにも心細くなった時、歌うことで気持ちを奮い立たせたことはないだろうか。野球やサッカーの試合で、スタンドから響いてくる歌声に選手たちが奮い立つ様子を目にしたことはないだろうか。そしてまた、途方もない寂しさや喪失感を歌が埋めてくれた経験はないだろうか。こんな風に歌には不思議な力が備わっている。
 劇団Charmを主宰し作・演出家として活躍する一方で、殺陣師としても数多くの舞台で指導をしている吉田健児による新作は、そんな歌の力がひとつのテーマになっている。舞台は群雄割拠する戦乱の世。その覇権争いを巡る物語になるという。
 作・演出であり殺陣やアクションの演出も手がける吉田と、主演を務める龍人、御寺ゆきの3人に話を聞いた。


―――この作品『蛮勇戦歌』は戦士たちの“歌”がキーワードになるようですね。

吉田「全くのオリジナル新作なのですが、舞台は戦国の世で、そこでは歌に想いを込めて力に変え、戦いの前に歌うことで自分たちを鼓舞して戦うという発想から生まれた作品です」

―――戦の時に武将たちが大声で行った“名乗り”みたいですね。

吉田「ええ、それに近いかもしれませんね。でもミュージカルではないので歌ってばかりではありませんけれど」

―――そしてこちらのお2人が主役ですね。

吉田「ええ、2人とも白桜家に仕える戦士なのですが、白桜家には元々百戦錬磨の10人の家臣がいるのですが、この2人はその座を目指して成り上がっていく、ひとつの成長物語なんです」

―――そんな主役を演じるお2人の抱負を伺いましょう。

龍人「実は単独での主演は初めてなので、すごい緊張とプレッシャーを感じています。でもそれに囚われずにひとりの役者として一歩ずつ積み重ね、さらにその上で周囲も見ていきたいです。
 僕は結構漫画が好きで、中でもバトルアクションものが大好きなんですが、この作品はそういった要素が随所にちりばめられているので、台本を読んでいても情景も浮かんできてワクワクしています。特に歌うシーンは演出でどう表現されるのかが楽しみです」

御寺「まずどこまでアクションが入ってくるのかがまだわからないのですが、おそらく私もアクションシーンはあるんですよね」

吉田「はい。滅茶滅茶入ります(笑)」

御寺「ですよねえ。だからそこには力を入れていきたいと思います。私が演じる千尋は結構さばさばした性格のようなのですが、普段はヒロインタイプのキャラが多いので、今までと違ったキャラクターを演じることにワクワクしています」

―――御寺さんは美しすぎるマジシャンとしても知られていますが、この作品でマジック要素も入ってくるんでしょうか。

御寺「舞台でお芝居をする時はマジシャンであることは忘れて女優として挑んでます。でも入れるとしたら……(笑)」

吉田「ないない(笑)。御寺さんは殺陣のワークショップに参加頂いたとき、遊びで組み合ってみたんです。僕が目を見て向かい合うと男性でも結構びびってしまうんですが、彼女は大きく開いて見つめてくるんですね。物怖じしないというか、変わった方だな、と思いましたね」

御寺「そうだったんですか。でも吉田さんは向かい合うとすごい圧があるので、皆がびびってしまうのもわかります」

―――さらにグラビアのお仕事もされているわけですが、そもそもマジシャン経験があると、普通の女優さんやグラビアモデルの皆さんよりも舞台度胸がつきませんか?

御寺「そうですね。マジシャンのステージは自分で進行しないといけないので、責任とかプレッシャーがあって度胸はつきます」

龍人「こうして話しているのを聞いているだけでもしっかりした人だと思いますよ」

吉田「でも龍人くんもすごいですよ。彼が出ていたある舞台で、台詞が最後にひとつあるだけなのですが、それが幾重にも重なる感情の層を感じさせる一言でした。それを観ていた先輩たちが『あいつは売れるぞ』って感心していましたから。そしたら案の定売れちゃった(笑)」

龍人「そんなあ(笑)。ありがとうございます」

―――そういったユニークかつ突出した個性があるお2人を選んだ理由を聞かせて下さい。

吉田「ウチの作品には情熱がある役者さんに出てもらいたいと思っています。このお2人は内側に秘めた思いがすごく強い。そんな高い熱量で僕の作品を演じてもらいたいと思ってお願いすることにしました。素敵な2人です」

―――この作品は、人を勇気づけたり気合いを入れる歌がキーワードになっているようですが、主役のお2人にはそういった、特別な歌はありますか?

龍人「僕は自分が出演していたミュージカル『忍たま乱太郎』の『勇気100%』ですね。あの歌を聴くと本当に元気も出るし勇気ももらえるので、毎回オーディション前には聴いています。心の支えになっています」

御寺「特別な1曲はないですが、稽古に行くときなどには普段からチェックしている流行の曲から、テンションが上がる曲を選んで聴いています。洋楽も邦楽も聴きますが、どちらかといえば邦楽が多いですね。最近ならUruやあいみょん、Little Glee Monsterとかが好きです」

―――さっきも話題になりましたが、この作品は殺陣やアクション要素も盛り沢山なようですね。

吉田「ウチの作品は主演が結構大変なんです。なにしろ100手から150手をぶっ続けでやるという、変なことをするものですから。以前出演された俳優さんからも『いかれてる』と言われましたし(笑)」

―――ちょっと待って下さい。100手から150手というのは殺陣の話ですか?(笑)

吉田「はい、そうです」

―――おそらく刃を1回あわせると“1手”ということかと思いますが、例えば剣士が4~5人に囲まれて斬り合って全て倒す、というシーン。これで何手くらいになるのでしょう。

吉田「20手くらいですかね。だからウチのは大変なんです」

龍人「以前僕が観た舞台でもすごいことになっていて、俳優さんが普通に疲れていましたから。僕も頑張らないと」

吉田「でもやはり主演が沢山(刀を)振っている方が観ていて楽しいですし、その情熱や気合いは見所だと思います。それに龍人くんはアクロバットもできますから。それは活かしていきたいと思います」

―――そうですか。では最後に皆さんへのメッセージをお願いします。

御寺「この2年間つらい思いをした方は多いと思いますが、そんな方もエンターテインメントを通して少しでも気持ちが明るくなればいいなと思います。皆さんの活力になれば、との思いで舞台に挑みます」

龍人「役者として、皆さんに楽しんで頂くために全力を尽くしますが、この作品は我々のそういった熱量をストレートに感じてもらえそうな作品です。幕が開く頃は状況もきっと良くなっているでしょうから、この作品に圧倒された、良いものを観たと思って頂けるように頑張ります」

吉田「まず観て良かった、と思ってもらえる舞台を目指すことですね。それと今回は役者陣も多彩で、たとえば『真・三國無双 ~荊州争奪戦IF~』で関羽役だった松川大祐さんとか、吉本興業の芸人・初恋タローさん。さらにいつも支えてくれる常連組など、そういった役者一人ひとりを輝かせるのが自分の仕事ですから、そこもしっかりやっていきたいですね。是非ご覧下さい」

―――ありがとうございました。

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

龍人(りゅうと)
埼玉県出身。テレビドラマで活躍する岡田准一の姿に魅了されて俳優を志し、会社員と平行して俳優修業を積む。2016年に初舞台。これまでの主な出演作にミュージカル『忍たま乱太郎』第11弾、舞台『アイとアイザワ』、舞台『アリスインデッドリースクール少年』など。アクロバットも得意。また林業を営む祖父の影響もあってチェンソーを扱うことができる。

御寺ゆき(おでら・ゆき)
千葉県出身。マジシャンとしての修行を積み「美しすぎるマジシャン」として評判を呼ぶ。さらにグラビアアイドルとしての活動も展開。週刊誌の表紙やグラビアを飾った。また女優としても活躍し『水平線の歩き方』、『PERSONA5 the stage』などに出演。

吉田健児(よしだ・けんじ)
山形県出身。劇団Charmを主宰し、作・演出を担当する一方、殺陣師としても活躍。殺陣のワークショップも積極的に開催している。俳優としても映画『キングダム』、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』、『いぬやしき』やテレビドラマ『スニッファー スペシャル』、『名刺ゲーム』、『奥様は、取り扱い注意』、『コード・ブルー 3rd SEASON』などに出演。

公演情報

Charm vol.8『蛮勇戦歌』

日:2022年2月9日(水)~13日(日)
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:S席[特典付]8,000円
  A席6,000円 B席5,000円
  (全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/charmcharm2019
問:Charm mail:unitcharme@gmail.com

Advertisement

舞台・演劇カテゴリの最新記事