【稽古場レポート】中国版「ゴドーを待ちながら」 三人之会第三回公演『非常麻将』通し稽古写真を公開

【稽古場レポート】中国版「ゴドーを待ちながら」 三人之会第三回公演『非常麻将』通し稽古写真を公開

若手演出家・奥田知叡のもと、中国演劇や能を題材に領域横断型の舞台芸術作品を制作している演劇ユニット「三人之会」第三回公演の『非常麻将(フェイチャン・マージャン)』が7月31日(木)より東京・シアター・バビロンの流れのほとりにて、8月15日(金)より神奈川県立青少年センター スタジオHIKARIでそれぞれ上演。

とある中国のマンションの一室を舞台に、最後の麻雀を打つために集まる義兄弟たちによる会話心理劇で、変化する社会と時代への違和感を抱く文化大革命世代の中国人心理を巧みに描いた中国版「ゴドーを待ちながら」。

本作は2000年に北京で初演された現代中国演劇の名作で、日本では2001年と2003年に中国語(日本語字幕付き)で上演され、2004年には日本語訳が出版。今回初めて日本人キャスト&日本語での上演となる。開幕を直前に控え、稽古場取材を実施。通し稽古の様子をお届けする。

冒頭、演出及び上演台本を担当する奥田知叡より、本作の簡単なあらすじや時代背景などが説明される。1966~76年に中国で起こった「文化大革命」を体験した世代の物語ということもあり、中国の現代史に詳しくない人にとって、この解説は非常に有難い。

演出・上演台本の奥田知叡

説明が終わり、最後の麻雀をするために今井聡演じる老大(ロウダー)、牧凌平演じる老三(ロウサン)、谷津恒輝演じる老四(ロウスー)がマンションに入る。だが田中綸演じる老ニ(ロウアー)は現れない。きっと来るだろうし、いずれ連絡ぐらいはと楽観視するものの、一向に来ない老ニ。

老大(ロウダー)役の今井聡

老三(ロウサン)役の牧凌平

老四(ロウスー)役の谷津恒輝

3人は老ニが昨日どのように過ごしていたかを語り始めるものの、それぞれ食い違いが。そして3人を老ニは雀卓から少し離れたところから見守る。いないはずの老ニがそばにいるのに、3人は全く気付かない。

不思議な光景が続くと、3人の言動が徐々に変わっていき、ある男の発言で物語が一気に加速する。果たして老ニはマンションに現れるのか、そして最後の麻雀は無事に行われるのか。

冷静なまとめ役の老大、知的な老三、熱血漢のある老四の個性あるキャラクターを3人が熱演し、老二は劇中ほとんど無表情だが、常に3人に対して威圧する目線に注目。

また物語の所々に麻雀の役(和了した時の手牌の組み合わせ)の名前が登場する。麻雀はあくまで作品要素の一つで、「役の意味を理解しようと苦しむのではなく、それを語る俳優の表情・気持ちに注目してほしい」と演出家は語る。「ぜひ麻雀用語特有の音の響きを楽しんでほしい」とのことだ。

なお本作は三面舞台での上演となっており、俳優をメインに観劇したい方は中央、作品を俯瞰してみたい方は上手(中央客席から見て舞台の右側)、そして中国語版には登場しない「老二」に注目したい人は下手(中央客席から見て舞台の左側)の席をそれぞれおススメする。

(取材・文・撮影:冨岡弘行)

【あらすじ】
マンションの一室で、義兄弟である3人の男たちが雀卓を囲んでいる。今夜、最後の一局を打ち、麻雀から足を洗って明日からまともな人生を歩む約束をしている。しかし、最後の一人(老二)がやってこない。苛立ちを紛らわせるかのように、昨日の老二について語るが、彼らの語る「老二」はどこか少しずつ食い違っていて……。

公演概要

三人之会第三回公演
『非常麻将(フェイチャン・マージャン)』

出演:今井聡/牧凌平/谷津恒輝/田中綸

作:李六乙
翻訳:飯塚容 菊池領子
演出・上演台本:奥田知叡
ドラマトゥルク:衛かもめ
美術:今子青佳

照明:伊藤セナ、蓮文、西条萌(以上、名前はない劇団)
音響:山崎哲也(テアトル・エコー)
舞台監督:倉本徹(倉本工房)
発声指導:新田恵
演出助手:三谷亮太郎(あくびがうつる)
宣伝美術:山崎稚葉(キンダースペース)
制作:奥田知叡、白江夏生み(踊場海月)
記録写真:飯名尚人 記録映像:楊承浩
制作補佐:吉田真夕

企画:奥田知叡
主催:三人之会、神奈川県【神奈川公演】
協力:あくびがうつる 踊場海月 倉本工房 テアトル・エコー
   キンダースペース 名前はない劇団
後援:公益社団法人 日本中国友好協会、国際交流基金【神奈川公演】
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団
   アーツカウンシル東京[スタートアップ助成]【東京公演】
   公益財団法人 全国税理士共栄会文化財団

【日程/会場】
《東京公演》
2025年7月31日(木)~8月4日(月) シアター・バビロンの流れのほとりにて
《神奈川公演》
2025年8月15日(金)~8月17日(日) スタジオHIKARI(神奈川県立 青少年センター内)
★アフタートークあり!詳細は公式HPよりご確認ください

【チケット】
応援チケット:6,000円(東京公演のみ)
当日:5,000円 
前売:4,000円
学生:3,000円 
高校生:1,500円(神奈川公演のみ)

【公式サイト】
●三人之会 HP:https://sites.google.com/view/sannninnkai/home
●三人之会 X:https://twitter.com/sannninnkai3
●三人之会 PODCAST:https://open.firstory.me/user/clt5vt42m0nik01wa31w71qjn
●三人之会 Note:https://note.com/sannninnkai3/

■お問い合わせ sannninnkai3@gmail.com

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