「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」生き残りをかけた自供合戦を繰り広げる密室ミステリー 舞台『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』稽古場レポート

原作・下村敦史の同名小説を、吉村卓也が脚本・演出を手がける舞台『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』が4月23日(水)より博品館劇場にて上演される。
出演は波岡一喜、天華えま、古幡亮(WATWING)/京典和玖[Wキャスト]、中村静香、反橋宗一郎、なだぎ武、仲田博喜。もうすぐ本番を迎える稽古場をレポートする。


物語は、社長室で社長が殺され、事件に関わる7人が、ある廃墟に集められるところから始まる。
やがてスピーカーから「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」と音声が流れ、
さらに「犯人以外は全員毒ガスで殺す」と脅してきた。
7人は生き残るために命をかけた“自供合戦”を繰り広げる。

この日に公開されたのは前半部分、密室を骨組みで表現した空間で通し稽古が行われていた。
7人は廃墟をさまよい疲れが見え始めた頃。被害者と加害者、一緒に過ごすことはあり得ない人間たちが同じ空間に閉じ込められ不穏な空気が充満していた。

波岡一喜が演じるのは記者の神嶋役。他の全員が恐怖と不安でいら立つ中でも冷静に様子をうかがい主導権を握っているように見える。冷たい視線と鋭い思考、一見クセが強そうだが、ふと存在を消してしまうミステリアスな役どころは波岡にピッタリハマっている。

殺された社長の妻で未亡人の加奈恵役を演じるのは中村静香。プライドが高い加奈恵は生き残ることに必死だ。われ先に自分のせいだと自供し社員を追いつめる姿が滑稽で面白い。

加奈恵と、遺体第一発見者で清掃員・林役の反橋宗一郎や社長の運転手・倉持役のなだぎ武との掛け合いは軽快だ。そうして本作の見どころ“自供合戦”がヒートアップしていく。

開発部・石和田役の古幡亮/京典和玖(Wキャスト)は、誰も知らない秘密を抱え、その秘密を自供することで自分が助かるのではないかと挙動不審。繊細な技術者役を体当たりで挑み、営業部長・⻯胆役の仲田博喜は、自供した彼らを犯人からひきづり降ろすため論破で追い詰める、敵に回したら厄介そうなキャラクターをクールに演じていた。

そして欠陥商品により父親を亡くしたと世間を騒がせている被害者遺族・夢子役の天華えまも、生き残るために驚くべき自供をはじめ密室はカオス化、自供と罵倒の掛け合いが繰り広げられていた。

一区切りついたところで、演出・吉村氏とのすり合わせが始まった。
「もっと疲労感、イライラ感を出そう」と役ごとに動きやタイミングの修正を伝え、違和感を細かくつぶしていく作業をサクサクと進める。役者たちはメモを取りつつ質問を投げかけていた。
中でも閉じ込められて16時間たっている設定から、吉村は
「極限状態からこそカオスが生まれる。犯人からひきづり落とす揚げ足取りのサスペンスがコメディに見えてしまっている」と指摘。
「焦りのカオスをコメディに寄せるのか、それとも俯瞰でみせるのか?どっちに寄せるのか?」
演出家と役者達が積極的に意見交換をしている姿が印象的だった。

この日の稽古では全容はわからず。彼らを廃墟に集めたのは誰なのか?そして生き残るのは誰なのか?結末は是非劇場で確認してほしい。

さらに今作では多数のアニメ作品の主題歌を手掛け、世界的に人気のロックバンド「FLOW」TAKEによる音楽にも注目が集まっている。初日と千秋楽の生配信も決定。キャスト達による日替わりアフタートークなど情報は公式サイトまで。

取材:谷中理音

公演概要

舞台「全員犯人、だけど被害者、しかも探偵」
日程:2025年4月23日 (水) 〜 2025年4月29日 (火・祝)
会場:博品館劇場
S席:11,000円(A列~H列 / キャスト選択制非売品ブロマイド付き)
A席:8,500円(I列~S列)
(全席指定・税込)※リピーター特典あり

【ストーリー】
「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」、全員犯人です!
社長室で社長が殺された。それに「関わる」メンバーが7人ある廃墟に集められる。
未亡人、記者、社員2人、運転手、清掃員、被害者遺族ーー。
やがて密室のスピーカーからある音声が流れる。
「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」。
犯人以外は全員毒ガスで殺す、と脅され、7人は命をかけた自供合戦を繰り広げるがーー。

初日・千穐楽公演の生配信が決定!!

過去のニュース記事はこちら

稽古場レポートや公演レポートを執筆&掲載します!
【お問合せ・お申込みはこちら

レポートカテゴリの最新記事