☆舞台写真あり☆【会見レポート】ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』待望の再々演。日生劇場で開幕!

ミュージカル界の巨匠、アンドリュー・ロイド=ウェバーによる『オペラ座の怪人』の10年後を描いたミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』

本作は2014年に日本初演を迎えミュージカルファンを熱狂させた。
2019年に再演、そして1月17日(金)、待望の再々演の幕が上がった。

開幕を数時間後に控える日生劇場で行われた会見にはファントムを演じる市村正親・石丸幹二・橋本さとし、クリスティーヌを演じる平原綾香・笹本玲奈・真彩希帆が登壇。作品への熱い思いを語った。

‐‐‐市村さんが『オペラ座の怪人』で初めてファントムを演じられてから37年。この作品では三度目のファントムですが、今回はずばりどんなファントムになりますでしょうか。

市村:僕は36歳で日生劇場でファントムとして生まれて。まさかその10年後のファントムがあるということを知らなくて、その役をやることになった時には運命を感じておりました。今回『ラブ・ネバー・ダイ』は再々演なんですけども、僕としては今回がもう最後の気持ちで1回1回を新鮮に、クリスティーヌとの良いセッションを皆様にお届けしたいなと思っております。

‐‐‐石丸さんは2019年より続投で、ファントム役でのご出演となります。お稽古を経て、改めて気づいた今作の魅力はありますでしょうか。

石丸:パリのオペラ座から今度はニューヨークに移動して、そこでファントムがまた苦悩している、そんなところから始まるこのストーリー。前回は初めて体験したときに、自分なりに表現したつもりだったんですけれども、表現しきれなかったなと悔いが残っておりました。今回また改めて色々なお話をして、ファントムに足りないのはきっと心変わりをしてしまうその堪え性のないところ。それは、愛というものを知らないからなんですよね。だから、愛を知らないファントムがどうやって愛に向き合っていくのか、それを今回課題にして取り組んでいきたいと思っております。

‐‐‐橋本さんは、以前「この作品を見た時からファントムをやりたいと思っていた」とお話されていましたが、いよいよ開幕します。率直な気持ちをお聞かせください。

橋本:めっちゃ緊張してます(笑)。再々演ということで稽古場のスピードが僕たち初出演組にとってかなりのスピード感で。ガシガシ稽古が進んでいくなか、先輩方のアドバイスとか背中を見ながら稽古を積み重ねていって、先輩方の背中を追いかけるように、がむしゃらに食らいつきながら稽古に挑んできました。やはりチケット代も同じ料金で見ていただくわけですし。そして、世界的にも歴史的にも有名な役柄であるファントムを、この自分にしかできないファントムとして本番を迎えたいなという気合は十分です。

‐‐‐平原さんは2014年にこの作品でミュージカルデビュー。今回で三度目の出演となりますが、平原さんにとってこの作品はどのような作品でしょうか。

平原:初めてミュージカルの舞台に立たせていただいたときは、お稽古場でも何がわからないかわからないという状態のままで、何を着ていいかもわからなくて。すごくお洒落して行ったらみんなお稽古着でした。すぐ脱ぎましたけど(笑)。それくらい本当にわからないことだらけだったんですけど、そのとき市村さんがいらっしゃって、演じることの尊さだったり、眼差し、どうやって心を伝えていくのかというのを、お稽古場だけじゃなくて舞台上でも教えてもらっているような気がして、ステージ上で涙が止まらなくなったこともあって、「あぁ、こうやって心を届けるんだ」って、それから自分の歌も変わってきたような気がしたんですね。実は昨年でミュージカルデビュー10周年を迎えて、あの時いじめられていたらここにいないと思うので(笑)、本当に感謝しておりますし、私にとっても再々演ということでこのクリスティーヌを演じるということが楽しみで楽しみで仕方ありませんでした。まだ幕が上がっていないのに再演はいつだろうって思うくらい。市村さんが今回最後かもしれないって、もうそんなこと言わないでください!

市村:はい…(笑)

平原:本当にこの愛の深さというのをミュージカルから知ることができましたし、今日は阪神淡路大震災でみんな命について考える日だと思うんですけど、本当に『ラブ・ネバー・ダイ』もそうで、大切な人を失った悲しみに海の底にぐーっと沈んでしまうような感覚があったんですけど、その深さを知ることで愛の深さ、どれだけ自分が愛していたのかを知ることができたので、『ラブ・ネバー・ダイ』というのはそれくらい深い作品だと思います。それほど愛している作品なので、最高の幕開けになるよう頑張りますので、引き続き私たちを応援していただけたらと思います。

市村:30年前ね、僕神戸にいたんだよ。ホテルの20何階でね。こうして元気でいるってことは不死身なんだなって、ファントムなんだなって。

平原:そうですね(笑)

市村:あれから30年、頑張りましょ。

‐‐‐笹本さんは初演ではメグ・ジリー役でのご出演、今回はクリスティーヌ役でのご出演。稽古を終えた今、どのようなクリスティーヌを演じたいと思っていますか?

笹本:初演ではメグ・ジリーとして平原さんのクリスティーヌと一緒に舞台に立たせていただいて。当時私は、まさにクリスティーヌという状態で舞台に立つ方が日本にいるんだ!って本当に心から驚いたんですね。いつも『愛は死なず』のシーンを袖から見ていて、役作りのこともあって、メグとして「なにくそ!その声が私にもほしい!」という気持ちでずっと平原さんのことを見ていたんですけど(笑)、今回は私がクリスティーヌを演じるということで、メグたちにそういう風に思ってもらえるように頑張らなきゃなと思って稽古してきました。ファントムのお三方も三人三様で魅力も受け取るものも本当に違うので、お稽古中はすごく楽しくて。本番でも素晴らしいファントムの皆様から色々なものを受けながらお芝居していけたらなと思っております。

‐‐‐アンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽に魅力を感じているという真彩さん。お稽古を経て改めて感じた魅力はありますか?

真彩:楽曲が本当に素晴らしくて、自分が出ていない場面でも本当にうっとりしてしまうというか、聞いていて胸がざわざわするというか、動くものがいっぱいあっていいなと思っているのと、やはり歌っている人によって聞こえてくるものだったりとか、感じるものが全然違うところがお稽古が始まって色々な方の歌を聞いたりして思ったことですね。改めて劇場に来て、音の響きだったりオーケストラの繊細な音を聞くと、魔法の世界にいるようだなと思っている今です。

‐‐‐今回が3回目の出演となる市村さんと平原さん。3回目だからこそ意識した部分、挑戦した部分があったら教えてください。

市村:1回目も2回目も同じ気持ちなんですよね。別に3回目だからどうのではなく、今日は今まで稽古してきて、これから始まる『ラブ・ネバー・ダイ』をゼロから生きていく。そして最後のブリッジの上まで生き抜くだけのことで、特別にああでもないこうでもないというよりは、ただひたすらクリスティーヌを想い、想い、想い、想っていく…

平原:重い…(笑)

市村:それに徹するのみですね。

平原:私も同じ気持ちですね。再々演だから慣れるってことはあんまりなくて、でも身体が勝手に動くっていうのはありますけどね。初演とは違う演出だったり再演とは違う動きがあって再々演は新しいタイミングとかがあるので、どれだっけ?と思うときはあるんですけど、それも全部楽しくさせてもらっています。ひとつだけ言えるのはやっぱり私もミュージカルに出演させていただいて10年経っていて、人間的にも年齢的にも色々積み重なっているので、そういう意味では今ある心で今ある声で演じるということが、再々演の魅力なんだと思います。

‐‐‐市村さんは、平原さんのミュージカルデビューから10年見てきたわけですが、平原さんはどんな魅力があるでしょうか?

市村:僕結構見てるんですよ、『ラブ・ネバー・ダイ』以降の作品もね。『ムーラン・ルージュ』とか。また一段とスケール感が大きくなって、確かに10年前はひよっこが歩いているみたいな感じがして、それも可愛かったんですけど、今は成熟な女性として本当にメロメロでございます(笑)。

‐‐‐今回かなりスピード感のあるお稽古だったというお話がありましたが、どんな雰囲気でお稽古は進んでいったんでしょうか。印象的な出来事等あれば教えてください。

石丸:キャストが3人ずついるので回ってくる順番が3分の1なんですよ。だから人のを見て覚えていかないといけないこともたくさんあって、何度も何度もできたわけじゃないという意味ではそうでした。ただ人のを見るという方が勉強になったりすることもあるので、僕にとってはいい時間だったなと思いました。

平原:わかる!私も、2人(笹本・真彩)にぜひぜひ率先してお稽古してねって話をしましたけど大丈夫でしたか?

笹本・真彩:ありがとうございます。

笹本:本当に色々教えていただいて。ここはこうしていた方が楽だよというポイントを教えてもらったりとか本当に助けられました。

平原:クリスティーヌは、すごく早着替えも多くて大変なんです(笑)。3回目だからこそのちょっとしたコツみたいのはお伝えして、みんなで助け合いながらやっています。

真彩:見て勉強するのもそうですし、わからないことやここどうしたらいいのかなっていうことを聞きに行くと、すごく優しく教えてくださって。チャレンジが短い時間でもできたことがありがたかったですし、私自身シングルキャストが多かったので、見ながらやってなおかつ勉強できるのが本当に嬉しかったし、すごく充実した素晴らしい時間をいただいたなと思いました。

‐‐‐橋本さん、仮面が大変お似合いですが、仮面は慣れましたでしょうか?

橋本:この仮面って俳優は憧れの仮面だと思うんです。自分がつけた時の緊張感とか身が引き締まる思いというのは、ある意味役者としてのスイッチを入れられる瞬間でもあります。仮面と衣装をつけた瞬間にピッとファントムというキャラクターに自分の気持ちが導かれていくような感触があります。

‐‐‐市村さんから先ほど今回が最後とのお話がありましたが、40年目のファントムも見たいとファンは思っていると思いますが、いかがでしょうか。

市村:頑張ります。

平原:でも、市村さんが演出のサイモンにこの『ラブ・ネバー・ダイ』は『オペラ座の怪人』の10年後を描いているけど、次は『ラブ・ネバー・ダイ』の10年後を描いてくれっておっしゃっていて。

市村:息子のグスタフが成長して、どうファントムと生活してるかっていう…

平原:グスタフに嫁ができて、その嫁がファントムに花束を渡しに行くのを想像して泣いてるんですよね?

一同:笑

‐‐‐意気込みをお願いします。

真彩:1回1回、日生劇場で2月の末まで、プリンシパルだけじゃなく、スタッフの方、アンサンブルのみなさん全員で力を合わせて作る作品だと思うので、是非楽しみに劇場に足を運んでいただけたらと思います。応援よろしくお願いいたします。

笹本:久しぶりにこの世界に帰ってきて、改めて舞台装置も衣装も本当に素晴らしいなって感動しました。目にも楽しいですし、アンドリュー・ロイド=ウェバーの美しい音楽も充分に堪能していただける作品なので、ぜひ楽しみにしていてください。よろしくお願いします。

平原:いよいよ本日で幕が開きます。キャストのみなさん、スタッフのみなさん、海外チームのみなさん、たくさんの方々が携わっていて、誰一人欠けても成立しないなと毎日思いながらこの日を迎えました。この『ラブ・ネバー・ダイ』という作品は見れば見るほど自分も年を重ねれば重ねるほど泣ける作品だと思っています。この唯一無二の作品を壊れるほどの愛を感じにいらしてください。

橋本:昨今ガソリン代も値上がりして、お野菜も高くなって、物価が高くなって、チケット代も少々高くなりつつありますけど、僕たち役者はそんな世の中であっても皆様の心に潤いと楽しみ、いろんな層に良いフィーリングをお与えしたく、舞台で切磋琢磨しております。みなさんも日常の不安とか不満とかそういうものを3時間の間で払拭してもらえるようなファンタジックな舞台を頑張って作っていきたいと思います。みなさんどうぞ楽しみにしていてください。

石丸:『ラブ・ネバー・ダイ』が日本に登場して3演目になりますけども、今回しか見れない組み合わせ、今回しかお届けできないパワー、それを劇場から皆様に向けてお届けいたしたいと思います。私たちも体調を万全にして臨みます。劇場でお会いしましょう。お待ちしております。

市村:『ラブ・ネバー・ダイ』は日本では日生劇場でしか上演できない形になっています。初演から含めて毎回、この日生劇場の舞台に『ラブ・ネバー・ダイ』の世界が現れた時にはやはりこの劇場にはぴったし合っているなと思っています。『オペラ座の怪人』、そして『ラブ・ネバー・ダイ』を作り上げ、支えてくれている日生劇場にぜひ観に来てください。

(文・写真:カンフェティ)

ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』

公演期間:2025年1月17日 (金) 〜 2025年2月24日 (月・祝)
会場:日生劇場

ストーリー:
オペラ座からファントム(市村正親/石丸幹二/橋本さとし)が謎の失踪を遂げて10年。
ファントムは、マダム・ジリー(香寿たつき/春野寿美礼)&メグ・ジリー(星風まどか/小南満佑子)親子の助けを得てニューヨークに移り、コニーアイランドの遊園地に身を隠していた。ファンタズマ(見世物小屋)を経営し財をなしていたが、クリスティーヌ(平原綾香/笹本玲奈/真彩希帆)を想い続けるファントムの気持ちが満たされることはない。クリスティーヌの幸せを願い、一度は彼女への愛を押し殺したファントムだったが、その灯は消えるどころか10年という月日とともに狂おしい程に膨らんでいくのだった。
一方、ラウル(田代万里生/加藤和樹)と結婚したクリスティーヌは一児の母となり、“伝説のソプラニスト”としてオペラ座で活躍していた。しかし、一家の幸せに水を差したのは、ラウルがギャンブルでつくった多額の借金だった。この事実を知ったファントムは、謎の興行主を装い、クリスティーヌがファンタズマに出演すれば多額の報酬を払うと、話をラウルに持ちかける。
借金返済のために、ラウルと息子・グスタフを連れてアメリカへ渡ったクリスティーヌは、この計画の背後にファントムの影を感じ始めて―

キャスト:
ファントム:市村正親/石丸幹二/橋本さとし(トリプルキャスト)
クリスティーヌ:平原綾香/笹本玲奈/真彩希帆(トリプルキャスト)
ラウル・シャニュイ子爵:田代万里生/加藤和樹(ダブルキャスト)
メグ・ジリー:星風まどか/小南満佑子(ダブルキャスト)
マダム・ジリー:香寿たつき/春野寿美礼(ダブルキャスト)

グスタフ: 植木壱太/小野桜介/後藤海喜哉(トリプルキャスト)
フレック:知念紗耶 スケルチ:辰巳智秋 ガングル:加藤潤一
⻘木美咲希、石川 剛、尾崎 豪、川島大典、神澤直也、木村つかさ、咲花莉帆、白山博基、菅原雲花、鈴木満梨奈、高瀬育海、高田実那、長瀬可織、光由、村上すず子、安井 聡、吉田玲菜 (五十音順)
スウィング:熊野義貴、小峰里緒

主催:TBS ホリプロ 読売新聞社
企画制作:ホリプロ

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