【レポート】ミュージカル『エリザベート』ドルビーアトモス体験上映会

【レポート】ミュージカル『エリザベート』ドルビーアトモス体験上映会

オーストリアハプスブルグ帝国の黄昏に咲いた皇妃エリザベートの数奇な人生を、彼女と同じ時代を生きた人々、更に彼女に魅入られた黄泉の帝王との愛憎を通じて描く大ヒットミュージカル『エリザベート』の2022年上演版Blu-ray発売記念のドルビーアトモス体験上映会が、12月6日、7日TOHOシネマズ日比谷 SCREEN5 にて開催された。

『エリザベート』は1996年に宝塚歌劇団により日本初演、2000年の東宝版初演から今日まで、多くのミュージカルファン、作品ファンを惹きつけ続ける大ヒットミュージカル。

長年の上演史のなかで、タイトルロールのエリザベート、黄泉の帝王トート閣下=「死」、エリザベートを殺害したテロリストであり、作品の語り部でもあるルイジ・ルキーニ、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世ら個性溢れるメイン・キャストをはじめ、皇太子ルドルフ役が「ミュージカル界の登竜門」と称されるに至るなど、歴代の多彩なキャストが常に新たな作品の魅力を引き出している。

そんな舞台の2022年版キャストを収めたBlu-rayが11月9日に発売されたのを記念して、今回のBlu-ray版の大きな特徴である「Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)」の迫力を体験する上映会がTOHO シネマズ日比谷 SCREEN5にて行われた。

ドルビーアトモスとは、従来のサラウンドに加えて天井にも音を配置できるフォーマットで、立体的な音場を体感できる音声技術。サウンドが頭上を含むあらゆる方向から流れ、驚くほど鮮明かつ豊かで細やかな、臨場感あふれる体験が実現した。

これは作品への没入感を映像だけでなく音響の面でも高めたもので、今回の上映会はその視聴体験を目的とするものだったが、百聞は一見にしかずとはまさにこのこと、という作品世界にすっぽりと入り込める音響の見事さに驚愕した。

言うまでもなく『エリザベート』は、台詞もあるものの、全編のほとんどが音楽で紡がれている作品だが、すっかり耳に馴染んだと思っていた「私だけに」「最後のダンス」「私が踊る時」等々のビッグナンバーのメインメロディーが、限りなくクリアに聞こえてくるのはもちろんのこと、複雑なアンサンブルのコーラス、重唱の数々があまりにも鮮明に耳に飛び込んでくるのに驚かされる。それはまるで音楽のシャワーを浴びているに等しい感覚で、ミュージカル『エリザベート』が人を魅了する、癖になる大きな理由のひとつである音楽面の魅力が、十全に届く様は圧巻だ。

それだけでなく、例えば皇太子ルドルフがトートに誘われるままに、撃鉄を起こす瞬間の「カチッ」という音までが明確に聞こえてくるのには鳥肌が立つ思いがした。キャストたちが歌や芝居に込める思いが、音のポテンシャルの高さであますことなく届けられる様は、嬉しい発見の連続だ。

また、観客が自由に舞台のどこを観ることも可能なのが演劇の大きな醍醐味だが、それが映像によって「ここを見ろ!」とある意味指示されることによって、新たに見えるものも多くある。

特にひとつの客席に座っている状態では絶対に見ることができない、様々な角度からアップになるキャストの表情や、目の動きなどが画面いっぱいに広がることで、見知った場面にも新たな発見が多くある。時にほとんど顔だけの寄り、また時に舞台全体に引く映像の切り替えも面白く、作品ファン、キャストファンはもちろん、大人気の『エリザベート』とはどんなものか?の初体験にもおすすめできる、臨場感あふれる音と映像が嬉しい。

今回の体験上映会は、映画館の大画面でこのドルビーアトモスと映像に接しられるだけに、作品世界への没入度も大きく、ナンバーの終わり、またカーテンコールなど拍手したくてたまらないという気持ちになった(正直、してもいいように思う)。今回は本日7日までの体験上映会だが、こんな機会がまた作られるなら何度でも観覧したいと思える満足度の高いものになっていて、最新の技術が一期一会の演劇を永遠に、しかもここまで見事に留めてくれる時代に感謝したい体験になったし、別キャストの組み合わせもいつか叶う日が来ないだろうかと、夢も広がる素晴らしい機会だった。是非、このBlu-rayで『エリザベート』の新たな魅力を体感して欲しい。

ミュージカル『エリザベート』ドルビーアトモス体験上映会

12月 6 日(水) 12:30~ エリザベート 愛希れいか/トート 山崎育三郎バージョン
12月 6 日(水) 18:30~ エリザベート 愛希れいか/トート 古川雄大バージョン
12 月7日(木) 12:30~ エリザベート 愛希れいか/トート 古川雄大バージョン
12 月 7 日(木) 18:30~ エリザベート 愛希れいか/トート 山崎育三郎バージョン
上映劇場◇TOHO シネマズ日比谷(SCREEN 5)
上映内容:各回約 2 時間 45 分+休憩 10 分(予定)
ミュージカル『エリザベート』各バージョン本編ドルビーアトモス体験上映
*Dolby Atmos 仕様の Blu-ray 版での上映。
入場料金:各回 4,500 円(税込・全席指定)*プレミアボックスシートは 5,500 円(税込)
入場者限定特典:舞台写真大判ポストカード(W185mm×H121mm)*非売品

【ミュージカル『エリザベート』2022 年版キャスト Blu-ray/DVD 】
※Dolby Atmos による収録は Blu-ray のみ
【エリザベート:愛希れいか/トート:山崎育三郎バージョン】
キャスト:エリザベート:愛希れいか トート:山崎育三郎
フランツ・ヨーゼフ:田代万里生 ルドルフ:甲斐翔真
ゾフィー:剣 幸 ルキーニ:上山竜治

【エリザベート:愛希れいか/トート:古川雄大バージョン】
キャスト:エリザベート:愛希れいか トート:古川雄大
フランツ・ヨーゼフ:佐藤隆紀 ルドルフ:立石俊樹
ゾフィー:涼風真世 ルキーニ:黒羽麻璃央

<Blu-ray>2 バージョン
価格:15,000 円(税込)
仕様:BOX
内容:本編 Blu-ray(1 枚組)、定点カメラ映像(1 枚組)、特製ブックレット
※本編バリアフリー日本語字幕付き
※本編収録:2022 年 10 月 帝国劇場
特典:ドルビーアトモス(本編)※Blu-ray のみの特典
MIRAIL(ミレール)で本編映像視聴可能 ※スマートフォン・タブレット・パソコン・テレビで視聴可能
<DVD>2 バージョン
発売日:2023 年 11 月 9 日(木)
価格:15,000 円(税込)
仕様:BOX
内容:本編 DVD(2 枚組)、定点カメラ映像(2 枚組)、特製ブックレット
※本編バリアフリー日本語字幕付き
※本編収録:2022 年 10 月 帝国劇場
特典:MIRAIL(ミレール)で本編映像視聴可能 ※スマートフォン・タブレット・パソコン・テレビで視聴可

ミュージカル『エリザベート』
脚本/歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出/訳詞:小池修一郎(宝塚歌劇団)

オリジナル・プロダクション:ウィーン劇場協会
製作:東宝株式会社 制作協力:宝塚歌劇団
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京

(取材・文/橘涼香)

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