コメディ要素も満載の朗読劇で楽しむ歌舞伎「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎〜雪の夜道編〜」

コメディ要素も満載の朗読劇で楽しむ歌舞伎「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎〜雪の夜道編〜」
左から岡本貴也、斎賀みつき、平田広明、吉野裕行、立花慎之介。岡本が持っているのは、かぶきにゃんたろう。
(c)2023 SANRIO/SHOCHIKU 著作 株式会社サンリオ

銀座、日比谷を中心に歌舞伎、能楽、クラシック音楽など多彩なクリエイターが集結して繰り広げるTOKYO ART& LIVE CITY 2023のプロジェクトが今年もスタート。人気企画の「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎」の第二弾「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎〜雪の夜道編〜」の合同取材会が都内で行われ、12人の出演者の中から斎賀みつき、立花慎之介、平田広明、吉野裕行と脚本・演出をつとめる岡本貴也が登壇した。

「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎」は、現代語を交えて歌舞伎の魅力を伝える朗読劇。好評を博した前回に続き、第二弾となる今回は「仮名手本忠臣蔵」と河竹黙阿弥の代表作「雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)」を含むオリジナル脚本。タイトルは「こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎 〜雪の夜道編〜」だ。

脚本・演出を手がけた岡本貴也

岡本「江戸時代に書かれたドラマを現代のお客さまに、いかにドラマチックに感じていただけるか考えて、今回は1952年のラジオ番組を舞台として、歌舞伎の演目ふたつをその中に含める脚本にしました。全編を通して、さまざまな事件が起こります。笑っていただける楽しい舞台になれば」と、今回の脚本が劇中劇の構成だと語ると共に「ベテラン声優が、声の技術や声色の魅力をふんだんに使って、歌舞伎を目の前で演じる。それを生で観られるということが、観客の皆さまにとって光輝く宝物のような体験になるのでは」と、意欲をみせた。

斎賀みつき

歌舞伎を劇場では観たことがないという斎賀も「今回は劇中劇になっていて、本人として舞台に立つのではなく、役として舞台に立って、そこからさらに歌舞伎の役に入っていくという構造になっています。台本を読んだときは、とても驚きましたが、やりがいがあると感じています。稽古で理解を深めていって、最終的にどんな本番になるのか楽しみです」と話す。

「とにかく、まずは『こえかぶ』を観て、聞いて、感じていただきたいです。そして歌舞伎公演も観てみたいな『こえかぶ』も、また観たいな、と思っていただけたらいいですね」

平田広明

平田も台本を読んで「こんなにコント的要素満載のお話だとは思いませんでした。でも、話の流れを聞いていると、さまざまなところに歌舞伎のエッセンスや知識が散りばめられています。話が全部伝わらなくても、まずはわちゃわちゃしているコントを楽しんでいただいて、その中でひとつでも歌舞伎の理解を深めるきっかけを持ち帰っていただければいいなと思っています」とストーリーの魅力を語った。

歌舞伎については「僕が出演しているアニメ『ONE PIECE』が歌舞伎化されたことで、市川右團次さんや中村隼人さんなど多くの歌舞伎俳優とのご縁ができました」と、アニメを通しての出会いを明かしてくれた。

吉野裕行

反面、吉野は「難しい脚本だと思っています(笑)。歌舞伎独特の七五調のリズムが台本に入ってくると、どうしてもそのリズムに引っ張られてしまう。でも、お芝居としては、本当は違うところで勝負した方がいいな、という気がするんです。そして、やはり言葉が難しい。
『わからない』というのは、お客様の没入感や集中を切らせてしまうので、これからいかにわかりやすくできるかが、鍵となってくると思います」と、課題を話す。

歌舞伎については「分からないことばかりですが、アニメ・ゲーム作品が歌舞伎化されることで、身近に感じられるというのはありますよね。新作歌舞伎や、この『こえかぶ』を入り口に、そこから『昔の作品は、どんなものだろう?』とさらに歌舞伎を観るきっかけになったらいいですね」と希望を語った。

立花慎之介

立花は「僕は、もともと日本舞踊をやっていたこともあり、古典芸能は好きなのですが、歌舞伎はあまり通ってきていませんでした。僕自身も分からないことが多い世界ですので、観客の皆さまも僕と一緒に歌舞伎を理解してもらえたら嬉しいです」とコメント。

今回の話が来た時には「歌舞伎をライトに楽しめる朗読劇は面白そうだと思っていたのですが、後から同じ日(10月9日)の出演者を知って『これはやべえぞ』と思いましたね(笑)ご一緒できることは楽しみですが、今からドキドキしています」とのこと。9日の出演者は立花と平田、吉野の他に朴璐美だ。

吉野裕行と立花慎之介

最後に、お客様へ向けてのメッセージを聞くと、出演者全員が「まずは『こえかぶ』を通して、歌舞伎に興味を持つきっかけになれば」と熱く語ると共に、平田からは「『忠臣蔵』は歌舞伎だけでなく映画やドラマでも知られている作品ですので入り口としても、とてもいいと思います。現代語でわかりやすくなると『なるほど』と思える話が、まだあると思います。歌舞伎には、まだまだ多くの演目がありますので、この先も『こえかぶ』が続いてくれたら」と、今から、今後に向けてのコメントも。

立花は「朗読劇はチームが変わると、同じ内容でも全く違うものに仕上がるということも面白さの一つですので、日替わりの3チーム全てを楽しんでもらえたら幸いです」

(構成・写真/新井鏡子)

公演情報

『こえかぶ 朗読で楽しむ歌舞伎 〜雪の夜道編〜』

出:10月7日(土) 内田 夕夜、斎賀 みつき、高橋 広樹、羽多野 渉
  10月8日(日) 置鮎 龍太郎、甲斐田 ゆき、諏訪部 順一、福山 潤
  10月9日(月・祝) 立花 慎之介、朴 璐美、平田 広明、吉野 裕行
  (五十音順)
日:10月7日(土)19時開演
  10月8日(日)15時開演/19時開演
  10月9日(月祝)13時開演/17時開演
場:草月ホール 
料:SS席:8,800円
  S席:7,700円
  A席:6,600円
  B席:3,300円
 (全席指定・税込)
HP:https://planning-development.shochiku.co.jp/project/koekabu/

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