【開幕レポート】メガヒット・ミュージカル『CHICAGO』3年ぶりの来日公演!

【開幕レポート】メガヒット・ミュージカル『CHICAGO』3年ぶりの来日公演!

トニー賞®最優秀リバイバル・ミュージカル作品賞に輝き、2021年にブロードウェイでのロングラン25周年を迎えた『CHICAGO』の、3年ぶりとなる来日公演が14日東京国際フォーラム ホールCで開幕した(31日まで)。

ミュージカル『CHICAGO』は、アメリカ(ブロードウェイ)作品として歴代1位のロングランを誇り、世界36ヶ国の500都市以上、12言語で上演されているメガヒット作品。

実話に基づいた二人の悪女によるスキャンダラスなシンデレラ・ストーリーが、人々の心をつかみ、「All That Jazz (なんでもあり)」を筆頭に、名曲揃いのミュージカル・ナンバーと、黒で統一されたセクシーな衣装に身を包み、鬼才ボブ・フォッシーの振付を体現する一流のダンサーたちによる上演が、いまも世界中の観客を魅了している。

日本では1999年から合計9回の海外カンパニーによる来日公演、2回の日本人キャストでの公演、そして、2回の宝塚歌劇団OGたちによる女性だけが演じる『CHICAGO』と、様々な公演が行われていて、常に大きな話題を呼びながら愛され続けている。
今回の上演はブロードウェイロングラン25周年を記念し、ロンドン・ウエストエンドのキャストを中心に世界ツアーを続ける「CHICAGOオールスターズ・カンパニー」による公演で、コロナ禍によって難しさを増していた来日公演が3年ぶりに実現した画期的な公演となっている。

【STORY】

1920年代、ジャズ全盛時代のアメリカ、イリノイ州シカゴ。不倫を重ねていた夫と妹を殺した元ナイトクラブの歌姫、ヴェルマ・ケリーが収監されている監獄に、新顔のロキシー・ハートがやってくる。冴えない夫エイモスに飽き飽きし、歌手になる夢を追い求めていたロキシーは、ショービズ界に売り込んでやると言っておきながら、それが全くの嘘だったばかりか、自分を捨てようとした愛人を殺害して監獄に送られてきたのだ。

 ここには自らの犯した罪にそれぞれの“解釈”を加え、無実を高らかに訴える女性殺人囚たちが揃っていて、女看守長ママ・モートンは見返りさえくれるなら、なんでも叶えてあげようと、ここで生き抜くための“ギブ&テイク”の精神を説く。

その精神を体現するように、悪徳敏腕弁護士ビリー・フリンの力でメディアの注目を一身に集め、殺人犯と言う名のスターになっていたヴェルマに負けじと、エイモスを泣き落として費用を捻出させたロキシーは、ビリーに弁護を依頼することに成功。マスコミを利用して正当防衛の「悲劇のヒロイン」として一躍メディアの寵児になっていく。世間の関心がロキシーに移ってしまったことに焦るヴェルマと、勝ち誇るロキシーだったが、さらに新しい大スキャンダルを引っ提げて新たな大富豪令嬢の殺人犯が登場したことから、二人の名声を賭けた争いはヒートアップしていき……

この作品をひと言で表すとしたら、冒頭でヴェルマがカンパニーを引き連れて歌い踊る「All That Jazz」=「なんでもあり」に尽きるだろう。

ここには殺人という最大の禁忌までもが、自分を売り出す絶好の好機に変換される、人間という生き者が内に秘めている、他人の不幸は蜜の味と言わんばかりのどうしようもない好奇心や、地獄の沙汰も金次第のシビアな現実が横たわっている。
しかもこうした「劇場型犯罪」の数は現実にも増える一方で、この作品が実話を元に作られたという事実にまず驚いていた時代は遥かに遠く、いまやこの殺人犯の物語をエンターテイメントにすることに対する抵抗感は、全くなくなったと言っても過言ではない。だからこそ、劇中の殺人犯ヴェルマとロキシーの、勝ち残るためには全てを利用して尚、なんら悪びれるところのないしたたかさとパワフルなエネルギーが、どこかで清々しさにも似た感懐を生んでいくのだ。

もちろんそこにはひと目でボブ・フォッシーとわかる腰を落としてグラインドさせながら、次々にセクシーで退廃的なポーズを決めていく独特の振付を十二分に生かすために、黒一色の衣裳でスタイリッシュに仕立て直した、リバイバル版の着眼点の見事さが生きているのは間違いない。
だが、何よりもやはり時代がこの「なんでもあり」の世界を受け入れていったことが、作品が今日まで愛され続け、上演が続けられる大きな理由だろう。そもそものはじめにボブ・フォッシーとカンダ―&エッブが、作品をヴォードヴィル様式で作ったことで、様々な役柄に扮するダンサーたちが「次にお聞かせするのは…」と楽曲が伝えたいことや、歌い踊る人物の説明をしていくことも、実は重いはずの題材をショーアップしていく力になっている。

今回の「CHICAGOオールスターズ・カンパニー」による上演でも、その力は健在でフォッシースタイルのダンスの醍醐味を届けてくれるキャストたちと、出演者の一人でもあるコンダクターとオーケストラの生演奏が贈る『CHICAGO』の猥雑な生命力にあふれたエネルギーが劇場を満たしていくのが痛快だ。

そんな作品でロキシー・ハートを演じたサラ・ソータートは、スターを夢見ることを諦めかけていたロキシーが、「NOばかりの人生をYESに変換させてみせる!」と誓うパワーを小柄な体躯の全身に漲らせている。小悪魔的な笑顔もどこかでコケティッシュで、ロキシーという役柄の根底にある純なものが見えるのも効果的だった。

冒頭のビッグナンバー「All That Jazz」を担うヴェルマ・ケリーのソフィー・カルメン=ジョーンズは、監獄のスターとして余裕綽綽だったヴェルマが、ロキシーの出現に脅かされていく内心の焦りと、手放すまいとするプライドの双方をよく表現している。表情変化が非常に大きく、殺人に至った動機も、なにがあっても自ら道を切り拓こうとする姿勢も、現代の目から見るとずっと共感しやすいヴェルマの利点を生かして、伸び伸びと演じていた。

「有罪か無罪か、そんなことはどうでもいい。重要なのは弁護費用が払えるかどうかだ」と豪語する悪徳でいつつ、有能な弁護士ビリー・フリンのキャヴィン・コーンウォールは、誰もがビリーを待ち望んでいるなか颯爽と登場して、羽根扇に飾られて歌い踊るという、ビリー役に必要不可欠な、観客の目と耳を惹きつける存在感を十二分に発揮。適度にうさん臭く、適度に小粋というバランス感覚も良く、ビリー役を本人が楽しんでいる様が役柄の余裕にもつながって心地よい。

こうした海外のミュージカルで素晴らしいのは、主人公だけでなく多くの個性的なキャラクターがソロナンバーを任せられていることで、ロキシーの夫エイモスのジェイミー・ボーンが、存在感の薄い自分を自虐的に語る「MISTER CELLOPHANE」を哀感たっぶりに歌い踊れば、監獄の看守・ママ・モートンのウェンディ=リー・バーディが「WHEN YOU’RE GOOD TO MAMA」を堂々と聞かせただけでなく、この作品のなかで、最もシビアな現実を担っている殺人犯・ハニャックのエミリー・グッドナイフに向ける視線に、“ギブ&テイク”を瞬間超える哀惜をにじませるのが救いになっている。

また、情に脆い新聞記者・メアリー・サンシャインのA・ウェザーヒルの歌唱力や、幕開けに登場しインパクトを残すキティのローレン・ブルックの美貌をはじめ、「All That Jazz」に次ぐと言ってもいい有名ナンバー「CELL BLOCK TANGO(監獄タンゴ)」を歌い踊る女囚たちもそれぞれ実に個性的である。

何よりも世界ツアーを続けるカンパニーが日本でも作品を上演できるようになったという事実。未だ多くの困難を抱えつつも、エンターテイメントの世界が1歩ずつ前進を続けていることを示してくれる上演が貴重で、2022年の年末、来るべき新年への希望の橋を架けてくれる公演になっていた。

尚、入場してすぐのロビーでは「CHICAGO」の赤い大きなロゴと共に、記念撮影ができるスポットも用意されているので、観劇の際には是非早めに入場して、ミュージカル『CHICAGO』の世界を楽しんで欲しい。

(取材・文・撮影/橘涼香)

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ステッカー配布期間:2022年12月14日(水)10:00~2022年12月29日(木)20:00

ブロードウェイミュージカル『シカゴ』

【作詞】 フレッド•エッブ 
【作曲】 ジョン•カンダー 
【脚本】 フレッド•エッブ & ボブ•フォッシー 
【初演版演出•振付】 ボブ•フォッシー
【オリジナルNYプロダクション演出】 ウォルター•ボビー
【オリジナルNYプロダクション振付】 アン•ラインキング
【出演】サラ・ソータート、ソフィー・カルメン=ジョーンズ、キャヴィン・コーンウォール and more

日程:2022年12月14日(水)〜31日(土)
会場:東京国際フォーラム ホールC(有楽町、東京)
料金(全席指定・税込):S席 15,000円 A席11,000円 B席 9,000円
公式ホームページ:https://chicagothemusical.jp/

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