岸田國士戯曲賞受賞の劇作家・山本卓卓による新作戯曲、
人を助けるヒーロー達の物語を益山貴司演出の音楽劇で上演!
KAAT 神奈川芸術劇場のメインシーズン「某(なにがし)」の締めくくりとして上演する音楽劇『愛と正義』の詳細が発表されました。
本作は『バナナの花は食べられる』で第66回岸田國士戯曲賞を受賞した、今、最も注目されている劇作家であり劇団・範宙遊泳主宰の山本卓卓による書き下ろし戯曲です。山本はこれまでも KAAT 神奈川芸術劇場で、KAAT キッズ・プログラム 2019『二分間の冒険』や、KAAT EXHIBITION2022 関連企画『オブジェクト・ストーリー』と、想像力豊かで物語性に富んだ作品を創り出してきました。そんな山本が今回、“愛と正義”をテーマに新作戯曲を書き下ろします。
演出は、元・劇団子供鉅人で作・演出・代表を務めた益山貴司。静かな会話劇から生バンドを交えた
音楽劇、また、広大な空間を生かした野外劇まで幅広い作品創作で演劇の可能性を追求し、2024年には
新たに「焚きびび」を立ち上げるなど、精力的に活動の場を広げています。
音楽は、これまでも益山作品を多数手がけ、「情景が視える音楽」をモットーに舞台や映像作品、CMなど様々なジャンルに楽曲提供をしている音楽家のイガキアキコが担当。振付には、日本のコンテンポラリーダンス界を代表する振付家の黒田育世が参加し、黒田が主宰するダンスカンパニーBATIK より、2名のダンサーも出演します。
今回が初顔合わせの山本、益山二人の共同創作で贈る音楽劇にぜひご期待ください。
物語と詩で紡ぎだされる、人を助けるヒーロー達の世界。
語りと対話に、音楽と歌を散りばめながら表現される野心作
今作は、人を助けることを生業とするヒーローたちの世界を舞台とした音楽劇。人を助けることを諦めそうになるヒーロー。人を愛することをやめようとする人間。もうすでにそれをやめている怪物。戦うことは傷つけることとわかっているのに戦わなければならない立場。戦うことを放棄する者。死ぬ者。生き残る者。「愛と正義」が両立しない時、人はどうするか。深い愛の正体は、闇深い狂気なのかもしれないという疑心暗鬼。打ち勝って立つのはなにか。あるいは勝たないことが愛なのか。現代の「争い」に言葉と物語と暗喩と愛で応答します。
山本はこの物語を三部作として構成する予定であり、本作は第二部にあたります。主人公となるコチを演じるのは、KAAT キッズ・プログラム 2023『くるみ割り人形外伝』や『鋼の錬金術師』など幅広い役柄で魅了する一色洋平。コチの妻ソチ役に E-girls で活躍後ミュージカル『SPY×FAMILY』などで活躍が目覚ましい山口乃々華。コチの相棒カレ役に福原冠、カレのパートナー、カノ役に入手杏奈。さらにコチのいとこであり、後にコチと敵対することになるウチ/アク役に木ノ下歌舞伎や映像作品などで圧倒的な存在感を放つ坂口涼太郎が出演。
コチは「私」ソチは「あなた」カレは「彼」カノは「彼女」アクは「悪」という、人間の関係のあり方を抽象化した物語を、神話性を持った壮大な戯曲をイメージしながら描き、語り(歌)と対話で展開します。
コメント
この世界で起きているさまざまなこと、そして私の身の回りで起きているさまざまなこと、難解であり
ながらも活き活きとしたもの、単純でありながら邪悪であるもの、投げ出したくなるねじれた諸問題、
解明したい謎の苦しみの根幹、シンプルに幸福を感じる瞬間、けれど幸福であってはならないと己の中に巣食う悪魔、人への疑い、人からの疑い、経年、嘲笑、若い人々の台頭、ないがしろにされる老い、ひるがえってなにもかも美しいと思える心、しかしさらにそれをひるがえし美しくなくしてしまう醜い心、これらすべてが無であると、空であるという認識、生きることに意味などないという拡大解釈、生きることに意味を見出しすぎる誇大妄想、いろいろあれど、この文章を読んでいる人はみな生きている。生きていなければ出会えない。そういう演劇です。
山本卓卓(やまもと・すぐる) 作
山本卓卓(やまもと・すぐる)プロフィール
作家・演出家・俳優。範宙遊泳代表。
幼少期から吸収した映画・文学・音楽・美術などを芸術的素養に、加速度的に倫理観が変貌する現代情報社会をビビッドに反映した劇世界を構築。
オンラインで創作する「むこう側の演劇」や、子どもと一緒に楽しめる「シリーズ おとなもこどもも」、青少年や福祉施設に向けたワークショップ事業など、幅広いレパートリーを持つ。アジア諸国や北米での公演や国際共同制作、戯曲提供も多数。
『幼女 X』で Bangkok Theatre Festival 2014 最優秀脚本賞と最優秀作品賞を受賞。『バナナの花は食べられる』で第 66 回岸田國士戯曲賞を受賞。
公益財団法人セゾン文化財団フェロー。
「愛と正義」について考えてみると、胸がかき乱される。
なぜなら、そう短くない自分自身の人生を振り返ったとき、これまで本物の「愛と正義」を持てたのか、それほどまでに切実な感情を抱けたのか、時には巨大な暴力を巻き起こすこの二つの絶対感情(という言葉があるかどうか知らないが)に身を焦がしたことはあるのか、と。山本卓卓氏は、もうタイトルだけで私の心を抉る。稽古に入れば、そのセリフと物語にキャストとスタッフも抉られ、本番では観客の心を抉るのだろう。ああ、なんともワクワクするようなこの戦慄……!そんな山本戯曲に、「愛嬌と誠実」で立ち向かっていきたいと思います。
益山貴司(ますやま・たかし) 演出
益山貴司(ますやま・たかし) プロフィール
劇作家・演出家・俳優。82 年、大阪生まれ。お化けと女の子に怯える幼少期を過ごした
後、20 世紀の終わり頃に演劇活動を開始。
06 年、劇団子供鉅人を旗揚げ。作・演出・代表を務める。オリジナル音楽劇からシェイクスピア、劇場から野外、一軒家までと幅広く上演。国内外を問わず精力的に活動するも、22 年解散。現在は東京を拠点に舞台や映像など、多ジャンルに渡って活動中。24年、「焚きびび」を旗揚げし、新たに劇団活動を開始。近年の主な作品に、100 人芝居シリーズ『マクベス』(17・演出)・『夏の世の夢』(18・演出)、家公演『SF 家族』(19・脚本/演出)、『ギャラクシー銀座』(20・演出)、野外劇『テンペスト』(23・演出)
公演概要
KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース
音楽劇『愛と正義』
作:山本卓卓
演出:益山貴司
音楽:イガキアキコ
振付:黒田育世
出演:
一色洋平 山口乃々華 福原冠 入手杏奈 坂口涼太郎
大江麻美子(BATIK) 岡田玲奈(BATIK)
スタッフ
美術:池宮城直美 照明:松本大介 音響:星野大輔 衣裳:柿野彩 ヘアメイク:谷口ユリエ
歌唱指導:神田智子 演出助手:杜菜摘 舞台監督:山田貴大
会場: KAAT 神奈川芸術劇場<中スタジオ>
日程: 2025 年 2 月 21 日(金)~3 月 2 日(日)
チケット料金(入場順整理番号つき自由席・税込)
一般:6,500円
神奈川県民割引(在住・在勤):5,900円
U24 チケット(24歳以下):3,250円
高校生以下割引:1,000円
シルバー割引(満65歳以上):6,000円
☆シーズンチケット<3 期> 11月発売予定!☆ ※詳細は 10月上旬に発表いたします。
対象作品:『花と龍』(2025 年 2月)
『愛と正義』(2025年 2月 21日~3月 2日)
チケット発売: 一般発売 2024年 12月 14日(土)
KAme(かながわメンバーズ)先行発売 2024年 12月7日(土)
※神奈川県民割引はチケットかながわの電話・窓口・WEB にて、12月 7日より取扱い(前売のみ、枚数限定、要住所
確認)
※U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・WEB にて 12月 14日より取扱い(前売のみ、枚
数限定、要証明書)
※車椅子でご来場の方は購入前にチケットかながわにお問い合わせください。
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※営利目的の転売禁止。
※公演中止の場合を除き、チケットの変更・払い戻しはいたしません。
※ご入場は開場時間より、チケットに記載されている整理番号順にご案内いたします。
※開演後のご入場はお待ちいただく場合があります。
お問い合わせ: チケットかながわ 0570-015-415(10:00‐18:00/年末年始を除く)
公式サイト:https://www.kaat.jp/d/aitoseigi
主催・企画制作:KAAT 神奈川芸術劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会