【開幕!】サルメカンパニー『文明開化四ッ谷怪談』インタビュー

【開幕!】サルメカンパニー『文明開化四ッ谷怪談』インタビュー

2018年に旗揚げした、平均年齢26歳の若手劇団 サルメカンパニー
5年目にして、劇団の登竜門とも呼ばれる東京芸術劇場 シアターウエストにて前作『スウィングしなけりゃ意味がない』を上演。日本劇団協議会の新進劇団育成公演に選出され、2024年1月26日(金)~2月4日(日)、『文明開化四ッ谷怪談』を駅前劇場にて上演する。

メンバー全員でシェアハウスをし、その様子やバンド演奏動画をYouTubeにて配信、先日には「イワクラせいや警備保障」(テレビ朝日)で特集されるなど、舞台以外でも活動の幅を広げ、今最も注目されている劇団である。

そんなサルメカンパニーの主宰であり、今作の演出を手掛ける石川湖太朗にお話を伺った。

静岡県出身。サルメカンパニー主宰。脚本家・演出家・俳優。
サルメカンパニー全公演の演出を担い、第3回公演~5周年記念公演『スウィングしなけりゃ意味がない』までの全作品で脚本も手掛ける。(配信公演『またここか』を除く)劇団鹿殺し・Pカンパニー・Makino Play などに出演。また、2021年5月より、俳優事務所『クリオネ』に所属。俳優としての活動も積極的に行っている。
2012年 映画『果てぬ森のミナ』主演(守屋耕助 役)
2017年 WTEA(世界演劇教育連盟)参加作品『リア王』エドマンド役 優秀演技者賞
2021年 佐藤佐吉演劇賞2021 最優秀演出家賞
2022年 Makino Play Vol.2 『モンローによろしく』ビリー・ポラック役(マキノノゾミ演出)、DULL-COLORED POP 第25回公演『岸田國士戦争劇集』友吉役
2023年 「新 かぼちゃといもがら物語」#7『神舞の庭』中崎昇役

――― 大学演劇専攻の同期と後輩で結成したカンパニーとのことで、どのような経緯で結成され舞台を上演するようになったのでしょうか?

僕らは桐朋学園芸術短期大学で出会ったメンバーです。2年制の短期大学ですが、さらに2年間より深く演劇を学べる専攻科という学科があります。僕らの在学時は2学年合わせても10~20人弱くらいの少人数だったこともあり、年3回の試演会や海外公演を通してすごく密接な仲になりました。それこそ小さな劇団のような。

劇団結成のきっかけになったのは、文化祭で坂口安吾作の『桜の森の満開の下』を上演し、主演・演出をしたことです。初めての演出は没頭する程面白く、今後も演出がしたい、そしてこの仲間と劇団を作りたいと強く思いました。
そんな折、劇団結成を薦めてくれた恩師から『1人で早く売れたいか、皆で遅く売れたいか、どちらがいい?』と言われ、後者を選ぶことに決めて。改めて一緒に劇団をやりたいと思ったメンバーに声をかけ、集まってくれたのが今のメンバーです。

――― 2018年9月に上演された『戦い』が、旗揚げ公演となったわけですが、サルメカンパニーとして初めて上演した公演、振り返るといかがでしょうか?

旗揚げ当時は右も左も分からず客演、スタッフ、メンバー、全ての方に迷惑をかけた公演だったなと思います。良い意味でも悪い意味でも若かったですし。
でも情熱だけはありました。炎天下の外で日焼けしながら叩きをしたり、稽古の度に大きなスーツケースを何個も電車で運んだり…思い出せばキリが無いのですが、青春からプロへと登っていく階段の一歩目に挑んだ、まさに戦った公演でした。
あの頃の無鉄砲さは忘れずにいたい、と旗揚げ公演を思い出すたび感じます。

――― そこから5年で10作品を上演し、改めてカンパニーとして舞台作品を創り上げることや、サルメカンパニー作品としての魅力など、いかがでしょうか?

公演を重ねるごと作品を作り上げるプロセスがはっきり、くっきりと見えてくるようになり、良い意味で慣れてきた、掴めてきたなと感じます。だからこそ毎公演、主宰としても演出家としても新しいことに挑み続けていきたいです。
有難いことにこれまでの公演は毎回、今が一番キツイなと感じられています。
簡単に生み出せる作品にはしたくない。師匠の言葉を借りますが、常に最新作が代表作だと言えるように挑んでいます。

魅力…。
生演奏と言って頂くことが多いですが、空間演出もサルメ作品の大きな武器だと思います。そしてなにより作品創りに集まってくれる人たちが面白い。誰もが能動的に頭をフル回転させながらワイワイ創っています。今後もそんな作品作りをしていきたいです。

――― そして次回作、サルメカンパニー特別公演『文明開化四ッ谷怪談』、どのようなきっかけでこの企画が生まれたのでしょうか?

第二回公演『オッペケペ』の上演中、福田先生から「君はいつか伊右衛門をやるべきだ。」と言って頂き、「伊右衛門をやるなら先生が書いた伊右衛門が良い。」とわがままを言いました。

いつか僕のために、サルメのために作品を書いてほしいと思っていたからです。この度日本劇団協議会の新進劇団育成プロジェクトにも選んで頂き、たくさんの方のお力添えがあり、それが実現しました。

――― 脚本をお読みになって、いかがでしたか?

サルメへの愛・演劇への愛に溢れた本だと思いました。そして、まだ誰も演出していない先生の本を演出できる。それは本当に恵まれていることだなと。そんな気持ちが湧いてきました。
福田善之はぼくの師匠です。
『オッペケペ』の公演の時は今よりもっと未熟で反省だらけの公演でした。僕にとって今回の公演はリベンジマッチでもあります。

――― 今回の出演者さんなど含め、どんな作品になりそうでしょうか?

今回はフルキャストオーディションでした。福田善之作品に挑む気概のある役者を集めたかったんです。そのおかげか負けん気のある人が多い気がしています。年齢も20代〜70 代と幅広く、稽古場はいつも活気で溢れています。この座組みだからこそ届けられるものがあると信じています。

――― ここをより注目してほしいなど、見どころいかがでしょうか?

所作指導・ムーブメント・殺陣・音楽などなど…。バラエティに富んだ様々なジャンルのスタッフが集まり作品を更に押し上げて下さっています。それぞれのピースが福田善之の戯曲をどんな風に具現化するのか是非見届けて頂きたいです。

――― 毎作品出演もされている石川さん、演者としての今公演の意気込みをお聞かせください

先生は僕に伊右衛門という役を当て書いてくださいました。
とはいえこんなにも掴みどころがない役は初めてで、作中の台詞を拝借するならウロウロオロオロしています。先生の描いた伊右衛門はみんながいるから立つ役。だからこそ、みんなを信じて本番まで模索し続けます。

――― 今最も注目される劇団として、サルメカンパニーさんのお名前が多く聞こえてきており、今後カンパニーとして目指す場所やどんな作品を上演していきたいなど、あればお聞かせください

そう言って頂けるのは嬉しいし励みになります。冒頭の答えと重複してしまいますが、とにかく常にチャレンジしていきたいです。
作り手もお客様もこれまで出逢ったことのない方と出逢いたい。面白いことをしたい人、観たい人がおのずと集まる劇団になりたいなと思います。

――― 最後に、この『文明開化四ッ谷怪談』を楽しみにしているお客様へ一言お願いいたします!

福田先生の新作に20代から70代が集まって挑みます。僕らにとってもお客様にとっても体験したことのない作品になるはずです。
皆様がこの作品を見て何を感じ、考えるのか。ぜひ見終わった後にご感想をお聞かせください!

日本劇団協議会主催
日本の演劇人を育てるプロジェクト
新進劇団育成公演
サルメカンパニー特別公演
『文明開化四ッ谷怪談』

公演期間:2024年1月26日(金)~2月4日(日)
会場:駅前劇場

【あらすじ】
時は明治初年。
廃刀令が布告され、侍は腰が軽くて落ち着かない。相次ぐ士族の反乱。
今一度のご一新を探る士族たち。
西郷隆盛が起った。
九州で始まった戦争は人々を、女たちを巻き込み・・・?
 
福田善之(92歳)が井村昂(76歳)の協力を得て、
20代の劇団サルメカンパニーとともに 大南北(71歳)の名作に挑む!
全編生演奏でおくる、文化文政を歴史の転換期に飛翔させた書き下ろし新作!
 
【キャスト】
石川湖太朗
遠藤広太
小黒沙耶(A)
西村優子(A)
遠藤真結子(A)
(以上サルメカンパニー)
 
村岡哲至
柴田元
鷲見友希(A)
大林拓都(B)
井上百合子(B)
髙木友葉(B)
松原もか(B)
島村苑香
中島ボイル
丸山輝
鈴木良一
あいしゅん(guitar)
青(bass)
藤川航(sax)
河野梨花(drum)
 
【スタッフ】
作:福田善之・井村昂
演出:石川湖太朗
舞台美術:佐藤麗奈
衣裳:西村優子
照明:鷲崎淳一郎(Lighting Union)
音響:坂口野花(TEO)
舞台監督:新井和幸
振付:宮河愛一郎
殺陣指導:菊地竜志
所作指導:藤間笙三郎
作・編曲:小黒沙耶
作・編詞:宮原芽映
映像:宇野雷蔵
宣伝美術:小林央菜乃
宣伝写真:坂本彩美
宣伝デザイン:HATERUMOFUTO
記録映像:澤田悠世
ヘアメイク:三浦光絵
演出助手:松戸デイモン・國崎史人
稽古場写真:藤川直矢
協力:うずめ劇場/演劇集団円/オールウェーブ・アソシエツ/株式会社MADカンパニー/クリオネ/劇団とっても便利/GMBプロダクション/高津装飾美術/東宝舞台株式会社 衣裳部 久保田俊一/Tomo Idei/ビクターミュージックアーツ
当日運営:平賀夢菜/稲葉美穂/三浦真央(Souer+)
制作:公益社団法人日本劇団協議会
制作協力:サルメカンパニー
スーパーバイザー:白川浩司(劇団民藝)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(次代の文化を創造する新進芸術家育成事業))独立行政法人日本芸術文化振興会
主催:公益社団法人日本劇団協議会

『文明開化四ッ谷怪談』サルメカンパニーコメント

【石川湖太朗】
五年前、福田先生から「君はいつか伊右衛門をやるべきだ。」と言って頂きました。
二年前に「伊右衛門をやるなら先生が書いた伊右衛門が良い。」と言いました。僕のわがままが実現しました。こりゃやるしかない。

【小黒沙耶】
先生はいつも、チャレンジしてみて下さい。と仰います。
『文明開化四ッ谷怪談』は私たちにとってとてつもなく大きなプレゼントでもあり、とてつもなく大きな先生からの挑戦状でもあるのかなと思います。
臆せず恐れず挑み続けます。
ご期待ください!

【遠藤真結子】
一筋縄ではいかない福田戯曲。
福田先生が紡いだ言葉一つ一つに心動かされつつ、もっともっと深いところで噛み砕けるよう臆せず挑みます。
私たちの為に書き下ろしてくださった『文明開化四ッ谷怪談』。
新時代を切り拓きます。

【西村優子】
『君たちの為に書いてるんだ。』
福田先生が真っ直ぐ、私の目を見て言いました。嬉しくて、胸が熱くてたまらない気持ちと、張り詰めた緊張。色んな気持ちが渦巻いています。
福田先生が書く新しい”四ッ谷怪談”に、私達の全てをかけて、飛び込みます。

【遠藤広太】
サルメの第二回公演でオッペケペを上演し、それから5年が経ち再び福田先生の台本に挑みます。
今回は僕らの為に書き下ろしていただいた新作!!
福田先生の書く台詞の一つ一つと全力で向き合いたいと思います!!!

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