KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『SHELL』が開幕

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『SHELL』が開幕

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『SHELL』が開幕
人間の<かたち>を、魅力的な芝居とステージング、⾳楽で魅せる意欲作

倉持裕×杉原邦⽣が初タッグを組んで描く⻘春ファンタジー『SHELL』。特異な⼈間が存在する現代社会を舞台にした群像劇だ。 2023年11⽉11⽇(⼟)からの開幕に向け、ゲネプロが⾏われた。

撮影:引地信彦

舞台上は照明や機材が剥き出しの状態で、セットも無造作に置いてある。普段なかなか⾒る機会のない舞台機構や、床やセットに使われている鮮やかな緑⾊が印象的だ。そこに開演前から⽣徒役のキャストが⼀⼈、またひとりと現れ、ステージ後⽅にある椅⼦に座って雑談を始める。休み時間のような雰囲気とポップな中にも不穏さを感じさせる⾳楽で、これから始まる作品への期待が⾼まっていく。
物語は、⾼校⽣たちがある⽇突然学校に来なくなった「松⽥先⽣」について話し合っているシーンからスタート。同時に、ガラの悪い場所に出⼊りする娘を⼼配する中年男・⾼⽊、飼っていた何かを逃してしまったらしい盲⽬の⼥性・⻑⾕川という、⼀⾒なんの関係もない⼈たちの姿が描かれる。
学⽣たちのリーダー的存在の未⽻は、街で⾒かけた中年男の⾼⽊が同級⽣の希穂に⾒えるという体験をし、この世界には「いくつもの顔を持つ⼈間」が⼀定数存在することを知る。そこから本来は絶対に交わることのない⼈々が意図しない繋がり⽅をし、それぞれの⽇常が変わっていく。
今回は希穂を演じる⽯井杏奈と未⽻を演じる秋⽥汐梨によるW主演。⽯井の凛としていながらどこか儚さを感じさせる佇まいに惹き付けられた。対する秋⽥は誰に対しても真正⾯からぶつかる等⾝⼤の⼥⼦⾼⽣を好演している。また、シリアスなシーンや鋭い⾔葉のやりとりが多い中、⽯川雷蔵演じる咲⽃の優しさにホッとする。咲⽃と希穂の初々しく温かい会話が緩衝材のようになっていると感じた。
また、希穂と未⽻を中⼼とする⾼校⽣たちがメインだが、⾼⽊(岡⽥義徳)や⻑⾕川(原扶貴⼦)の物語も魅⼒的だ。年齢も⽴場も様々な⼈の視点を通して他者と関わることが描かれ、それぞれの⾔葉が胸に迫ってくる。
教室やビル、アパートといったセットの移動や⼊れ替えもキャストによる⾝体表現と共に⾏われ、単なる場⾯転換だけではない意味や意図を感じさせるのが本作の特徴の⼀つ。 また、若⼿⾳楽家・原⼝沙輔による⾳楽も⼤きな魅⼒。美しいが硬質で緊張を孕んだメロディ、不穏な空気を増幅させるような⾳が、それぞれの場⾯をより印象的に演出している。
芝居を引き⽴て、想像⼒をさらに膨らませる⾳楽と照明、舞台美術や演出により、不可思議な世界が実に魅⼒的に描き出される。劇場に⼊った時は簡素に⾒えた舞台上で、次々に繰り出される豊かな表現に驚かされた。
俳優とクリエイター陣が織りなす不思議でほろ苦い⻘春ファンタジーを、ぜひ劇場で⾒届けてほしい。

また、開幕にあたって演出の杉原とメインキャストからのコメントも到着した。

<コメント>

演出 杉原邦⽣
『SHELL』は⾼校⽣たちが主役の物語です。ひとつのことだけにがむしゃらになれたあの“蒼(あお)き時期(とき)”に思いを馳せていたからでしょうか、今年の秋は少しだけ、⾼校時代に戻ったような⽇々でした。
「毎⽇⽂化祭がやりたい」と演劇をはじめた僕にとってそれは、原点回帰のような時間でもありました。
僕の創作の根っこにはいつも、⾼校時代のあの匂いとエネルギーがあるのです。
カンパニーメンバー全員がただただ「あたらしくておもしろい演劇をつくりたい」というひとつの想いで創作に向かっていました。それはシンプルなことのようで、とても難しいことだったりします。舞台稽古をしながら、その想いが着実に舞台上で“貌(かたち)”づくられていく様に興奮しています。
ぜひ、この作品を劇場で体感してください。
ご来場お待ちしています︕

伊藤希穂役 ⽯井杏奈
いよいよ舞台『SHELL』が開幕となります。
舞台では初の主演という⽴場で、
しっかりと責任を持って
舞台に⽴つという覚悟とともに
稽古に参加したのを昨⽇のことのように覚えています。
明るく楽しい学⽣たちと、
優しさで包み込んでくれる⼤⼈キャストの皆さんと、
そして助け合い寄り添ってくださるスタッフの皆さんと
ひとつになって創り上げた作品です。
お芝居だけでなく、歌や踊り、それぞれの体での表現、
照明、⾳楽、セット、全てが魅⼒的です。
皆様にお伝えしたいことはただひとつ。
「是⾮その全てを劇場で体感してください‼」

沢⽊未⽻役 秋⽥汐梨
ついに開幕します︕
⼀ヶ⽉以上の稽古で、⾃分の知らなかった感情に出会う機会がたくさんありました。
⾃分の気持ちに素直な未⽻を演じていると毎回違う発⾒があり、最初に⾃分で考えていた未⽻とは全く違うものになっています。そこがまた演じていて⾯⽩くもあり、これからもどんどん新しい発⾒があるんだろうと思うと、これから始まる本番がとても楽しみです。
お芝居だけではなく照明や⾳響、セットなどからも“SHELL“の世界観が存分に表現されているので、その不思議な世界観にどっぷりと浸かっていただけると嬉しいです︕

⾼⽊憲⼀役 岡⽥義徳
⼀ヵ⽉の稽古を終えて遂に本番を迎えます。
若い⽅たちの吸収率や成⻑を⽇々感じながら、その成⻑にプレッシャーを感じたり、学ばせてもらったりして稽古期間を過ごしました。
杉原さんの演出により、若い世代の⽅が⽣き⽣きと舞台上で⽣きる時間を観て頂きたい。
演劇を知らない、観た事がないという⽅にも是⾮、この不思議で⽣々しく、とにかくカッコ良い空間、時間を体感しに来てください。

◆公演概要

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『SHELL』

作:倉持裕
演出:杉原邦⽣
⾳楽:原⼝沙輔

【出演】
⽯井杏奈 秋⽥汐梨
⽯川雷蔵 ⽔島⿇理奈 成海花⾳ 北川雅 上杉柚葉 キクチカンキ ⾹⽉彩⾥
近藤頌利 笠島智 原扶貴⼦
岡⽥義徳
藍実成 秋⼭遊楽 植村理乃 ⼩熊綸 ⽊村和磨 古賀雄⼤ 出⼝稚⼦ 中沢凜之介 中嶋千歩 浜崎⾹帆

【スタッフ】
舞台美術:佐々⽊⽂美
照明:吉本有輝⼦
⾳響:稲住祐平
⾐裳:丁瑩
ヘアメイク:国府⽥圭
振付:北川結、仁科幸
演出助⼿:⽇置浩輔
舞台監督:藤⽥有紀彦
制作進⾏:ycoment

【⽇程/会場】
2023年 11⽉11⽇(⼟)~11月26⽇(⽇) [KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉]
 ※一部公演にて託児サービスあり。公演⼀週間前までに要予約・有料(マザーズ:0120-788-222)

【チケット】
・S席:6,800円
・S席 平⽇夜割:6,500円
・A席:4,800円
・神奈川県⺠割引(在住・在勤/S席のみ):6,000円
・U24 チケット(24歳以下):3,400円
・⾼校⽣以下割引:1,000円
・シルバー割引(満65歳以上):6,300円
〈全席指定・税込〉

※神奈川県⺠割引は、チケットかながわの電話・窓⼝にて取り扱い(前売のみ、枚数限定、要 住所確認)
※U24・⾼校⽣以下・シルバー割引はチケットかながわの電話・窓⼝・WEBにて取り扱い(前売のみ、枚数限定、要証明書)
※⾞椅⼦でご来場の⽅は、購⼊前にチケットかながわにお問い合わせください。
※未就学児の⼊場はご遠慮ください。
※営利⽬的の転売禁⽌。
※公演中⽌の場合を除き、チケットの変更・払い戻しはいたしません。

■公式サイト:https://www.kaat.jp/d/shell
■公式 X(旧 Twitter):@kaatjp

主催・企画制作:KAAT神奈川芸術劇場
助成:⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(舞台芸術等総合⽀援事業)
   独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会

ツアー

[京都公演] 京都芸術劇場 春秋座 2023年12⽉9⽇(⼟)15時開演、10 ⽇(⽇)13 時開演
主催:京都芸術⼤学 舞台芸術研究センター
お問合せ:京都芸術⼤学 舞台芸術研究センター 075-791-9207 https://k-pac.org/

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