【上演決定】新生Noism新作第一弾は“さすらい人”の詩

シューベルト歌曲によって紡がれる、さすらう人々の詩(うた)
沈黙の叫びと共に屹立する舞踊家たち。Noismの新たな旅がここから始まる。

公演によせて(井関佐和子)

私が国際活動部門芸術監督に就任して初めての公演となる今作。
私自身まだ先が見えぬ未知の世界に飛び込んでいるこの瞬間を、カンパニーの全メンバーと一緒に生ききることができるか。
それがこれからの Noism にとって、とても重要な分岐点になると思っています。
そういう意味でも金森が今までとは少し違った観点からカンパニーを見て、創り上げる今作『Der Wanderer』が、メンバー一人ひとりにとっても大きな挑戦になるでしょう。
私たちがめざす集団は、「同一」ではなく「一体」
です。個々の個性を各々が大切にし、お互いを尊重しつつ同じ方向を向いて一緒に歩いていく集団であってほしいと思っています。
「集団には広さがある。個人には深さがある。」
私たちは今この時代を共に生き、世界で起こっている様々なことを共に経験しています。
しかしそこには人それぞれの価値観があり、湧き上がる感情も異なる。その違いを、舞踊を通して互いに見つめ、つながり、新たな価値観が生まれていく。それが私の信じる芸術の力です。
今作がカンパニーの長い歴史の中で受け継がれて行くものとなることを信じています。
金森が常々言っている「劇場文化 100 年構想」はまだまだ道半ばですが、この国のこれからの世代に寄り添いつつも、彼らが劇場文化の本質を理解して、それを受け継いで行ってくれるよう、しっかりと伝えていきたいと思っています。

創作によせて(金森 穣)


新生 Noism

新潟市の新レジデンシャル制度に則り、井関に国際活動部門(Noism0 & Noism1)、山田に地域活動部門(Noism2)の裁量権を委ね、新たに二部門制での活動を始める新生 Noism。この新たな旅立ちに際して、演出振付家としてどのようなものを創作しようか考えていた。その答えを出すために、Noism という集団の課題を客観的に分析してみた。

Noismの強みは何をおいても集団性である。朝から晩まで集団活動をする事ができる場所を有し、独自の訓練法を有し、その活動に100%集中することを可能にする生活保障を得ている集団は、この国には他にないからである。しかし強みは時として弱みとなる。

ソロ

過去の作品にも舞踊家が一人で踊るシーンはあったし、全員にソロパートがある作品もある。
けれどもそれは周りに集団がいたり、一曲のうちに入れ替わりでソロを踊ったりするもので、舞台に完全に一人で立ち、一曲を踊り切るという演出のソロではない。
例えあったとしてもそれは、長年私と創作を共にした舞踊家にのみ与えられる機会だった。
それを今回は自らに対する“演出的制約”として、敢えてメンバー全員に背負わせてみたい。
少なからず創作段階においては。果たしてそれがどのような作品になるのか、それは今の私にもわからない。
ただ現時点で言えるのは、一人ひとりがソロで立てるだけの力量を有した個人の集合としての集団。それが新生 Noism のめざす集団性であるということである。

歌曲

ここ数年歌曲に惹かれる。
『夏の名残のバラ』『NearFarHere』『お菊の結婚』など、なぜか歌曲に惹かれる。歌曲を聴くと踊る身体が見える。
そして気づけばシューベルトばかり聴いていた。シューベルトの歌曲を初めて聴いたのはルードラ在学中である。
学校でベジャール作品を習う機会に聴いたのだと思う。要するに聴いたのではなく踊ったのである。
歌曲への振付とは、歌い手と舞踊家、音楽と身体との最小単位での関係性によって、振付家の力量、語彙の独自性、何より音楽性を如実に表すものである。
そこに歌詞(詩)があることによって、言語と身体の関係性をも表現するものとなる。だから本創作は、私にとって自らの振付力(演出力ではなく)と向き合う挑戦でもある。

シューベルトの世界

シューベルトはその短い生涯で700曲もの歌曲を創作した天才音楽家である。
本作はその歌曲から、愛と死というテーマに分けて20曲ほどを選び創作される。
愛と死というテーマほど、人が孤独であるということと同時に、人は一人ではないということを表現するテーマはない。
そしてこのテーマほど、早逝の天才音楽家シューベルトの精神を表しているテーマはないと思うからである。
歌曲には歌詞(詩)がある。シューベルトは文豪ゲーテを始めとする多くの詩人の言葉からインスピレーションを得て作曲している。
シューベルトは詩を読むとすぐさま作曲に取りかかれたという。それはすなわち、シューベルトにとって音楽とは詩だからに他ならない。

Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)

りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館を拠点に活動する、日本初の公共劇場専属舞踊団。
プロフェッショナル選抜メンバーによるNoism0(ノイズムゼロ)、プロフェッショナルカンパニーNoism1(ノイズムワン)、研修生カンパニーNoism2(ノイズムツー)の3つの集団があり、
国内・世界各地からオーディションで選ばれた舞踊家が新潟に移住し、年間を通して活動。2004年の設立以来、りゅーとぴあで創った作品を国内外で上演し、新潟から世界に向けてグローバルに展開する活動(国際活動部門)とともに、市民のためのオープンクラス、学校へのアウトリーチをはじめとした地域に根差した活動(地域活動部門)を行っている。
Noismの由来は「No-ism=無主義」。特定の主義を持たず、歴史上蓄積されてきた様々な身体表現を後世に伝えていこうとしている。

19th(2022 / 2023)シーズンメンバー
芸術総監督 / Noism0=金森穣
国際活動部門芸術監督 / Noism0=井関佐和子
地域活動部門芸術監督 / Noism0=山田勇気
Noism1=井本星那、三好綾音、中尾洸太、庄島さくら、庄島すみれ、坪田光、樋浦瞳、杉野可林、糸川祐希 凖メンバー=横山ひかり
Noism2 リハーサル監督 / Noism1=浅海侑加
Noism2=兼述育見、土屋景衣子、渡部梨乃、太田菜月、河村アズリ、佐藤萌子、高田季歩、村上莉瑚

公演概要

Der Wanderer ―さすらい人
演出振付:金森穣
音楽:シューベルト
衣裳:堂本教子
木工美術:近藤正樹
出演:Noism0、Noism1

新潟公演
2023年1月20日(金)→2月4日(土)
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈スタジオB〉
入場料:整理番号付き自由席 5,000 円 U25 3,000 円 高校生以下 1,000 円(税込)
主催:公益財団法人新潟市芸術文化振興財団 

東京公演
2023年2月24日(金)→2月26日(日)
世田谷パブリックシアター
入場料:全席指定 一般 6,000 円 25 歳以下 3,000 円(税込) 他
主催:公益財団法人新潟市芸術文化振興財団
提携:公益財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター
後援:世田谷区

Noism オフィシャルウェブサイト www.noism.jp







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