【上演決定】トランスレーション・マターズ『月は夜をゆく子のために‐A Moon for the Misbegotten‐』

2022年10月8日(土)~10月19日(水)、すみだパークシアター倉にて、トランスレーション・マターズ『月は夜をゆく子のために‐A Moon for the Misbegotten‐』の上演が決定した。

トランスレーション・マターズ 上演プロジェクト2022

「トランスレーション・マターズ」は、戯曲翻訳者による企画を発信・実現する目的で、2021年6月に設立された一般社団法人。

理事(ディレクター)として、小川絵梨子・常田景子・小田島創志・広田敦郎・小山ゆうな・髙田曜子・木内宏昌(代表)が参加。

これまで翻訳研究会、リーディング、トークセッションなどの活動を重ね、2022年10月にいよいよ上演プロジェクト第1弾となる本公演を行う。

トランスレーション・マターズ

「トランスレーション・マターズ」は、「翻訳の言葉から演劇を革新する」という思いのもと、近代古典戯曲の新訳に取り組み、上演プロジェクトを実現していきます。

従来の上演プロセスに縛られることなく、テキストづくりから始まる一連の活動をプロジェクトとし、中長期にわたる準備期間とリハーサル期間を経て、翻訳者、演出家、俳優、スタッフとともに作品づくりに臨みます。

上演プロジェクトの第一弾として選んだのは、近代アメリカ演劇の源流にあるユージーン・オニールの作品です。旧来のオニール作品は、「難しい、暗い、重たい」というイメージがありますが、現代の光を当ててみると、異なるイメージが浮かんできます。

しかしながら、先行訳の入手は困難であり、また、数少ない訳書も、現代の観客が受け止めるにはどうしても古くなってしまっています。

そこで、私たち「トランスレーション・マターズ」の上演プロジェクトでは、オニール最後年作『A Moon for the Misbegotten/月は夜をゆく子のために』の新訳を試みました。

文学研究のためではなく、声を発する俳優のための翻訳を作ることに主眼を置きました。

現代の俳優が生き生きとした日本語を駆使しながら、モダン・クラシックの問題作に現代の光を当て、現代の観客にオニールの名作を届けます。

ユージーン・オニール Eugene Gladstone O’Neill 

1888年~1953年。アメリカ合衆国の劇作家。アメリカの近代演劇を築いた。
ピューリッツァー賞3回受賞、1936年にはノーベル文学賞も受賞している。

1888年、俳優の父親が巡業中に滞在したホテルで三男として生まれる。
プリンストン大学中退後、NYの通信販売会社、金鉱発掘の助手、父親の劇団の俳優や助手、ニューロンドンの新聞記者、船乗りなど職を転々とし、その経験は多くの戯曲の題材となる。
結婚の破綻・自殺未遂に加えて、軽度の結核を罹患。療養中に処女作『蜘蛛の巣』(The Web)を執筆。退院後、ハーバード大学演劇学教授ジョージ・ピアス・ベイカーに劇作を学ぶ。

1916年、芸術家集団「The Provincetown Players(プロヴィンスタウン・プレイヤーズ)」に参加。
朗読作品『カーディフ目指して東へ』でデビュー以降、一幕劇を次々に発表。劇団・作家ともに注目を集め、後にオフ・ブロードウェイ運動の原動力となる。『地平線の彼方』でブロードウェイ進出。ピューリッツァー賞受賞。『皇帝ジョーンズ』の上演によりオニールの名は世界に知らしめる。
36年にはノーベル文学賞受賞。41年、『夜への長い旅路』(遺言にて死後25年間の上演を禁じる)を、43年には『月は夜をゆく子のために』を脱稿するも、次第に体が弱り1日3時間の執筆が限界になっていく。
65歳となった1953年、ボストンのホテルの一室で死亡。
最期の言葉は”I knew it. I knew it. Born in a hotel room, and God damn it, died in a hotel room.”

『A Moon for the Misbegotten』について

先行訳(1956年喜志哲雄訳)以来、『日陰者に照る月』と訳されてきました。敬意を払うべき名訳ですが、今回は新解釈に基づき、邦題も刷新しています。
この作品を脱稿した1943年は、ユージーン・オニールが執筆可能だった時期の最後年でした。その2年前(1941年)に書いた自伝劇『夜への長い旅路』の明らかな続編で、オニールの実兄(ジェイムズ・オニール・ジュニア)が登場します。その兄が40代前半でこの世を去る直前の話となっています。

4幕構成。登場人物は5人。
母が他界し遺産を相続することになったジェイムズ(ジム)とその領地の小作人父娘(フィルとジョジー)による、一日の物語となっています。
台詞はエネルギッシュで、登場人物たちの駆け引きは時にコミカル、ジムとジョジーのラブストーリーとして時にロマンティックな明快な物語です。

しかし初演時には、母性を冒涜するものであるとして、当局から上演中止を命じられました。
オニールは、最後の最後に執筆したこの作品において、血の繋がった兄をモデルに描きながら、「人間とは何か」という普遍的テーマを問いました。そして「誰も孤児ではない」という苦味と温かみが混ざり合ったメッセージを伝えています。オニールが探求した「人間とは何か」というテーマは、後年のテネシー・ウィリアムズやアーサー・ミラーらに継承され、現代のドラマへと受け継がれていると言えます。

<『A Moon for the Misbegotten』上演歴> 
 1947年 オハイオ州コロンバスのハートマン・シアターで初演
 2007年 ケビン・スペイシー、イヴ・ベスト、コーン・マーネー

キャスト・スタッフ プロフィール

まりゑ/ジョジー・ホーガン(フィルの娘)役 ※Wキャスト
1993 年『塩祝い申そう』で初舞台、『ピーター・パン』(94・95)、『アニー』(96)、『レ・ミゼラブル』(97)など、子役時代から舞台を軸に活動する。
近年の主な出演作に【舞台】『チョコレート・ドーナツ』(21)、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(21)、『風桶』(21)、『大地』(20)、『キューティー・ブロンド』(19)、【ドラマ】『ルパンの娘』(CX・20)、『不可避研究中』(NHK・20)、『天才てれびくんhello』(NHK・22)など、舞台以外にも活躍の幅を広げている。

毛利悟巳/ジョジー・ホーガン(フィルの娘)役 ※Wキャスト
東京都出身。日本大学芸術学部演劇学科を卒業後、舞台、映画で活動。近年の主な出演作に【舞台】『KING LEAR ーキング・リアー』(木村龍之介演出)、『そよ風と魔女たちとマクベスと』『真冬のバーレスク』(串田和美演出)、『パレード、パレード』『グリークス』『水の駅』(杉原邦生演出)、『じゃり』(小川絵梨子演出)、『走り去る人たち』(永井愛演出)、『あの記憶の記録』(日澤雄介演出)、【ドラマ】『相棒15』(EX)、【映画】『愛について語るときにイケダの語ること』など。

内藤栄一 /ジム(ジェイムズ・タイローン・ジュニア)役
長野県出身。2006年まつもと市民芸術館『水の話』で故中嶋しゅうと出会う。蕎麦打ち職人として働く傍ら演劇を始め、2017年上京。近年の主な出演作に『男たちの中で』(演出 佐藤信)、『反応工程』(演出 千葉哲也)、『beauty queen of leenane』(演出 小川絵梨子)、『ヘッダ・ガーブレル』(演出 稲葉賀恵)、『朝日のような夕日をつれて』(演出 逸見輝羊)、『ハツカネズミと人間』(演出 新井ひかる)、『少年Bが住む家』(演出 大澤遊)、などがある。

大城清貴/マイク・ホーガン(ジョージーの弟)役 
沖縄県出身。琉球大学教育学部音楽教育専修卒業。地元ではオリジナルミュージカルを中心に舞台出演の他、作曲・編曲・DTMによる音源製作等で活動。2020年4月より舞台活動の幅を広げる為に上京。『MY SHINING HOURS』(studioOVA主催)、『Under a spell: Magical Concert vol.2』(合同会社Art&Arts主催)のコンサートにコーラス等で出演。現在、ミュージカルcafe & dinner offza にてライブ活動を行っている。

小倉卓/T・ステッドマン・ハーダー(大富豪)役 
埼玉県出身。ミュージカル、ストレートプレイの舞台で役者として活動しつつ、映像作品への出演やイベントMC、テーマパークのショー出演などにも活動の幅を広げている。また、映画演劇文化協会『この森で、天使はバスを降りた』や宇宙劇『ウレシパモシリ』などでは、役者として作品に出演しつつ、劇伴のギター演奏者としても参加する。近年の主な出演作に、【舞台】『チェーコフ イズ グレイト バット…』、『ザ・ダーリン』、オフィス3〇〇『音楽劇 あかい壁の家』、TYプロモーション『リア王2018』、ミュージカル座『ミュージカル カムイレラ』などがある。

大高洋夫/フィル・ホーガン(ジョージーの父)役 
新潟県長岡市出身。早稲田大学在学中に鴻上尚史と共に「第三舞台」を旗揚げし、以後同劇団のほぼ全作品に出演、中心俳優として活躍した。現在では舞台のみならず、映画・ドラマ・ラジオ・バラエティと幅広く活躍している。近年の主な出演作に【舞台】『地球防衛軍 苦情処理係』(作・演出 鴻上尚史)、『MESSIAH』(脚色・演出 西森秀行)、『ゴドーを待ちながら』(演出 多田淳之介)、『仮面ライダー斬月-鎧武外伝-』(作・演出 毛利亘宏)、『年中無休』(演出 ウォーリー木下)などがある。

翻訳・演出  木内宏昌
東京都出身。演出家、劇作家、戯曲翻訳家。学生劇団、小劇団活動を経て、TPTで海外演出家・美術家との共同創作や、栗山民也演出作の脚本、熊林弘高演出作の翻訳、串田和美演出作の共同演出など携わる。近年の主な舞台演出作品に、CHEKHOV MONODRAMA『チェーコフ イズ グレート、バット…』『人生は素晴らしいか?』、『K.テンペスト』(共同演出)、『人間ども集まれ!』(兼脚本)など。脚本作品に、『OP.110 ベートーヴェン「不滅の恋人」への手紙』、『アドルフに告ぐ』、『TABU〜シーラッハ「禁忌」より〜』、『イリアス』など。『おそるべき親たち』(ジャン・コクトー作)ほかの翻訳で、第7回小田島雄志翻訳戯曲賞を受賞。ユージーン・オニール作品の翻訳に、『楡の木陰の欲望』(寺島しのぶ主演)・『夜への長い旅路』(大竹しのぶ主演/2021・麻実れい主演/2015)がある。

公演概要

団体名    トランスレーション・マターズ 上演プロジェクト2022
公演タイトル 月は夜をゆく子のために‐A Moon for the Misbegotten‐
出演     まりゑ/毛利悟巳(Wキャスト) 内藤栄一 大城清貴 小倉 卓 大高洋夫
公式サイト  https://translation-matters.or.jp
公演期間   2022年10月8日(土)~10月19日(水) 
チケット   [全席指定/税込] 一般:6,600円 (前売・当日共)、学生割引券:1,000円
【カンフェティ】 http://confetti-web.com/translation-matters ※8月27日(土)10:00 一般発売開始
0120-240-540(受付時間 平日10:00~18:00  ※通話料無料・オペレーター対応
会場        すみだパークシアター倉  〒130-0003 東京都墨田区横川1-1-10
<スタッフ>
作 ユージーン・オニール
翻訳・演出 木内宏昌
翻訳監修 トランスレーション・マターズ
美術 中村公一
照明 倉本泰史
音響 長野朋美
衣裳 小泉美都
ヘアメイク 林摩規子
音楽 松崎ユカ
舞台監督 河内崇
宣伝美術  山本恵章 (Gene & Fred)
宣伝物制作コーディネート 武次光世 (Gene & Fred)
小道具協力 高津装飾美術 tpt
プロデューサー 三瓶雅史(ニューフェイズ)
制作 藤野和美(オフィス・REN) 鴻上夏海(ニューフェイズ)
制作・票券 福本悠美(オフィス・REN)
助成 公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
主催・企画・製作 一般社団法人トランスレーション・マターズ

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