演出家・野坂実を中心に、世界中の名作ミステリーを舞台作品・朗読劇で上演し続けている「ノサカラボ」。どの作品にも個性を持ったキャストを起用して、唯一の世界を作り上げている。
その中でもベテラン声優として数多のアニメ作品に出演している関智一を主役に掲げたのが、朗読劇『アルセーヌ・ルパン』シリーズだ。第4弾となる『カリオストロ伯爵夫⼈』は、原作の『アルセーヌ・ルパン』シリーズでも人気の高い作品。それをルパン役の関と、原作者であり相棒でもあるモーリス・ルブラン役の⽊村良平という不動のコンビのもとに、カリオストロ伯爵夫⼈に⼩清⽔亜美と久保ユリカのWキャスト、ルパンの婚約者・クラリスに古賀葵と⼩原好美のWキャスト、更にクラリスの父・デティ―グ男爵を金光宣明、ルパンシリーズ最恐の怪人物・ボーマニャンを安元洋貴という実力派のメンバーで上演するという。そしてスタッフも、衣装は舞台『キングダム』などを手がける中原幸子、音楽をJ-POPからアニソンまで多くの楽曲を手がける渡辺チェルという、強力な布陣が敷かれている。
これまで以上に力が入った朗読劇『アルセーヌ・ルパン#4 カリオストロ伯爵夫⼈』。主役の関に話を聞いた。
―――今回で4作目となるこのアルセーヌ・ルパン・シリーズですが、ルパンについて関さんの中でそろそろキャラクターができあがってきているのではないですか。
「そんなことはないですよ。年に一度、忘れた頃にやってきますから(笑)。しかも毎回、色々なキャラクターに変装している時間が長いですから。あまり『コレだ!』というのは定まっていません。でも女性に対しては情熱的であることは確かでしょうね。
実はあまり本を読むのが得意じゃなくて、ルパンのシリーズもこのプロジェクトに関わることをきっかけに読んだくらいです。それでわかったんですが、(ルパンシリーズは)スリルとサスペンスのイメージがありますが、実際には“恋多き男の物語”といった印象なんですね。その点は、よく知られているアニメ『ルパン三世』に繋がる部分だと思います」
―――それでは最新作も、どんなルパンになるかは見えていないと?
「台本はまだですから、僕自身あらすじ程度しかわかっていません。ただ毎回、恋愛によって事件に巻き込まれて大変な思いをしていますから、そこが(最新作は)いつも以上だとなると、生命の危険を感じますね。
またタイトルにある『カリオストロ~』は、アニメのルパン三世シリーズでタイトルにもなっていますから、皆さんにはそっちで馴染み深いでしょう。だから、そこから興味を持って物語に入ってきていただくのも面白いかなと思います」
―――ベテラン声優として数々の作品に出演されている一方で、俳優としても活動される関さんですが、作品に挑むときの緊張感は違いますか。
「お客さんの前で演じる時は、作品や役柄のキャラクターを全部担うわけなので、それなりの支度をして舞台に出ていくわけです。アニメだと絵と声と音との共同作業であって、声優はその声だけを担うわけですね。でも、どちらもあまり緊張感は変わりません。アニメの場合は録り直しも出来ますが、僕はそれを余り考えないようにしていますから。
ただ、以前(朗読劇『アルセーヌ・ルパン』シリーズで)変装しながら椅子から立ち上がって、そこから1時間半くらいずっと立ちっぱなしだったことがありました。そうしたらもうふくらはぎがパンパンになってしまって(笑)。あれはキツかったですね。次から座るタイミングも作ってもらわないと(笑)。役にもよりますが、意外に紳士的キャラが多くて、それなりに直立していたらもう痛くて(笑)。ふくらはぎの痛みとの闘いでした」
―――今回は更に、衣装担当に舞台『キングダム』や『千と千尋の神隠し』を手掛けられた中原幸⼦さんが入られています。いま着ていらっしゃるのがその衣装ですね。
「(衣装を)あつらえていただいたのは嬉しいでことですね。やはり衣装やメイクはキャラクター作りの助けになりますから感謝しています。本業(声優)だと収録の時は私服が多いので、皆さんの外見からイメージをもらう事は難しいですからね」
―――4回続いてきたこのシリーズを楽しみにしている方も、ちょっと気になるけどまだ観たことのない方もいるかと思いますが、そんな皆さんにメッセージをいただけますか。
「ある日、(ノサカラボ主宰の)野坂実さんから『ルパンの朗読劇をやりませんか』とお話をいただいて、共演者を選ぶ際には僕の意見も採り入れてくださいました。そんな風に一緒に作ってきたシリーズが、続くかどうかもわからない中で4回目となりました。
1年振りに観てくださる皆さんには『4回目まで来ましたよ、ありがとうございます』とお伝えしたいですし、これから観てみようという方には『もう4回は続いていますから、全くつまらないこともなく、続くだけのポテンシャルがある作品です』とお伝えしたいです。年に一度の朗読劇に是非足をお運びください」
―――5回、6回と続いていって、いつしかライフワークになるかもしれませんね。
「そのうちに立てなくなって、座ったままやるようになるかもしれませんけどね(笑)」
(取材・文&撮影:渡部晋也)
プロフィール
関 智一(せき ともかず)
東京都出身。声優養成所を経て、海外アニメの吹替でデビュー。1993年の『機動戦士Vガンダム』におけるトマーシュ・マサリク役で初レギュラーを射止める。様々な年齢や役柄、主役級から悪役、シリアスからコメディまで幅広くこなし、数多くの作品に出演している。舞台作品も積極的に手がけ、自ら劇団「ヘロヘロQカムパニー」を主宰している。
公演情報
ノサカラボ朗読劇『アルセーヌ・ルパン#4 カリオストロ伯爵夫人』
日:2024年8月31日(土)・9月1日(日)
場:大手町三井ホール
料:特典(台本)付きチケット10,000円
一般8,500円(全席指定・税込)
HP:https://nosakalabo.jp/lupin-04/
問:ノサカラボ
050-3159-9601(受付時間10:00~18:00)