ふぉ~ゆ~meets梅棒『Only 1, NOT No.1』に出演!紅ゆずるインタビュー

ふぉ~ゆ~meets梅棒『Only 1, NOT No.1』に出演!紅ゆずるインタビュー

エンターティメントの世界で「Only1」な存在として舞台、映像で活躍を続ける「ふぉ~ゆ~」が、2022年に上演した舞台『Only 1, NOT No.1』が、更なるパワーアップを遂げて、2025年7月13日から8月3日、東京・日比谷のシアタークリエで上演される(のち、8月9日~8月10日愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂で上演)。

『Only 1, NOT No.1』は、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで創り上げる唯一無二のダンスエンターテインメント集団「梅棒」とふぉ~ゆ~が初めてのコラボを組んで上演した作品。舞台はふぉ~ゆ~演じる寄せ集めのホストが奮闘する新宿歌舞伎町のホストクラブホスト「WHITE KNIGHT」。持ち前のトークスキルを封印し、全編セリフなし(ノン・バーバル)の演劇表現に挑戦し、自分だけの“Only,1”を磨き“No.1”を目指して奮闘する4人の男たちを演じたふぉ~ゆ~は、誰もが耳にしたことのあるJ-POPの大ヒット曲の数々に乗せて、極上のダンス・パフォーマンスを展開。ホストクラブ同士の激烈バトルが繰り広げられる、歌舞伎町の夜の歴史に残る怒涛の一週間の物語を、梅棒スタイルと呼ばれるダンス&演劇表現で大きな評価を得た。

そんな作品が、ブラッシュアップされて帰ってくるこの機会に、「歌舞伎町の女王」役の新キャストとして参加する、元宝塚星組トップスターで、退団後も舞台を中心に精力的な活動を続ける紅ゆずるが、20曲以上のJ-POPに乗せて展開される、新たな舞台に臨む意気込みを語ってくれた。


──とても面白いアイディアの舞台ですが、まず作品の印象をどう感じていますか?

 初演に宝塚時代の相手役の綺咲愛里ちゃん、あーちゃん(綺咲の愛称)が出ていたんです。それで、是非観に行きたいと思っていたのですが、どうしてもスケジュールが取れない時期で。とても残念だったので、再演に出演というお話を伺ってまずびっくりしました。映像で拝見させていただいたのですが、ダンスで物語を紡いでいく、というお話を聞いて想像していた印象以上に、ダンスが台詞の代わりにきちんとなっていて、それぞれの役が何を感じ、どう行動していくかがちゃんと伝わってくる。ダンスでありつつ、パントマイムの要素も入ってくるのがとても面白いな、と思いながら拝見させていただきました。

──そのなかで、演じるお役柄についてはいかがですか?

 「歌舞伎町の女王」と言われている役柄で、この街で起きていることは全てお見通しという女性なんです。この人はホストに向いているか、いないのかも見ただけですぐにわかる役どころということは、自分もここでやってきて、上り詰めたからこそ磨かれたスキルや、センスがあるからだろうと思うんですね。でもそうしたバックボーンや、彼女が人のどこを見て「やっていける、いけない」を判断しているのかが、劇中で直接的には何も語られていないんです。物語の進行とか、いまの歌舞伎町の状況は喋っているんだけれども、自分のことは何も話していない。だからこそ、やりがいがあるなと思いました。お客様がどう捉えてくださっても構わない分、立ち居振る舞いの一つひとつから、内心で考えていることや、その人が経て来た生き様みたいなものが出ないといけないですし、元々「どう捉えててくださってもいいですよ」という余白がある作品やパフォーマンスって、すごく楽しいと思うんです。これが正解です、というものがないからこそ、お客様が自由に想像できるじゃないですか。そこが作品全体もですし、私の役柄の楽しいところだと思います。

──女王が出てくると、パッと物語が進行したり、新たな局面を迎えることも多いですね。

 そうなんですよ。ですからやっぱり出て来ただけで伝わる存在感とか、重厚感が絶対に必要で大切だなと思っていて。

──それは紅さんにとって、まさに得意分野では?

 いえいえ、そんな(笑)。ただ確かに場面をパッと変える役割をするのは大好きではあります。前の場面を継いで、次の場面につなぐ時とは全く違うテイスト、いきなりこの場面のエネルギーを出して登場する形なので、宝塚のトップスターが果たしている役割に共通していて。

──あぁ、なるほど!

 そういう感覚は懐かしいなと思いますね。特に、宝塚ってひとつの世界観が確立されていて、それを最大限使いながら自分をアピールできる場所なんですが、この作品のなかで描かれている「歌舞伎町のホスト」という職業も、色々な決まり事のなかで、個性が求められているんです。世の中にはたくさんのお仕事がありますけれども、自分の個性を出せ!と強く言われる仕事って、そんなに多くはないのかなと思うので、近いものを感じるのが面白いです。

──そのホストとして奮闘していく「ふぉ~ゆ~」の皆様とは、これから初めて会われると伺っていますが(※取材は5月中旬)、TVや、この作品の映像をご覧になられての印象はいかがですか?

 この方たちこそ作品タイトル通りの『Only 1, NOT No.1』だなと感じました。それぞれが輝いていらっしゃるけれど、4人で一緒になられた時にはあくまでも個性を潰さずに、ひとつのダイヤモンドのように輝かれていて。こういうことって打ち合わせをしているわけでも何でもないと思うんですよ。4人になられた時に、相手がこうきたら、自分はこうだ、という役割分担のようなものが、自然に出来ているんでしょうね。すごいチームワークなんだろうな、と映像を観ていても感じるので、実際に稽古場で、そして舞台でどんな風に4人の方々が表現を膨らませていかれるのか、共演できることをとても楽しみにしています。

──いまのお話を伺っていると、紅さんご自身の宝塚時代、まさに『Only 1, NOT No.1』でいらした舞台姿が思い浮かびますが、そんな紅さんは宝塚ご卒業後、数々の作品に出演されていらして、特にミステリー作品が多いのかなと。

 ミステリー多いです。アガサ・クリスティーの作品にたくさん携わらせていただいてきて、ミステリーは楽しいなと思っています。私はずっとコメディ作品がやりたくて、宝塚時代にはコメディがほぼなかったので、卒業後はコメディに特化した作品を中心にやっていましたし、それも正しかったと自分でも思うんです。ご覧になる方からもコメディに向いていると思われていたので。
 でもその一方で悲恋ものが似合うともよく言われていて、私自身も今までにないものがやりたという願いがあったので、ミステリーに挑戦させていただいたら、とても面白くて。作品のなかで一番悲惨な目に遭う役や、犯人役もよくいただくんですけど、そういう過去を背負っている役を演じることが大好きで、原作小説を読み込んで、こうだろうか、ああだろうか、と自分なりに考えたものを台本に生かしていくのが楽しいんですよね。あぁ、私はやっぱり創造することが好きなんだなと思って。
 特にアガサ・クリスティーは「ミステリーの女王」と言われるだけはあって、作品の幅もすごく広いんですが、そのなかでもむごい殺し方の描写は決してしないとか、事件が起こる場所や設定に共通するものがあったとしても、結末が全部違うし、人物像も違っていて人間を描くのがすごく上手だなと。私はトリックの面白さ以上に、何故犯人が人を殺そうという気持ちにまで至ったのか、そういう人間ドラマを演じるのがとても好きで、楽しいんです。こういう人物造形や、人物像を描くのに、アガサ・クリスティー自身が辿ってきた人生のバックボーンをまとめた本ですとか、小説に出てくる料理をまとめた本まであるので、元々読書が好きなこともあって、そういう関連本もたくさん読んでいますから、機会があるごとに挑戦していきたいです。

──それは拝見する側としてもとても楽しみですが、いまおっしゃったコメディということでは、『NOISES OFF』も抜群に面白かったですね。作品上演中の舞台裏という設定で、聞こえてしまうのでいっさい声は出せないんだけれど、何を揉めているのかがマイムだけでちゃんとわかる、というところに『Only 1, NOT No.1』にも通じるものがあるのかなとも。

 『NOISES OFF』も大好きな作品でした。ひとつの作品を上演している光景を観ていただいてから、いまおっしゃった舞台裏をお見せする、という凝った台詞劇で。役者として「紅ゆずる」がそのまま役名になっていたのもあって、素の部分が自然に出せましたし、私はすべてを回収する役だったんですよ。色々と仕掛けのある舞台なので、例えば誰かが台詞を飛ばすとか、舞台上で何が起きても、瞬時に回収していかないといけないのが大変でしたけれども、それをやっているのが「紅ゆずる」なので、とてもやりやすかったんです。そこからしますと、この『Only 1, NOT No.1』は、表現がダンスになっている、振りがついていて音楽があるので、そこに乗っていけば大丈夫という安心感もありますね。

──色々な意味で楽しみですけれども、こうした多彩な舞台に挑戦されているなかで、宝塚で培ったものが役立たれていると感じることはありますか?

 やっぱり退団してから特に感じるのは、宝塚の卒業生であるということで、今もとても大切にしていただけているという思いがあります。時代と共に宝塚も大きく変わっていますけれども、クリエイターの先生方がおっしゃってくださったことは、未だに様々な現場に行く度に思い出しますし、そういう方々に何年ぶりにお会いしても、一緒に作品創りをした日を昨日のように話すことができるんです。特に私は下級生の頃は本当に何もできなかったのですが、そんななかでも私がメゲずに一生懸命にやっている姿を見て、先生方もこんなに頑張っているんだから、と思ってくださったそうなんですね。そういう見方をしてもらえていたんだ、ということをお聞きすると、人の心を動かすのってやっぱり、情熱やハートなんだなと感じます。ですから宝塚は本当に大切なことを教えていただいた場所だと思います。
 今回の舞台も、出演させていただくと発表になった時から、あーちゃんと共演して欲しかった!というお声をたくさんいただいているんです。いつかそういう機会もあったらいいなと思いますが、私がまずあーちゃんと一緒だと甘えちゃうと思うので(笑)、同じ新キャストの佐々木莉佳子さんと力を合わせて、ふぉ~ゆ~の皆様はじめ、共演者の方々と全く新しい『Only 1, NOT No.1』を楽しんでいただけたらと思っています。是非、新たな「紅の歌舞伎町の女王」を観にいらしてください!

(取材・文/橘涼香 撮影/中村嘉昭)

公演情報

ふぉ~ゆ~meets梅棒『Only 1, NOT No.1』
作・総合演出◇伊藤今人(梅棒)
振付・監修◇梅棒
出演◇ふぉ~ゆ~ 福田悠太/辰巳雄大/越岡裕貴/松崎祐介
梅棒 梅澤裕介/鶴野輝一/遠山晶司/櫻井竜彦/楢木和也/天野一輝/野田裕貴
小野礼実 湊江梨奈 豊田由佳乃 柳澤佳純
佐々木莉佳子
HideboH
紅ゆずる

7月13日~8月3日◎東京・シアタークリエ
〈料金〉11,800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉0570-00-7777(ナビダイヤル)東宝テレザーブ
〈公式サイト〉https://www.tohostage.com/4u_only1/index.html

8月9日~8月10日◎愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂
〈お問い合わせ〉052-320-9100 サンデーフォークプロモーション

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