鎌倉で暮らす四姉妹が紡ぎ出す、ロードムービーのような家族の物語 再び舞台化

 ゆったりと流れる時間のなかで、切なさと優しさが交錯する……。幅広い読者から人気を博し、数々の漫画賞に輝いた吉田秋生の代表作『海街diary』。是枝裕和監督による映画化に続き、2017年に“STRAYDOG”Produceにて舞台化、絶賛されたこの作品が待望の再演を果たす。

 家族を捨てて去った父の死をきっかけに異母妹を迎えることになった3姉妹の次女、佳乃を演じる須藤茉麻と、佳乃の彼氏で、実はまだ高校生である藤井朋章を演じる中本大賀に作品への想いを聞いた。

―――おふたりとも映画版はご覧になったと伺いましたが、再演となる舞台版に出演するに当たって思うところを教えてください。

須藤「すでに原作のファンも、そして映画のファンも沢山いる作品ですし、さらに佳乃という4姉妹の次女を演じる事に対して大きなプレッシャーがありました。でも先日宣伝素材の撮影で初めて他の皆さんとお目にかかり、話をしたときにこの雰囲気なら大丈夫だなと思いました。なんだか安心感が芽生えて稽古が楽しみになりました。そして自分がイメージする佳乃が演出家さんやキャストの皆さんのお芝居でどう変わっていくかも楽しみにしています」

中本「誰もが知っている『海街diary』に出させていただくことは凄く有り難いと思っています。僕はまだ舞台経験も少ないですが、この作品で4姉妹の日常に、どう溶け込んでいけるか楽しみです。そして経験が少ないからこそいろいろ吸収できれば良いなとも思います」

―――須藤さんは次女の佳乃を、そして中本さんはその年下の彼氏である朋章を演じます。それぞれのキャラクターをどう捉えていますか。

須藤「次女の佳乃は中間管理職みたいなものだと思うんです。私自身が実際に兄弟の真ん中なのでよくわかります。お姉ちゃんに対してもしっかり怒るときは怒る。そして妹達はたしなめる。そんな立場で丁度いい位置があると思うので、それを稽古の中で創り上げていければ良いなと思います」

中本「朋章は僕自身とは正反対の性格をもった男性だと思っています。彼の複雑な家庭環境も僕は経験したことがないですし。だからこそ、考えて創り上げることができるのを楽しみにしています」

―――おふたりとも歌やダンスの経験をされて舞台での演技をされているわけですが、映像作品ではなく舞台だからこその面白さはありますか。

須藤「私はむしろ映像の経験が少ないので比べられないのですが、コンサートを思い返してみると、そこは似ている部分があって、客席からお客様の反応が生で返ってくるのには嬉しさを感じます。最近は皆さんマスクをされているのであまり表情が見えませんが、でも生の感想をもらえることもあって、そこが一番嬉しいです。逆に自分が観客になった時は台詞をしゃべっていない俳優さんを観察するのが好きなんですが、そんなことも楽しみのひとつですね」

中本「コロナ禍で、お客さんの反応は見えにくいですが、そんな中でも、目線とか拍手とか、ちょっとした反応をいただけると、凄く嬉しくてやっていて良かったと思います。その一体感が、生の舞台の面白さだと思います。それと今回はWキャストなのですが、もう一人はどうやって演じるだろうとか想像しています。そんなところも楽しさにつながっていますね。舞台の経験が少ないので、不安要素でもありますが」

―――演出家の森岡さんとご一緒されるのは初めてかと思います。演出家さんとはどのように舞台を創っていこうと思われますか。

須藤「役によっても違いますが、言われたことをやるだけでなく自分で考えたモノも盛り込んで、そこに更に肉付けてもらう、そんなイメージです。いろいろなチャレンジをして演出家さんとすり合わせ、そのために話し合っていきます」

中本「演出家さんで自分のスタイルはあまり変わらないと思うんですが、話をちゃんと聞き、それでも演出家さんとぶつかることがあればよく話し合ってより良い方向に向けていきたいと思います。時には役になりきって生活してみることもあるんです」

―――ところで、物語の舞台は古都・鎌倉です。さらに『海街』って凄く素敵な呼び名だと思いますが。

須藤「都会育ちなので残念ながら『海街』は縁遠くて、だからこそそんな自然の多いところには憧れますし海は心が癒やされます。鎌倉は遊びに行くところになっています」

中本「僕はドライブが趣味なんですが、よく湘南とかには行きます。一人で出かけるのが好きなんです。コースは圧倒的に海が多いです。なんといっても海が綺麗です」

―――それではおふたりの舞台を心待ちにしている皆さんにメッセージをいただけますか。

須藤「『海街diary』への出演が決まってからというもの、色々な方から楽しみにしていますなど嬉しいお言葉を頂いています。すでに原作や映画のファンである方もいらっしゃいますが、舞台版ならではの表現を楽しんでいただけるようにしたいです。4姉妹の日常をどのように伝えるかを考え、創り上げたいです」

中本「藤井朋章を演じる上で役に恥じないような存在になりたいです。僕の出番は佳乃さんと一緒のところがメインなので、稽古の段階から仲良くさせていただいて、一緒に考えながら創りたいです。この作品は“何気ない日常”をテーマにしていますが、皆さんを退屈させることなく、一緒に楽しんでいただけるよう頑張ります」

(取材・文&撮影:渡部晋也)

プロフィール

須藤茉麻(すどう・まあさ)
東京都出身。2002年に開催されたハロー!プロジェクト・キッズ オーディションにて28,000人近くの応募者の中から選ばれ、そこからBerryz工房に参加。活動休止までメンバーとして活躍する。その後は舞台を中心に女優として活躍している。

中本大賀(なかもと・たいが)
大阪府出身。2019年アジア最⼤級のオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』に出演。PRODUCE 101 JAPANの元練習⽣9名により新しく発⾜されたパフォーマンスユニット「円神」の中⼼メンバー。歌・ダンスに加え、ドラマ・舞台への出演など俳優としても活躍の幅を拡げている。

公演情報

“STRAYDOG”Produce『海街diary』

日:2022年3月30日(水)~4月3日(日)
場:シアターサンモール ※他、大阪公演あり
料:S席10,000円 
  A席 一般6,000円 高校生以下3,000円 ※要学生証提示(全席指定・税込)
HP:http://www.straydog.info/index.html
問:STRAYDOG PROMOTION
  mail:s-pro@straydog.info(平日11:00~18:00)

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