家族、すれ違い、死……。誰にでも起こり得る問題を提起するヒューマンドラマ 喜んだり、泣いたり。観た人の“心の栄養”になれたら

 演出家・演技講師として活躍する米倉リエナを中心に、コンテンツ制作を行うプロジェクト アップスシアターの第4回公演『うみおと』が、3月18日からすみだパークシアター倉で上演される。完全オリジナルの本作は、ある兄弟が立ち上げた会社が急成長を遂げる裏で突如として兄が失踪し、残された家族が“消えた兄”と向き合う姿を濃厚に描き出す。出演者の中から、弟・タモツ役 バーンズ勇気、兄・ミナト役 巴山祐樹、妹・ユカリ役 塚本小百合の3名と、演出を務める米倉リエナに話を聞いた。

―――最初に、作品についてお聞かせください。

米倉「これまでアップスシアターで上演してきた作品は、スペクタブルやアクションを含んだものが多かったのですが、今回は“家族”をテーマにヒューマンドラマにしたいと考えました。人を失うこと、もっと言うと身近な人の自死について残された人たちがどう受け止めるのか。身近な人を失った経験がある人も、経験がない人にも何か気づきやカタルシスを得るきっかけになるような作品になれればと思っています」

―――“家族”は身近な題材でありながらセンシティブな要素を秘めているように思います。

米倉「そうですね。人が亡くなることは悲しい出来事ですが、そこから残された人や家族がどう立ち直っていくのか。最後はやっぱり愛情だと思うんですよね。人が立ち直るまでの成長を“旅”としてしっかり描いていきたいです。大変な旅になるとは思いますが」

―――台本を読んだ印象や、それぞれ演じる役についてお聞かせください。

バーンズ「タモツの、兄を思いもがき苦しむ姿に、自分自身と重なる部分を感じています。実は僕、父の仕事の都合で転勤族だったことや、小4から芸能活動をやっていたこともあって、色々思い悩んだ挙句に体調を崩してしまった経験があるんです。タモツが様々な感情に向き合う姿は、僕が実生活で立ち直った過程とリンクする部分があるのかなと想像しています。僕なりの表現で、全力で挑みたいです」

巴山「僕は普段から自分のことはさておき、家族のこととなるとつい熱くなってしまうタイプ。本作では家族の問題が題材なので、僕の心の奥にあるものが嫌でも見えてくる気がしています。大変な稽古になりそうです(笑)」

塚本「ユカリは、私自身が投影されているような活発な女性なんです。役者としてユカリという人物像をしっかり出していきたいですし、お客さまにもユカリという存在として認識していただくことが自分への課題でもあります。今回で3度目の出演になるアップスシアターは、本当に大好きな現場なんです。ストーリーテリングに愛のあるリエナさんとご一緒できるのが本当に嬉しくて。愛のある方には、愛のある人が集まるなと感じます」

バーンズ「この作品の情報解禁がされた直後に、何人かの俳優仲間から『あの現場は最高だぞ』と連絡をもらったんです。作っている人たちがみんないい人たちだからって。ますます稽古が楽しみになってきました(笑)」

―――本作への意気込みや、観劇されるお客さまへメッセージをお願いします。

塚本「家族の愛とか、家族の関係性ってすごく複雑。みんな実際のところは様々な問題を抱えているものですよね。しっかり作品に向き合いながら、そんな家族の愛を大事に演じていきたい。舞台作品なので結末はありますが、観劇されたお客さまが家族について、ゆっくりと考えるきっかけになると嬉しいです」

巴山「僕が演じるミナトは失踪する役なので、物語の中で他のキャストの方と絡む場面が少ないんです。僕がいないシーンで、他の出演者たちがどんな風に演じて、物語が展開されていくのか楽しみです。兄弟って上下の関係が逆になったり、対等になる時もあったりしますよね。そんな兄弟の話は、共感できる部分がたくさんあると思うので、楽しみにしていただきたいです。あとは会いたいときに、会いに行く。そういう大事なことを気づかせてくれる作品です」

バーンズ「冒頭でリエナさんがおっしゃられていたように、失敗して色々あって、それでも最後は“愛してるんだ”という人間のルーティーンのようなものを、僕はこの作品から感じずにはいられません。作品を通して、“人は1人じゃないよ”ということを伝えていきたいですし、観た人が元気になっていただけたら本望です」

米倉「今回のタイトルを『うみおと』と据えたように、大いなる存在である海が、この作品で大事にしたい要素の1つです。観劇されたお客さまには、ほっとしたり、喜んだり、泣いたり……。観た人の“心の栄養”になれたら嬉しいです。是非、劇場にお越しください」

(取材・文:山田浩子 撮影:立川賢一)

ここ一番!という時にとる勝負メシは?

バーンズ勇気さん
「ここ一番の勝負メシは、デミグラスハンバーグです。濃厚なソースとしっかりした肉の旨みが、自然と気持ちを落ち着かせてくれて、エネルギーもめっちゃ湧いてきます。舞台や撮影前など、集中したい時に食べると『よし、いこう』とスイッチが入る一皿です」

塚本小百合さん
「私がここぞ!というときに食べるのは、黒にんにくです。なんだかあまり食欲が湧かないな、シャキッとしないな、というときも、これを食べるだけで身体がかなり元気になるのです。前の舞台でも、疲れ気味な共演者を見かけると黒ニンニクをおすすめしてまわっていたので、『黒にんにくおばさん』というあだ名がつきました。本番中はいつでも持っているようにするので、共演者ならびにスタッフの方はいつでも声をかけてほしいです。免疫力アップも期待できるそうなので、読者の皆さまもこの季節にぜひ、食べてみてください!」

巴山祐樹さん
「カレー。あまり“食”に拘りが無いのですが、勝負メシというよりは自分の食で欠かせないのはカレーです。レパートリーが豊富な所が特に好きで、カレーライス・カレーうどん・カレーパン・カレー鍋・カレー煎餅などなど。芝居の現場やオーディションに行く前に自分の好きな物を食べて行くと気分が上向きになります」

米倉リエナさん
「私の勝負メシは、近所のイタリアンのアラビアータパスタです。派手さはないけれど、一口でスイッチが入る。ピリッとした辛さが頭をシャープにして、迷いを断ち切ってくれる、頼もしい一皿ですね」

プロフィール

バーンズ勇気(ばーんず・ゆうき)
神奈川県出身。2004年、NHK Eテレ「天才てれびくんMAX」に出演。タレント・俳優としてマルチに活躍。主な出演作に、『ヒプノシスマイク – Division Rap Battle -』Rule the Stageシリーズ、ミュージカル『新テニスの王子様』シリーズなど。

巴山祐樹(ともやま・ゆうき)
東京都出身。俳優・声優。劇団クロックガールズを経て、現在は映像をメインに活動中。近年の出演作に、映画『沈黙の艦隊北極海大海戦』、『無名の人生』など。

塚本小百合(つかもと・さゆり)
東京都出身。主な出演作に、映画『春待つ僕ら』、舞台yoowa vol.3『LAST EVER EVE』では自身初となる主演を務めた。

米倉リエナ(よねくら・りえな)
東京都出身。俳優・演出家・演技講師。ニューヨーク大学演劇学科卒業後、ミュージカル『アニー』で俳優デビュー。演出家として、舞台『Alchemist』、『Golden Tickets』など、多くの舞台演出を手掛ける。

公演情報

アップスシアター 第4回公演『うみおと』

日:2026年3月20日(金・祝)〜29日(日) 
場:すみだパークシアター倉
料:プレミアム席[各回15席限定・特典付・良席保証]10,000円(指定席・税込)
  普通席6,000円(自由席・税込)
HP:https://www.upstheater.com
問:アップスシアター 
  tel.03-6869-1538(平日10:00~18:00)

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