
“人を愛せ、人生を笑え”をテーマに、1999年に結成された劇団LIVES。2024年から活動を再開し、『瀬戸の花嫁』、『知恵と希望と極悪キノコ』など、外部でも上演されてきた主宰・大浜直樹の人気脚本を本家・LIVESでも次々と再演している。
今年2月には、活動休止前、最後に上演された舞台『ROOTERS〜応援者たち〜』の上演が約10年ぶりに決定。「応援を生業とする集団がいるらしい」という奇妙な噂を聞きつけ、地方テレビ局の若手ディレクターが取材に向かうところから物語が始まる。脚本の大浜、出演者の辻ニイナ・川村あいに、本作への意気込みと、“応援”が持つ力についてインタビューをした。
―――初演は2015年でしたが、どのような経緯で生まれた作品でしょうか?
大浜「10年以上前なので、少し記憶が朧げなところもあるのですが……ちょうど、劇団員が急激に減っていた時期だったんです。演劇業界自体から身を引いて、第2の人生を歩み出す仲間も少なくはなくて、別の仕事を始めたり、故郷に帰って家業を継いだり……新しいことに挑戦する時って、上手くいかないことも多いじゃないですか。そういう新しい人生を歩み始めた仲間たちへのエールになるような作品を創りたいという気持ちが根底にあったと思います」

―――多くの作品の中で、この『ROOTERS~応援者たち~』を今回再演しようと思ったきっかけは何かありましたか?
大浜「8~9年ほどLIVESでの本公演をお休みしていたのですが、2024年末から活動を再開して、その時にすごく時代が変わったことを痛感したんですよね。
最近では“推し活”という、10年前にはなかったワードが生まれて……昔は“応援”というと、それこそ甲子園で見る応援団のようなものがまず連想されて、集団でやるもの、という印象が強かったんですが、最近は“推し活”で個人が個人を熱烈に応援する、というのもまたスタンダードになってきていますよね。“応援”って、される方は勿論なんですが、する方も自分自身の力になるんだろうなと。そんな令和の世で、またこの『ROOTERS』を再演してみたいと思いました。
あともう1つ、2022年に別団体のプロデュースで『ROOTERS』を上演した際に、千穐楽に出演者のコロナ感染がわかり、千穐楽とその後の広島公演がコロナの影響で中止になってしまって。それがすごく心残りだったので、そのリベンジも兼ねています」
―――川村さんはLIVESには初出演ということですが、大浜さんとの出会いはいつでしょうか?
大浜「昨年の公演を観に来てくださったときに、共通の知り合いが紹介してくれたんですよね」
川村「そうなんです。以前から『LIVESっていう素敵な劇団があるよ』というのは役者仲間から聞いていて、何度か観に行かせていただいていました。2024年末の舞台『結婚クリスマス』も観劇していたのですが、その時は大浜さんにはご挨拶できず、昨年の朗読劇『Dear DiaryS 勿忘草』を観に行った時にようやくご挨拶ができて、そこから急接近しました(笑)」
―――川村さんはどういう役どころでの出演になりますか?
川村「夢を見て上京してきた青森娘の役です。私自身の出身地は静岡なんですが、今回初めて青森弁に挑戦します……! こんなにがっつり方言を喋る役は初めてなので新しい挑戦を楽しみにしています」
大浜「素朴で明るくて前向きな印象なので、川村さんにピッタリだと思います。これまでの『ROOTERS』では男性キャストが演じていた役が、今回初めて女性になります。なので、過去に観たことがある人も新鮮に感じるかもしれません」
―――一方で、辻さんは近年のLIVESでは常連キャストと聞いていますが……。
大浜「4作連続だね(笑)。2025年6月に上演した『瀬戸の花嫁』の時に、知り合いのプロデューサーの方から紹介してもらったのが辻さんでした」
辻「本当にお世話になっています! 劇団によって独特の雰囲気があると思うのですが、LIVESは、とにかくスタッフさんもキャストさんもアットホームで。いつも『今日何食べてきたの?』とか何気ない会話で場を和ませてくださって、人見知りの私でもだんだん自分から雑談できるようになっちゃうくらい、温かいんですよね」

―――そんな辻さんの今回の役どころは?
辻「ROOTERSを取材に来るカメラクルーの中にいる、若いディレクターの役です! フレッシュに頑張ります」
―――今回、文字通り“応援”というものが作品の軸となりますが、皆さんが誰かを“応援”した、もしくは“応援”してもらった経験の中で、強く心に残っているエピソードはありますか?
辻「私は今、アイドル活動をしているのですが、実はその前から地元の福岡で2回ほど舞台に出演していて……その時に私のことを見つけて、それからずっと応援してくださっているファンの方がいて。本当に1現場も欠かさずに観に来てくださっているんですよ。
アイドルになってからは対バンもあって、月に10公演以上はライブがあるし、その上舞台もあるから、全部を追いかけるのは大変だと思うんですけど……本当にありがたい限りです」
川村「私は先ほども話題に上がりましたが、静岡の田舎出身で上京してきた身なんですけど、地元にいる頃から東京に出て役者になりたいと思っていて。でも周りに話しても『え~、東京に? すごいね?』くらいで、あまり実感を持って話を聞いてくれる友人は少なくて……両親にも猛反対されましたし。
そんな中で、1番の親友が『夢に向かって頑張るってすごいことだよ』とずっと私のことを応援してくれていて、『これにいつかサインを書いてね』と地元を出る時に真っ白な色紙をくれたんです。こんなに自分のことを応援してくれる友達がいるんだから、頑張らなきゃって気持ちになれました。いつか必ずサインを書いて返そうと思います!」

大浜「少し重い話になりますが、プロデュース公演をしばらくお休みしていた2023年に、LIVESのメンバーでもあり大学からの仲だった雑賀克郎が急逝して……。精神的にも、物理的にも、今、劇団に残った自分たちだけで公演を実施するのは難しいな、という風に思ってしまったんですよね。
でも、そこから2ヶ月くらい経ったら急に気が変わって、『いや、後悔がないように最後にもう1回だけやろう!』と12月の公演を宣言しました。賛同者はほぼゼロでした。LIVESの石橋は何も反対することなくついてきてくれたので感謝していますが、たぶん彼ですら賛同していなかったように思っています(笑)。それでもやり切りました。
そうして気が付いたら、昨年は4作品も上演していて(笑)。そしてやり続けていたら、また応援してくれる人がどんどん増えていったんです。誰かの応援って、ものすごく力になるんだなって当たり前のことに改めて気づきました。そのおかげで仲間も増えてきて、こうして4公演連続で出てくれる辻さんや、知り合いがご縁を繋いでくれた川村さんとも出会えて。そういうご縁も全部、自分たちの力になっていると思います。その気持ちを、力を、今度はお客様にお返ししたいと思って今回の『ROOTERS』に挑みます」
―――誰かにもらった力を、別の誰かに与えていく……素敵な循環ができますね!
大浜「そうですね! 人生ってそういうものだなって思います」
―――本番を楽しみにしています。では最後に観に来てくださるお客様にメッセージをお願いします。
川村「改めて、今回初めてLIVESに出演します、川村あいです! 何かに命を燃やして頑張る、没頭するというのはとても素敵なことだと思っていて、私自身も人に勇気を与えることを夢見て上京したので、今回のお話をいただけたのはご縁かなと感じております。
普段、私はグラビアアイドルとして活動しているのですが、自分のファンの方々にも舞台に興味を持ってもらえたら嬉しいですし、心が動くような観劇体験をして、舞台を好きになってもらえるような作品をお届けできたらと思っています」
辻「4回目のLIVESになりますが、実は本番の4日前に20歳になるので、20代最初の舞台出演になります! と言っても、何かが大きく変わるわけではないんですけど(笑)。節目ではあるので、私自身もワクワクしています。ファンの方々にもぜひ“応援”をしに来てもらえたら嬉しいですし、私を“応援”していて良かったなと思っていただける舞台にしたいです。帰り道に温かい気持ちになれる作品だと思いますので、楽しみにしていてください!」
大浜「舞台上から、観に来てくださった方々を思いっきり“応援”できる作品を目指してキャスト・スタッフ一同頑張りますので、ぜひ客席から我々を“応援”してください! よろしくお願いします」
(取材・文&撮影:通崎千穂(SrotaStage))

プロフィール

大浜直樹(おおはま・なおき)
3月5日生まれ、広島県出身。1999年、近畿大学の仲間たちと共にLIVESを立ち上げ、主宰を務める。俳優・脚本家・演出家として活躍し、2013年には、KEIJI(EXILE)の初主演ドラマおよび初舞台となる『ムッシュ!』の脚本・演出を担当し、話題となった。

辻 ニイナ(つじ・にいな)
2月14日生まれ、福岡県出身。アイドルグループ「君と見るそら」のメンバーとして活動中。女優としても、映画『猫の魔法とワダツミの悪戯』などの映像作品や、様々な舞台作品に出演する。

川村あい(かわむら・あい)
6月8日生まれ、静岡県出身。グラビアアイドルとしての活動を中心に、ラジオ大阪「真夜中のGirls Talk」パーソナリティやお笑いのMCもこなすマルチタレント。
公演情報
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LIVES PRODUCE『ROOTERS ~応援者たち~』
日:2026年2月18日(水)~22日(日)
場:in→dependent theatre Oji
料:SS席10,000円
S席7,000円(指定席・税込)
A席 6,000円
平日昼割[2/19・20 14:00]5,500円
(自由席・税込)
HP:https://x.com/gekidan_lives
問:LIVES mail:lives.since1999@gmail.com
