モーツァルト『フィガロの結婚』をアレンジした意欲的音楽劇 突飛なキャラクターとコミカルな芝居を、存分に満喫!

 モーツァルトの名作喜劇オペラ『フィガロの結婚』に着想を得て、荻田浩一が台本・演出を手掛ける、楽劇『フィガロ』の上演が決定した。キャストの駒田一と霧矢大夢は、久々の共演に顔をほころばせた。

霧矢「以前の共演は歴史の重みがある作品で、新参者としては不安が尽きない中、駒田さんの存在にどれだけ助けられたか! 駒田さんは場を和ませ引き締めるムードメーカーで、キャスト同士を繋いでくださる方です」

駒田「霧矢さんは宝塚歌劇団時代から拝見していて。チームの一員として稽古場にスッとなじみ、信頼関係を築く姿を目にして、素晴らしいなと思っていました。今回は絡みのある役どころで、楽しみが膨らんでいます」

 『フィガロの結婚』は1日の間に起きる、多様な恋の駆け引きを描いた作品。今回は前談となる『セビリアの理髪師』の要素も加えて構成するという。

駒田「物語は知らなくても、曲を知っている人は多いはず。有名な楽曲の数々がどうアレンジされるのか、構成をどう変えてくるのか気になります」

霧矢「今回の撮影で着た衣装をこのまま本番でも使うそうで、『そうなんだ!』と意表を突かれました。オペラの古典的衣装とは異なる雰囲気で、物語に入り込みやすいのかなと思います」

 演出家として様々な舞台を生み出している荻田浩一との仕事は、2人にとって得難い機会だと語る。

霧矢「荻田さんとは(宝塚歌劇団)入団がほぼ同期なのですが、退団してから荻田さんの演出作品に出るのは初めて。劇団時代の演出には、劇団への愛や敬意がありつつも、定番とは異なる独自の表現がありました。あれから様々な経験を踏んだ荻田さんとの再会に、今からワクワクしています」

駒田「荻田さんはいい意味でとてもマニアックで、僕はそこが好き。彼の稽古場はいろいろ試していいので、現場で生まれるものがたくさんありますし、彼の考えと僕らの提案をうまく融合してくれるんです。採用されると嬉しくて、さらにいろいろ出したくなる喜びも味わえます」

 これから始まる稽古に向けて、意気込みを聞いた。

駒田「どの作品に臨む時もそうですが、稽古場での“トゥーマッチ”は勲章だと僕は思っています。『一ちゃん、やりすぎ!』と言われるのが好きなので、そういうチャレンジがたくさんできるといいですね」

霧矢「私が演じるのはフィガロに言い寄るものの、実はフィガロの母親というかなり突飛なキャラクター(笑)。共演者の方々を見つつ、作品の中でどういう存在であるべきかを探りたいです。年明けの公演ですし、観てくださった方々が晴れやかな気持ちになる、幸先のいい作品になればと思っています」

(取材・文:木下千寿 撮影:間野真由美)

プロフィール

駒田 一(こまだ・はじめ)
いずみたく主宰のミュージカル劇団「フォーリーズ」出身。1990年の退団後は、『ラ・マンチャの男』、『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』など、ミュージカル作品を中心に出演し、さまざまな役どころを演じている。

霧矢大夢(きりや・ひろむ)
1994年、宝塚歌劇団に入団。2010年、月組トップスターに就任。2012年4月の退団後、舞台を中心に広く活動。近年の出演作に、ミュージカル『NEWSIES』、『ボニー&クライド』、『Nostalgic Cabaret』、舞台『近松心中物語』など。

公演情報

楽劇 フィガロ 『フィガロの結婚』より

日:2026年1月8日(木)~18日(日)
場:東京芸術劇場 シアターウエスト
料:S席9,900円 A席[バルコニー席]8,800円(全席指定・税込)
HP:https://artistjapan.co.jp/figaro2026
問:アーティストジャパン tel.03-6820-3500(平日11:00~18:00)

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