レーザービームライトを使った演出やオリジナルダンスなど、独自の作品作りを続ける「ぱすてるからっと」の新作プロデュース舞台は、“2.8次元 和風・妖怪エンターテインメント”。『てんてん烏と鬼灯の国』において脚本・出演を務める東堂海紗、縁・紬チームでそれぞれ主演を担う美月まりもと夏目綾に話を聞いた。
―――まずは上演に対する意気込みから教えてください。
美月「今回は私が過去に何度も出演しているみさちさん(東堂)の脚本で、主人公のユキを演じさせていただきます。台本を読ませていただきましたが、すごく明るく元気で、ちょっとポンコツなところがあり、みんなを巻き込んで成長していくキャラクターです。私らしく等身大で演じられたらと思っています」
夏目「まりもちゃんと同じくユキ役を務めます。私はぱすてるからっとさん出演が3回目、みさちさんの脚本は2回目です。ぱすてるからっとさんの出演者は若手が多くて、フレッシュな力強さを新鮮に届けてくれる団体さんだと思います。その魅力とみさちさんが描く繊細な人間関係を、丁寧に、力強く届けたいと思っています」
東堂「今回は脚本と、玉瑛という役を担当しています。まりもちゃんや夏目さんは出演が決まっていたので、当て書きのような感じで書きました。すごくパワフルな、おふたりが演じやすいキャラになったんじゃないかと思います。自分で自分の役を書くのもすごく緊張しましたが、かっこよく書いたのでかっこよく演じられるように頑張りたいと思います」
―――顔合わせと本読みをしたそうですが、カンパニーや脚本の印象はいかがでしょうか。
東堂「読み合わせの時点で、若干キャラクターが完成されつつありました。ぱすてるからっとさんではお馴染みのメンバーも多いので和気あいあいとしていて、すごく楽しいカンパニーになりそうだなと思っています」
美月「私も、自分で読んで思い描いていたものをみんなの声で聞いた時に、物語がすごく立体的になりました。これが舞台でどう表現されていくのかすごく楽しみだと改めて思いましたね」
夏目「今回は『極楽』とか『成仏』、『閻魔様』とかのキーワードが出てくる物語です。経験したことのない世界観の作品だったんですが、読み合わせをしたら全然違和感なく入り込むことができました。自分の中でちゃんと物語を描けるなと感じて安心しました」
東堂「アニメが好きだから、脚本を書いているとアニメっぽくなっちゃう時があるんです。でも、演じるのは役者さんなので、リアルに感じるような言い回しや流れ、会話を作ることを意識しました」
―――作品の面白さや魅力について、脚本を書いた東堂さんと、読んだおふたりの視点で教えてください。
東堂「主人公の女の子が成長する物語でありつつ、周りで支えてくれる人たちも描きたいと思っていたので、それが伝わったら嬉しいです。基本的にドタバタコメディで、最後はちょっと感動させたいなと思いながら書きました」
夏目「読み合わせをしていて感じたのは、たくさんのキャラクターが出てくるのに、ちゃんとみんな魅力的だということです。具体的なことを話すとネタバレになってしまうんですが……(美月に)ね!」
美月「観にきてもらわないと!」
夏目「早く観てほしいなと心の底から思っています」
美月「さっき(夏目も)言ってたけど、自分たちが経験したことのない世界なのにスッと入り込むことができました。皆さん当て書きなのかなと思うくらい合っていて、それぞれの得意が活かせる作品だと感じました」
―――ネタバレにならない範囲で、演じるキャラクターの印象と、役作りについてもお聞きしたいです。
東堂「今回は『閻魔界』という世界がメインになっているんですが、私が演じるのは閻魔様の秘書というか、側近のような立場のキャラクターです。かっこよく書いたので、かっこよく見えたら嬉しいです」
美月「主人公・ユキは、一生懸命だけどちょっと未熟で、みんなに支えられて生きているような女の子。自分に近くて演じやすいキャラクターだと思いました。(ユキは)周りをどんどん巻き込んでいくけど、周りの人に『この子と一緒に進んでいきたい』と思わせる魅力があるキャラクターだと思います。だから、私自身もみんなを巻き込みつつ引っ張っていきたいです」
夏目「この作品において、ユキが頑張っている姿がすごく大切な要素だと思うので、しっかり表現したいですね。読み合わせをしていて自分の課題だと思ったことがあって、ユキってちょっとドジで失敗することも多いけど、愛嬌があってみんなに愛されるキャラクター。私はどちらかというと静かな方ですが、ユキの人間味を表現するために、自分の素も出しつつ、自分と全く違う、元気で愛嬌があって可愛らしいところも表現したいです」
―――改めて、お互いの印象や今回の共演で期待していることを教えてください。
東堂「夏目さんと同じ班で出演するのは初めてなので、それがすごく楽しみです」
夏目「みさちさんはぱすてるからっとでもすごく信頼されている存在だと思います。頼りになるけど可愛らしい方という印象なので、今回より深く知っていけたらと思っています。まりもちゃんも信頼の方という印象。これまでもすごくお世話になっているので、今回チームが違うのは寂しいですが、切磋琢磨して頑張りたいと思います!」
美月「綾ちゃんは可愛らしい部分を出すのは苦手と言っていましたが、自然と人が集まってくるタイプなのでユキがぴったりだと思います。私が演じるユキと綾ちゃんが演じるユキは全然違うものになりそうなので楽しみですね。みさちさんは共演回数も多いですし、みさちさん脚本の作品、私は多分皆勤賞。ユキは今まで演じたキャラクターの集大成のような役だと感じます。作品ごとに世界観は違うけど、悪い人がいなくて、見終えた時にちょっと寂しい気持ちと温かさが残る感じがする。今回もそうなので、やっぱりみさちさんすごい!と思いました」
東堂「今回はすごく悪いやつを書こうと思ったんですが、悪役にも意味を持たせたいんですよね。その辺も楽しみながら見ていただけたら嬉しいです。ユキは私の頭の中で2人が勝手に動き出してできたキャラクターなので、2人ならやってくれると思っています。まりもちゃんが言うようにそれぞれカラーの違うキャラクターになると思うのですごく楽しみですし、カンパニーで一番元気に頑張ってほしいと思っています。
―――ぱすてるからっとさんの特色の1つにダンスがあるということで、振り付けを担当する美月さんにダンスについてもお聞きしたいです。
美月「私はオープニングダンスを担当させていただきます。今回は衣装が和服や中華っぽい感じになりそうなので、袖を活かしたダンスにできたらいいなと思っています。ぱすてるさんで和物は珍しいですし、地獄などが登場する世界観に合わせて振り付けしたいです」
夏目「脚本を読んでいても思いますが、オープニングダンスと劇中のガチダンス、エンディングダンスが始まるタイミングもすごく気持ちいいですよね」
東堂「私が『始まるぞ!』という気持ちで考えたセリフからダンスに入る流れにしているので、そう感じてもらえているなら嬉しいです」
美月 「『ぱすてるさんといえばダンス』というイメージを持っている方も多くて期待値が高いと思うので、それに応えたいですね。撮影可能のダンスイベント回もあるので、気合を入れて頑張ります!」
―――ちなみに、皆さんからみたぱすてるからっとさんの魅力はどこにありますか?
美月「キャストさんがみんなすごく元気で明るくて仲がいいです。私が初めて出演した時も自然と輪に入れてくれて、みんなで1つのものを作っていく空気があります。どの作品でもそれを感じられるので、本番の舞台を見てくださったお客様にも伝わっているんじゃないかと思いますね」
夏目「私はこの中では一番ぱすてるからっと歴が浅いです。最初に感じたのは、すごくチャレンジ精神がある団体だということです。物語のあらすじを見ても『これを舞台の上でどうやって表現するんだろう?』と思うし、光の演出や殺陣など、すごく色々なことに前のめりで挑むんだなと。まりもちゃんが言う通り、稽古中はみんながたくさんのものを持ちよっている。すごく前向きさを感じます」
東堂「お客様の希望を全部叶えることはできないけど、できるだけ寄り添おうとしている劇団ですよね。プロジェクションマッピングの演出などもあって、派手でキラキラしたことをする印象があります。集まる役者さんも、相手を気遣いながらアイデアをまとめてバランスを取れる人ばかりです」
―――東堂さんは脚本と出演での参加です。両方務める難しさや楽しさはどこに感じますか?
東堂「初めてぱすてるからっとで脚本を書いた時は、出演を拒否しました。自分が書いた作品に出演することに慣れないのもあるし、どうしても恥ずかしくて。今はだんだん慣れてきて、自分が考えたかっこいいキャラを演じることに難しさを感じています。完璧に書けたかもしれないけど、自分が演じて完璧にできるのか? みたいなところに怯えつつ、毎回頑張って演じています」
―――夏目さんはアイドルグループを卒業後久々の舞台ということで、楽しみにしていること、特に頑張ろうと思っていることがあったら教えてください。
夏目「楽しみにしていることは全部です。アイドルとしての私を好きになってくださった方の中には、今回が初めて生で見る舞台の方もいるかもしれない。そういう方々に、「舞台って面白いんだ」と思っていただき、私の出演作に限らず、舞台というものに興味を持っていただきたいという理想があります。台本をいただくと、『すごく面白い! この作品を作る一員になれるのが嬉しい』と思うんですが、同時に『この台本を全部覚えるの?』とも思うんです(笑)。今回は久しぶりなので、まずはその第一関門を乗り越えて、作品を深掘りしていきたいです。
―――初めて舞台を観にくるという方に向けて、舞台を楽しむためのアドバイスはありますか?
東堂「考察などをする楽しさもあると思いますが、みんなが魅力的になれるように脚本を書いているので、可愛い推しを見てほしいです!」
夏目「テレビや映画と違って自分が好きな部分を見られるのが舞台の魅力ですからね」
東堂「何回か見る方は全体を見るのもいいと思いますが、1回だけの方はとにかく推しを見ていいと思います」
美月「せっかく生で見て感じられるので、キャラクターが喋っていないときのお芝居も見てほしいです。生だからこそ同じ公演は2度とないので、『あ、そんなことしてたんだ』とか『今日はこのセリフの言い方が違うんだ』とか、気付くことが多いと思います。今日、自分が劇場に来たから感じられるものを感じ取ってほしいです。でも『ちゃんと見なきゃ』と気負わず、本当に気軽に来ていただけたら」
美月「面白かったら笑ってほしいし、悲しければ泣いてもいいし。その感情を一緒に味わえるのが舞台の良さだと思います。笑いを堪えなくていいことは伝えたいです」
東堂「お客様が声を出して笑ってくれたら役者は心の中で喜ぶので。配信もあると思いますが、配信だと物語の中心になるキャラしか映らないので少しもったいない。生でしか見られないものを楽しんでほしいです」
―――これから本格的にお稽古がスタートしますが、お稽古で楽しみなことや期待していることはありますか?
美月「稽古場がはじまると、相手が想像していたのと全然違うキャラクターでくることがよくある。『あ、そういう感じなんだ』と感じるのが楽しみですね」
東堂「私も、脚本を書いている時は自分の中でキャラクターが決まっているので、全く違う角度から来られるとすごく面白いです」
夏目「殺陣も多いので、それを見られるのは楽しみです。読み合わせの時は殺陣やダンスが入らないので、稽古が進むと『こういう感じなんだ!』という驚きがあって」
東堂「私も殺陣のシーンは殺陣師の方がつけてくださるまでわからないので、みんなと一緒に感動しています(笑)」
夏目「武器じゃないもので戦っているシーンとか、役者さんによるアドリブもあるので楽しみですよね」
―――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
美月「この作品に限らず、みんなで協力して1つのものを作り上げるために準備をしていきます。皆さんに『観にきて良かった、すごく面白かった』と思っていただけるよう、私たちも精一杯頑張ります。ユキと一緒にみんなに振り回されて、温かい気持ちで帰っていただけたらと思っています。お待ちしています!」
夏目「私自身、舞台を観にいくのが好きなので、舞台の何に魅力を感じているのか考えることがあります。やっぱり、演者さんたちの生の声や作品のテーマを受け取って、温かい気持ちで帰れるのがすごく嬉しいし、好きだなと思う瞬間なので、観にきてくださる方にも同じような気持ちを持ち帰ってもらえるよう、舞台上からたくさんエネルギーを飛ばしたいと思います。ぜひ受け取りに来てください!」
東堂「作品を書いているときはちょっと自信がなかったんですが、信頼できる仲間たちが集まっているので絶対面白くなると確信しています。皆さん安心してお越しください。1度見る方も2度見る方も、何度見る方でも楽しめるように頑張るので、ぜひ皆さんのお顔を見せに来てください」
(取材・文・撮影:吉田沙奈)
プロフィール
東堂海紗(とうどう・みさ)
10月4日生まれ、栃木県出身。声優・女優・モデル・脚本家ほか、活動は多岐にわたる。近作に、ぱすてるからっとproduce 舞台『悪役令嬢イミテーション』、舞台『紅絵巻』など。東堂海紗3rd写真集が現在発売中。
美月まりも(みづき・まりも)
2月21日生まれ、東京都出身。アイドル活動を経て、女優や振付師として多くの舞台で活躍中。ぱすてるからっと主催作品に多数出演している。ダンスボーカル百合ユニット SOLiLUNA(ソルイルナ)としても活動中。
夏目 綾(なつめ・あや)
7月9日生まれ、静岡県出身。アイドル活動を経て、女優として活躍中。主な出演作にアリスインプロジェクト『アリスインアリスinデッドリースクール』、Studio K’z『15少女漂流記2023』、劇団ぱすてるからっと『時計塔のレイラ』など。
公演情報
ぱすてるからっとproduce 舞台
『てんてん烏と鬼灯の国』
日:2025年12月10日(水)~14日(日)
場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
料:SS席[特典付]7,000円
S席・中央列プレミア席[特典付]6,500円
A席・車椅子席5,500円(全席指定・税込)
HP:https://pastelcarat.web.fc2.com
問:ぱすてるからっと
mail:pastelcarat_info@yahoo.co.jp