隔絶されたVR開発室で何度も落下する男、その運命の行き着く先は…… 仮想空間で繰り広げられる新感覚サスペンス

 外界から隔絶された開発室で行われるVRゲームの最終テスト。ゲームオーバーの度に男は“落下”する。なんとかゲームをクリアしようと必死になって、最良の選択を模索し続ける男だったが、その先には思いもよらぬ運命が待ち受けていて……。

 舞台『フォールポイント』は、独自の世界観と構成力で注目を集める広瀬格が作・演出を務めるオリジナル作品。梅津瑞樹はゲームをクリアすべく奔走する天才ゲームクリエーター・七沢直希を演じる。

 「(七沢は)鼻持ちならない感はありますよね。日常生活にいたら、仲良くなれるタイプではないのかなっていう気はします。でも、こういう理知的で複雑なものを抱えているキャラクターって、意外とここ最近はやっていないかもしれません」

 ファンにとってはある種「見たかった姿」なのでは、という今回の役どころ。七沢をはじめ、登場人物それぞれの思惑や過去が、VRゲームという虚構の空間の中で濃密に絡み合い、時に激しくぶつかり合う様は、本作の見どころでもある。

 「サスペンスの空気感や、会話の緊張感みたいなところが肝というか、お芝居をやる上での厚みになってくるのかなと思っています。ハラハラしてもらえるんじゃないかな。冒険活劇みたいなことではなく、会話や静かに起きている物事の中でハラハラすることは上品で好きなので、そこは楽しんでいただけるんじゃないでしょうか」

 物語の行き着く先は救いか、或いは。その結末はぜひ劇場で目撃していただきたいところだが、大の映画好きでもある梅津自身は、「救われない話」の方が好みだとか。

 「ハッピーエンドよりも、釈然としない話の方が記憶に残るんですよ。どんなにつまらない映画でも、釈然としないものがあると“すごくつまらない映画だったけど、なんか妙に考えちゃう”みたいなことが多々あって、そっちの方が心に残るんです」

 虚構と現実の間で繰り広げられる、スリリングな会話劇と予想不可能な結末。サスペンスの醍醐味を心ゆくまで味わいたい。

 「稽古がこれからなので、舞台セットも想像がついてないですし、どういう感じになるんでしょうね。他の出演者の方々とは今回初めて共演させていただくので、そこもすごく楽しみです。濃密な演劇の時間になるのではないかと思うので、劇場に遊びに来ていただけると幸いです」

(取材・文:前田有貴 撮影:金丸 圭)

プロフィール

梅津瑞樹(うめつ・みずき)
1992年12月8日生まれ、千葉県出身。2015年、鴻上尚史が主宰する「虚構の劇団」のオーディションを受け、所属俳優となり舞台俳優としてデビュー。2023年には自身がプロデュースする演劇ユニット「言式」を結成。同年10月には、旗揚げ公演『解なし』で初の脚本・演出を務めた。主な出演に、『PERSONA3 Lunation the Act』汐見彼方役、舞台『刀剣乱舞』シリーズ 山姥切長義役など。

公演情報

舞台『フォールポイント』

日:2025年11月19日(水)~30日(日)
場:博品館劇場
料:土日祝日9,800円
  平日8,800円(全席指定・税込)
HP:https://toei-stage.jp/fall-point/
問:東映 mail:info.toeistages@gmail.com

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