ベテラン2人を筆頭に、バランスの良い俳優陣がぶつかり合う たくさんの方に「お芝居って面白い」と思ってほしい

 竹中直人・生瀬勝久がタッグを組んで届ける「竹生企画」。11月よりスタートする第四弾公演は、コロナ禍もあって7年ぶりの上演となる。作・演出は、第一弾から引き続き倉持裕が担う。

竹中「倉持さんの脚本演出の『まどろみ』という作品を観た時、倉持さんの描く世界にしびれてしまったんです。直感的にこの人と演劇を作りたいって思った。もっと深く倉持さんの描く世界に関わっていきたい。それだけで続けて来ました」

生瀬「この企画は、名前は違っても“生瀬”が出ている気がする。僕はいろんな作品にキャラクターで入るんですが、竹生企画は倉持くん視点で僕が活きる役を書いていただけるのが嬉しいです」

 今回は本多劇場での上演。これまでの公演よりも日常的な芝居になりそうだという。

倉持「男2人の関係をずっと描いてきているので、今回も新たなパターンで書こうと思っています。世界が3年後に終わってしまうという時に、まだ過去のわだかまりにこだわっている人たちみたいなものにしたい(笑)」

竹中「どんな作品になるかまだ全くわからないです。でも分かったらつまらないじゃないですか? 分からないからこそ楽しいし、分からないを続けていくのが僕にとっての演劇です。作品を捉えるのは観る側であって、見せる側は常に形にならず水です。そしてあの人はどんな芝居をするのか……という興奮も常にありますね」

生瀬「役をどう演じるかが一番大事で、あとは倉持くんが料理してくれる。みんなで作り上げたものをお客さんにお見せして、面白かったねと思ってもらえるのが、多分僕にとって理想の演劇です」

 キャスティングについては、3人揃って自信があると語る。

竹中「初めて顔合わせをした時、とてもバランスの良い組み合わせだと思いました。竹生企画4回目にして、またあらたななんとも独特なキャスティングが生まれたと思います」

倉持「散らばっているけど、まとまりのよさもあって、ビジュアルのバランスは過去最高ですよね。面白くなりそうだと思いました」

生瀬「お客さまも推しがわかれるだろうと思うくらい個性豊かですよね」

 最後に、楽しみにしている読者へのメッセージを聞くと。

生瀬「竹生企画をご存知の方はもちろん、初めて観る方にも、生の舞台の面白さを知っていただけたら幸いです」

倉持「ベテランの男性2人がしっかりぶつかる芝居は珍しいですし、本多劇場で竹中さんと生瀬さんが主演というのも貴重。ぜひいらしていただきたいです」

竹中「最高のキャスティング! 想像をはるかに超えた倉持ワールド! とんでもないお芝居をぜひ劇場で目の当たりにして下さい!」

(取材・文:吉田沙奈 撮影:友澤綾乃)

 

自分を主人公にするなら、どんなストーリーにしますか?

竹中直人さん
「復讐劇をやりたいです。ある組織に大切な人を惨殺された主人公。かなりシンプルなガンアクションがいいな。
 老いてなお闘う高齢者。自分で武器も作ってね。乾いた銃声音がラストに響き渡るジャパニーズハードボイルド。常に画面はしっとりと濡れていて基本的なアングルはローアングル。俳優の顔もほとんど映さず後ろ姿を中心に……。
 もうそろそろ走れなくなるしこんな世界観の作品を撮りたいすね。

 雨 雨 雨
 幾重にも重なるグレーの雲
 濡れた赤いコート
 ブルーの古い古いシトロエン
 大きな牛乳瓶に入った白い白いみるく
 突然照りつける真夏の太陽。くっきりと地面に刻まれる影

 背中を貫通する銃弾
 血飛沫……
 うお〜たまんねーな」

倉持 裕さん
「自分だけでなく登場人物全員が絶叫したり号泣したりすることなく、冷静に粛々と人命救助するような話」

プロフィール

竹中直人(たけなか・なおと)
1956年3月20日生まれ、神奈川県出身。俳優・映画監督・声優・歌手として幅広く活動。監督作品に、映画『無能の人』など。近年の主な出演に、映画『飛んで埼玉』、『あなたの番です 劇場版』、ドラマ『極主夫道』、『街並み照らすヤツら』、舞台『夜は短し歩けよ乙女』、ミュージカル『のだめカンタービレ』など。

生瀬勝久(なませ・かつひさ)
1960年10月13日生まれ、兵庫県出身。近年の主な出演に、映画『BAD LANDS』、『ブラック・ショーマン』、ドラマ『新・暴れん坊将軍』、『波うららかに、めおと日和』、『19番目のカルテ』、KERA CROSS『グッドバイ』、劇団☆新感線『薔薇とサムライ2 ―海賊女王の帰還―』、二兎社『パートタイマー・秋子』など。

倉持 裕(くらもち・ゆたか)
1972年10月15日生まれ、神奈川県出身。1996年に演劇ユニット「プリセタ」、2000年に劇団「ペンギンプルペイルパイルズ」を旗揚げ、作・演出を手掛ける。主な作品に、舞台『帰れない男』、『浪人街』、『鎌塚氏、震えあがる』、映画『アイ・アム まきもと』など。

公演情報

竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』

日:2025年11月8日(土)~30日(日)
  ※他、地方公演あり
場:下北沢 本多劇場
料:8,800円 U-25チケット5,000円
  ※U-25チケットは要身分証明書提示
  (全席指定・税込)
HP:https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/takenama-4
問:キューブ
  tel.03-5485-2252(平日12:00~17:00)

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