『君の笑顔』シリーズを通してお客様と一緒に笑顔になれたら キャストが全力で青春している様華やかで迫力ある世界を楽しんで

 劇団わの人気シリーズ『バック・トゥ・ザ・君の笑顔』三部作。2021年、コロナ禍による中止を経て再始動し、2025年7月に改めて三部作の連続上演が行われる。シリーズのラストを飾る『バック・トゥ・ザ・君の笑顔~ロボットって笑うっけ?~』に出演する佑太、小田あさ美、大平智之、松本祐一に、意気込みや作品に対する思いを語ってもらった。


――佑太さんには『君バク』のインタビューでもお伺いしましたが、まずは出演が決まった時の思いや意気込みを教えてください。

大平「4年ぶりの上演なので、4年間貯めた勢いを出し切ろうと思っています。この作品を上演できなかったことがずっと引っかかっていましたし、出演するみんなも同じ思いじゃないかと。これをやらなきゃ自分の中で進まないものがあるというくらい思い入れがあったので、貯めに貯めたパワーを出したいです」

松本「僕も4年間、毎日ジェネシスのことを思って生きてきました!」

一同「(笑)」

松本「というのは大げさですが、今回でやっと一区切りができると考えています。新たなキャストも加わって新しくなる作品を楽しんでもらえたら。ジェネシスの見た目も4年前よりパワーアップしているので、そこも楽しみにしていただきたいです」

小田「初演から同じ役でオファーをいただけるのは嬉しいことです。劇団わさんとのお付き合いは長くて、いろいろな作品に携わらせていただいていますが、(ロボバクの)再演は最後まで稽古した上での中止だったので悔しさがありました。携わるからには、前回上演できなかったみんなの思いも背負って、素敵な作品にしたいです」

佑太「僕はこの4人の中で唯一、前回のロボバクの稽古に参加していないんです。今回、演じる役の資料をいただいたときに二度見して、マネージャーにも間違いじゃないか確認してほしいとお願いしました(笑)。でも、頼りになる方もたくさんいるし、シリーズ通してバトンを繋いでくださるので、みんなの思いを乗せてラストを飾れたらと思っています」

――演じる役の魅力、ご自身との共通点についてはいかがでしょう。

松本「僕は神なので(笑)」

一同「(笑)」

松本「物語のラスボスというか、みんなが作り上げてきた中で最後に倒す役。そこを崩してはいけないという思いはありつつ、あまり個人にはならず、作品の一部でありたいです。稽古場で殺陣しかしていないので、前回はほとんどみんなと話せませんでした。ジェネシスという役としてはいいのかなと思いつつ、やりすぎると寂しい(笑)。今回は皆さんとコミュニーケーションをとりつつ、絶対神というところを大切に作りたいです。見せ場としては殺陣なので注目していただけたら」

小田「私は人間とヒューマノイドを演じますが、人間である幸希ちゃんを演じる時は未来を信じて、幸希という存在の明るさを表現できたらと思っています。ヒューマノイドのアスラを演じている時は、人のセリフを聞いて心が動いても泣いちゃいけないし感情を見せちゃいけない。稽古中もその葛藤はずっとありました。アスラというロボットが成長していく過程をうまく表現できると良いなと思っています」

佑太「僕の役は若き天才科学者。作中に『世界中の人々が笑顔になったらいいな』というセリフがあるんですが、それがすごく素敵だと思いますし、キーワードにもなってくるのかなと思っています。ロボットが楽しいという感情を持つことはすごく難しいけど、少しでも笑顔にしようと頑張るのは大事だと思います。現代にも通じるところがある作品で、たくさんの方に笑顔になってもらえたら嬉しいです」

大平「僕は現代、江戸、未来で田中という役を演じます。ずっとふざけていて、ノリで生きているようなところは共感できる。ただ、ロボバクでは急に大事なところを任されたり、自分の死と向き合う場面があったり。おバカなやつが世界の命運を握っているみたいなところが面白いです」

小田「おバカだけど、(田中)紀彦の優しさにそれぞれの時代のみんなが助けられて物語が良い方向に進む。大事な役だと思います」

――シリーズの中で、ロボバクならではの魅力や見どころはどこにありますか? 

大平「ロボットらしさみたいなところは面白さだと思う」

小田「ヒューマノイドはあまり情報がない中、想像で役作りをしないといけません。過去の公演では、同じヒューマノイド役でも個々の個性が出ていました。みんなちゃんと生きていて、それぞれのヒューマノイドがいる印象だったので、一人ひとりを見て楽しんでほしいです」

大平「ロボバクはアンサンブルがたくさんいて、みんなで未来を作っている感じも面白いよね」

佑太「江戸は資料があるけど、未来は見たことがない。その中で急にミュージカルが始まるっていう(笑)。その変化球はロボバクの魅力だと思います。最後は神の戦いもあるし、振り幅が大きい気がする」

大平「華やかなイメージもある。でも一番は最後の(松本たちによる)殺陣だよね」

松本「僕の中でテーマにあるのが、AIの氾濫や逆襲。僕が演じるジェネシスも神と言いつつ人工的に作られた機械神なので、その反乱がすごく好きな部分です。僕の元で戦ってくださるヒューマノイドを演じるアンサンブルの皆さんも、カラクリや昔ながらのロボットっぽい方、人間に近い方といろいろいるのは楽しみなところです」

大平「初演を上演した6年前って、AIがまだそんなに身近じゃなかった。当時観ていた人が今観たら見え方が変わってくるんじゃないかな」

佑太「君バク、江戸バクからの伏線回収もあるので、ぜひシリーズ通して見てほしいというか、観ないと謎が残ってしまうと思います。『あの警官(田中)なんだったんだ?』とか」

一同「(笑)」

佑太「もちろんロボバクだけでも楽しめるけど、全部観ていただくことでより深く楽しめると思います」

小田「全部そうだよね。1作ずつでも楽しめるけど、3作品通して観ることで感じられるものも絶対にある。お時間がある方にはぜひ三部作を観ていただきたいです」

――事前の殺陣稽古はもう始まったそうですね。

松本「すでに2日ほど稽古しました。殺陣だけ先に取り掛かったことで、余裕を持って手をつけられたし、もっとこうしてみようというアイデアも湧いてきました。余裕もあるから前回よりもすぐ仲良くなれましたし(笑)。もちろんこれからもまだまだ殺陣はつけていきますが、時間に追われないって大事だなと改めて思いました」

――ビジュアル撮影で久しぶりに衣装をまとった感想も教えてください。 

小田「久しぶりに(佑太と)会って、お互い変わらないねーと言いながら撮影しました。アスラの時にメイド服を着るので、恥ずかしいなと思いつつ、役者ならではだなと楽しみながら撮影しました。作品が違うけど(佑太は)制服だったよね」

大平「制服はどうなの?」

佑太「最近高校生役を結構やっているので、あまり違和感はないです(笑)」

小田「(大平とも)撮影が一緒だったんですが、髪型が変で可愛いんですよ(笑)」

大平「江戸は花火みたいにしたり、ロボは髪の毛に銀色が入っていたり」

佑太「田中のビジュアルを追うだけで作品の世界観がわかるよね。ロボはどんなテーマなんですか?」

大平「銀の全身タイツを着て、その上からカラフルな服を着て、靴もカラフルだった」

小田「なんで?」

大平「なんで? 僕はその答えを持ってないんだけど……」

一同「(笑)」

大平「江戸の格好で時代を飛び越えてきて、これが未来の格好と言われて着替えるけど、未来の人たちにも変だよって言われる。なんの服なんだろうね。(未来人の悪ふざけと聞いて)でもずっと着てるし、気に入ってるのかも(笑)」

佑太「ジェネシスも素敵でした」

松本「今回、ブレイズという編み込みの髪型になっています。メイクさんが神様らしくなるように気にかけて作ってくださいました。本番で殺陣をやった時に、髪がどれくらい干渉してくるかなと思っています」

大平「威圧感が増したよね。ラスボスらしさが強くなった印象がある!」

――これからスタートするお稽古や本番で楽しみにしていることはありますか?

大平「楽しみとは少し違うかもしれないけど、こういうインタビューもそうだし、君バクシリーズに携わると泣きそうになる」

一同「(笑)」

大平「1回目の稽古で泣くんじゃないかと(笑)」

小田「わかる。感極まっちゃうよね」

大平「楽しみなことは本当にいっぱいあるけど、個人的に怖いのはアドリブシーン。小道具でモノボケをしなきゃいけなくて、僕がすべっても(小田が)回収してくれる」

小田「袖で何をしているか見て、どこをチョイスするか判断して毎回違うセリフを言っていました。怖いですね」

大平「どうしよう、そのシーンで泣いちゃったら」

一同「(笑)」

佑太「僕としては毎日初日・千秋楽だと思っているんですけど、ロボバクが始まって、カーテンコールのみんなの顔を見るのが楽しみです。きっとみんないろいろな思いで公演に臨んでいるし、その思いを乗せたカーテンコールに辿り着けるのは当たり前じゃない。ロボバクは10公演あるので、10公演目のカーテンコールが楽しみだし、なんならすでにちょっと寂しいです」

一同「(笑)」

小田「役者側の意見ですが、『君の笑顔シリーズ』は大人の青春。殺陣や芝居などに一人ひとりがハートをぶつけ合う三部作の集大成です。青春したいという思いで今回も臨みたいなと思っていますし、みんなが青春しているところを見てほしいです」

大平「それがすごいエネルギーを産みそう。役者同士もそうだし、お客さんも含めて。想像しただけでもすごいものができそうだけど、想像をさらに超えてくるんじゃないかなと思います」

小田「ロボバクの最後のセリフは、初演からみんなですごく考えて、“くしゃくしゃ笑顔見つけた”に決めました。人ってくしゃくしゃ笑うことはなかなかないと思うんです。その言葉がすごくいいなと思っていて、最後のセリフを聞いた時に、観てくださっている方もくしゃくしゃ笑ってくださったらいいなと。なんの話でしたっけ?」

一同「(笑)」

小田「話しだすと止まらなくなっちゃう(笑)。私、DVDを繰り返し見ていますから」

松本「今回、新たなキャストの皆さんもいらっしゃいます。前回のアンサンブルの方も動ける方が多かったんですが、今回もすごく動ける方々らしいと聞きました。その方々が格好良くやってくれそうで楽しみですね」

――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

松本「4年越しに君の笑顔シリーズが始まります。三部作すべてに出る方もいますし、2作、1作の方もいますが、みんな同じ気持ちで挑むはず。シリーズで観たらより楽しめますし、解像度が上がって全キャラクター好きになると思います。もちろん推しを見にくる方もいると思いますが、少しでも気になっていただけた方は、シリーズ全部観ていただけたら僕たちも嬉しいです」

大平「先ほどDVDを繰り返し見ているという話が出ましたが、僕もふとした時にセリフを思い出すことが何度もありました。それくらい思い入れのある作品なので、全身全霊で楽しませたいです。ロボバクはシリーズの集大成として、想像を超える体感ができると思います。ぜひ観にきていただきたいです!」

小田「久しぶりに幸希ちゃんとアスラを演じるにあたって、自分自身の成長によって出せる表情や表現もあると思います。また、君バクと江戸バクからのバトンを繋いでもらってロボバクがあります。それぞれの作品で描かれる愛と幸せの形を皆さんに届けて、明日からの希望になれるように、全力で作り上げようと思います。ぜひ観にきていただけたら嬉しいです」

佑太「三部作通して楽しんでいただけたら、さっき言っていたくしゃくしゃ笑顔や泣き笑いなど、いろいろな笑顔が見られると思います。それをお客様に届け、お客様の素敵な笑顔を僕たちも見たいなと。それは劇場でないと見られないと思うので、劇場に足を運んでいただき、共に笑顔になれたらと思っています。ぜひ笑いに来てください!」

(取材・文&撮影:吉田沙奈)

プロフィール

佑太(ゆうた)
東京都出身。アイドル事務所のオーディションを経て、帝国劇場や東京ドームでバックダンサーとして活躍。舞台俳優としての活動の傍ら、バンド「The LADYBIRD」にギタリストとして加入。ストレートプレイからミュージカルなど、幅広いスタイルの作品に多数参加している。

小田あさ美(おだ・あさみ)
埼玉県出身。アイドル、モデル、女優として幅広く活動。主な出演作にSFIDA ENTERTAINMENT『愛はお金で買えますか?〜クリスマス争奪戦〜』、劇団わ『Happy Spell』、劇団バルスキッチン『ぬいぐるみスピリット』など。

大平智之(おおだいら・ともゆき)
宮城県出身。俳優業に加え「ヒロインの心-ヒロインノココロエ-」、「いつだって青い春。」、「ヴィランの掟」といったアイドルグループのプロデュースも手掛ける。主な出演作に『シェイクスピア様ご乱心』、劇団わ『劣等生、乙川強の半生。』など。

松本祐一(まつもと・ゆういち)
高知県出身。俳優、殺陣師として活動。劇団「平熱43度」 所属。主な出演作にハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』、舞台『おおきく振りかぶって』シリーズ、無情報 結成10周年記念公演『BILL’S BILLS BUILDS』、LEGENDSTAGE feat. カムカムミニキーナ『よろしく候〜BOTTOM OF HEART〜』など。

公演情報

劇団わ 本公演 
『バック・トゥ・ザ・君の笑顔 〜ロボットって笑うっけ?~』

日:2025年8月2日(土)〜8日(金) 
場:中目黒キンケロ・シアター
料:10,000円(全席指定・税込)
HP:https://gekidan-wa.tokyo/back-to-the-kiminoegao2025
問:劇団わ mail:cs@gekidan-wa.tokyo

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