意欲的に新作を発表し続ける宮下貴浩× 私オム プロデュースの最新作! 捨て切れなかった青春と夢。その終わりの景色とは

 俳優・宮下貴浩と、劇作家・私オムがタッグを組んで、毎年新作を発表するプロデュース公演の上演が今年も決定。9作目となる今回のタイトルは『霧』。借金もあり妻子もいながら、ミュージシャンの夢を捨てきれない30歳の男の話だ。どんなところから着想を得たのだろう。

私「僕は元々、音楽がやりたくて上京してきたので、ほんの少しだけその要素があります。21歳くらいの頃ですね。2ヶ月後には演劇に出会っちゃって、その夢はなくなりましたが(笑)。その時に出会ったのが宮下さんですね。お芝居を始めたきっかけになりました」

宮下「僕もその時まだ1年くらいしかお芝居をやっていなかったんですが、僕より演劇を知らないやつが来たんで、自然と仲良くなりました(笑)。僕も、ふらっと東京に出てきて色々やりたいことがあったんです。お笑いもいいなとか音楽もやりたいなとか。実際にバンドを組んでライブをしていたときに、来てくれていたお客さんに誘われて、わからないまま初めて舞台に立ったら楽しくて、というところから始めました」

 本作で主人公を演じるのは、赤澤 燈だ。第7回公演『愚れノ群れ』に続いての出演となる。今回の脚本を読んで感じたことを聞くと。

赤澤「読む前からこの役のイメージができなくて、『これ俺かな?』と思っていました。でも、前回出演した時の舞台写真を宮下さんがSNSに上げてくれて、見てみたらちゃんとヤクザ役になれていて。その振り幅があったので、『あ、俺いけるわ』と思ったんです。お話的にはちょっと繊細な部分があって。前回の“ヤクザっぽく”は何となくイメージが湧くじゃないですか。でも今回の役は、わかりやすい“〇〇っぽい”というのがあまりないんです。リアルにいそうな人の役なので、難しいなと思いました。そもそも妻と子どもを持ったことがないから、親以外の家族のために生活していくという心理はわからない。そういうところは想像しながら、頑張っていかないとと思っています。今回は弟がキーになってくる作品ですが、僕は一人っ子なので、そんなところも含めたらまるで似ていない人間で、想像がつかないから楽しみです」

 最後に観客へのメッセージを聞いた。

赤澤「『愚れノ群れ』で共演した役者さんも沢山出演していますが、全く違う作品なので、その差も観て欲しいですね。今後も新しいことを生み出す座組だと思いますので、期待してください」

私「全ての役で、それぞれの役者さんの良さが滲み出ていると思います。楽しみにしてください」

宮下「今作も燈くんは一番合う役を更新してくれると思います。“宮オム”初参加の役者さんもいるので、彼らがどんな風を吹かしてくれるのか楽しみです」

(取材・文:新井鏡子 撮影:間野真由美)

「1日限定で変身出来るとしたら、何に変身しますか?」

赤澤 燈さん
「実家で最近飼い始めたインコのコタちゃん。
実家を離れて生活しているので、自分がいない間の両親がどんなほのぼの生活を送っているのか観察してみたい。あと、母ちゃんの誕生日が近いから何か欲しいものがあるかとかリサーチしたい」

宮下貴浩さん
「デコピンになりたいです。大谷翔平さんにプライベートで特別扱いされたいです。始球式ではマウンドからボールを咥えて全力疾走で大谷さんに向かって走り全米に褒められたいです」

私オムさん
「ビンタをし合う世界大会の審判。凄まじい緊張感の真ん中に立ってみたい。そこで「fight!」と言ってみたい。ビンタを受けて気絶した選手を後ろから支える人もありだなあ。悩む。んー……支える人で!」

プロフィール

赤澤 燈(あかざわ・ともる)
1990年生まれ、東京都出身。舞台を中心に活躍。MANKAI STAGE『A3!』シリーズでは、原作ゲームとともに三好一成役を務める。他の主な出演作に、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン、舞台『東京リベンジャーズ』シリーズ、舞台『わかば自動車教習所で恋を学ぶ』(主演)など。

宮下貴浩(みやした・たかひろ)
1981年生まれ、長野県出身。役者として舞台・映像に出演するほか、私オムとのプロデュース公演、水野美紀× 矢島弘一『2つの「ヒ」キゲキ』(新国立劇場)、プロペラ犬『僕だけが正常な世界』
(東京撃術劇場)では出演と、企画・プロデューサーを務めた。映像ではドラマ『3000万』、『バントマン』などに出演。

私オム(わたし・おむ)
1989年生まれ、大阪府出身。代表作に、女優・水野美紀との共同演出作品『されど、』や朗読劇『探偵ガリレオ』など。近年ではテレビドラマにも挑戦し、2025年以降放送予定の作品が控えている。身近に感じる日常にドラマを生み出し、笑いを挟み込みながら会話劇で展開する作風は各テレビ局関係者からの評価が高い。

公演情報

宮下貴浩×私オム プロデュース 第9回公演『霧

日:2025年6月4日(水)~15日(日)
場:シアターサンモール
料:8,800円(全席指定・税込)
HP:https://www.ruby-parade.com/lp/miyaomu9/
問:上記HP内よりお問合せください

インタビューカテゴリの最新記事