板谷由夏と津田健次郎が夫婦役で初共演! 「したい」夫と「したくない」妻による口喧嘩朗読劇

 セックスレスをきっかけに、夫婦や子育ての在り方を見つめ直す不器用な二人を赤裸々に描いた足立紳 原作の同名小説を、足立と新井友香の共同脚本で朗読劇化。2023年の初演は大きな反響を呼んだ。この度、新たなキャストを迎えて再演が決定。今回、夫婦を演じるのは板谷由夏と津田健次郎。津田に台本の印象を尋ねると。

 「コメディとシリアスがほどよく混じっていて、笑いあり、身につまされる部分あり、感動あり。性事情を含めた夫婦のやりとりが生々しく出てくるので若い方はびっくりするかもしれませんが、とても真面目な夫婦のお話です」

 津田が演じる映画監督の孝志は、くすぶっている冴えない夫。妻の仕事が軌道に乗りはじめ、モヤモヤが募る。

 「とても正直で不器用な男だなと。そのダメさ加減も含めて味になっていければ。でも、ただのダメな男ではない、良い部分も悪い部分もそのまま出て、不純な中に垣間見える純粋性が素敵なところなんじゃないかな。男目線で言えば、線引きできずにグズグズしているところが、非常に男が抱えそうな部分だなと思ってしまいましたね」

 本作の魅力は、少人数による全編を通した口喧嘩の掛け合いだ。些細なすれ違いの積み重ねがバトルへ発展していく。

 「孝志は謝るところは素直に謝った方がいいのになぁと思ったり(笑)。今回は二人芝居なので会話が濃くなっていきます。二人の会話劇だからこそ、面白い部分でもあり難しい部分でもあるなと。その場に存在する夫婦が生々しく会話をしている姿が立ち上がってくるといいですよね。脚本はコメディ部分もしっかり描かれています。そして売り言葉に買い言葉とか、そういう部分が観ているお客さまもおそらく身につまされるでしょうし、面白味の大きな要素の一つだと思います。老若男女問わず楽しめます。ただ少々過激な表現は入っております(笑)」

 物語の時系列は2020年のコロナ禍。エンタメ界に身を置くこの夫婦同様に演劇界も大きな影響を受けた。津田個人として価値観の変化などはあったのだろうか?

 「僕は変わってない方だとは思うんですけど、エンタメは不要不急のものであるということを改めて認識しまして。では何ができるのだろうかと。無力なりに丁寧に一つひとつ作って全力を尽くそうと、昔から思っていたことを再認識して、驕り高ぶることなく謙虚にやっていきたいなと思いました。コロナ禍だからこそ見えてくるものもたくさんありました。それが元に戻りつつあるのも複雑な気持ちではあり、忘れないようにしていきたいですね」

(取材・文:谷中理音 撮影:安斎しのぶ)

プロフィール

津田健次郎(つだ・けんじろう)
6月11日生まれ、大阪府出身。アニメ・吹替・ナレーターなどの声優業、舞台・映像の俳優業を中心に、映像監督や作品プロデュースなど幅広く活躍。第15回声優アワード主演男優賞受賞。声優として、今年デビュー30周年を迎える。近年の主な出演に、アニメ『チ。―地球の運動について―』、『ねこに転生したおじさん』、ドラマ『西園寺さんは家事をしない』、映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』、劇場版『トリリオンゲーム』ほか俳優としても広く活躍している。2024年には、第53回ベストドレッサー賞芸能部門を受賞。

衣装: ジャケット48,400 円 パンツ33,000 円(共にコノロジカ/HEMT PR tel.03-6721-0882) 他、スタイリスト私物

朗読劇『したいとか、したくないとかの話じゃない』 2025

日:2025年5月23日(金)~25日(日)
場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
料:8,500円(全席指定・税込)
HP:https://aoi-stage.jp/shitaitoka
問:サンライズプロモーション東京
  tel.0570-00-3337(平日12:00~15:00)

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