1987年に旗揚げし、今年設立35周年を迎える音楽座ミュージカル。今年2月に上演される『JUST CLIMAX』はその幕開けを飾る作品で、過去の名作から名場面を編集し、新たなステージを紡ぎ出す。
石川「主人公は一人の“女”で、迷路を彷徨い、さまざまなシーンと出会っていく。曲がり角の先に何があるかは誰もわからない。ただその瞬間出会ったものの中で最大限に生きていくしかない。各クライマックスには各々の生き様があり、そこで“女”は何を感じるのか、音楽座ミュージカルの新しい試みです」
森「普通、主人公は物語を引っ張っていくけれど、この“女”はお客様の側にいる。お客様自身そこで旅をして、それぞれの人生の物語にしていただける作品ではないかと思っています」
石川はチーフプロデューサーとして設立時から音楽座ミュージカルを支え、森は入団6年目でカンパニーの今後を担う逸材だ。
石川「前代表が音楽座ミュージカルを立ち上げ、今もその信念は一貫して流れています。セリフ一つ、曲一つに想いを込めていて、メンバーたちもそれを表現したいと集まっている。なかでも森はエネルギーの塊で火の玉のよう。表現者として素晴らしいことですよね」
森「一人ひとりの人生における大事な物を尊重しているのが音楽座ミュージカル。それを感じた時、自分もここで意志を持って生きたいと思うようになりました。この6年で一番思い出深い作品は『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』です。『JUST CLIMAX』
にも出てきますが、ずっと上演を重ねてきた作品であり、今の自分が何を背負えばいいか。不安はありつつ、答えを見つけたいと思っています」
35周年という大きな節目を経て、この先音楽座ミュージカルが目指していくものとは?
森「演者として心がけているのは、どの瞬間も一生懸命生きるのを忘れないようにしようということ。作品を作ることで、生きるって当たり前じゃないんだということを毎回教えてもらっています。これだけ命をかけているのだから、一人でも多くの方とこの時間を共に過ごし、またそこで共感していただいたお客様との縁を大切にしていけたらと願っています」
石川「大切なのは作品を打ち続けること。ミュージカルを創作上演していくのは経済的に大変ですから、なくなってしまうのは簡単です。作品は時代を超えて残っていく。だからこそそれに値する作品を作り、また次に繋げていけたらと思っています」
(取材・文:小野寺悦子 撮影:友澤綾乃)
プロフィール
石川聖子(いしかわ・せいこ)
1950年生まれ、秋田県出身。東京薬科大学薬学部卒業。製薬会社に勤務後、1979年株式会社サマデイに入社。1987年に株式会社ヒューマンデザインがサマデイグループに設立され、取締役として入社。音楽座ミュージカルの設立と同時にチーフプロデューサーに就任。
森 彩香(もり・さやか)
広島県出身。大阪芸術大学舞台芸術学科出身。在学中に『キャバレー』サリー役、『三文オペラ』シーリア役でミュージカルに出演。自主公演で学生演劇祭の主演女優賞にノミネートされるなどオペラやミュージカルを中心に活動し、2016年4月より音楽座ミュージカルに参加。初舞台『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』で里美役をつとめた後、『リトルプリンス』王子役、『グッバイ・マイ・ダーリン★』ねずみの奥さん役、『7dolls』でムーシュ役と続けて主役に抜擢され、大胆な演技とのびやかな歌声で注目を集めている。
公演情報
Ongakuza Musical
『JUST CLIMAX ジャストクライマックス』
日:2022年2月12日(土)・13日(日)
場:草月ホール
料:SS席11,000円 S席9,900円(全席指定・税込)
HP:http://www.ongakuza-musical.com
問:音楽座ミュージカル tel.0120-503-404
(月~土 12:00~18:00/日祝・12/28~1/4休)