本多劇場という空間をどう活かすか、自分でもワクワクしている 観終わったら元気になれる、新鮮さのある新作公演

本多劇場という空間をどう活かすか、自分でもワクワクしている 観終わったら元気になれる、新鮮さのある新作公演

 始動から25周年を迎える、はえぎわの新作『幸⼦というんだほんとはね』が2月に開幕する。主宰・ノゾエ征爾に作品について話を聞いた。

 「群像劇で、大きく言うと“幸せ”について考える話。絶望的なことや社会問題など、描いてみたいことは色々ありますが、その根源にある“人間とは”、“愛とは”、“幸せとは”ということに触れられる作品にしたいです。僕自身、社会の複雑さや窮屈さに気づくこともあって、ベースは幸せだけどなんだかなぁ……という思いがある。何かを定義したいというよりは、考えてみたいと思っています。25周年でお祭り的なものを期待されている方もいるかもしれませんが、いい意味で普通に、真っ当につくりたいです」

 はえぎわの魅力を尋ねると。

 「25年やっていてもわからないんです(笑)。人を好きでいたいと思っているので、人について考えて生まれる作品が特徴かもしれません。ただ、作風はずっと変わり続けていて、“はえぎわといえば”というところに固執したくはない。毎回どうなるかわからなくて怖いけど、実験できるのが劇団だと思うので」

 今回のチラシは、松尾スズキによるイラストが目を惹くビジュアルだ。

 「25周年の企画書とタイトルだけ伝えて描いていただきましたが、出来上がったものを見ると作品と凄くリンクする。僕には“幸せ”を求めて彷徨っている人に見えます。あと、追っているような、追われているようなイメージにしたいと思っていたら裏面をデザイナーさんが組んでくれました。表裏や善悪などを連想するビジュアルになったと感じます」

 演出についてノゾエは「来てびっくりしてほしいと思っています(笑)」と話す。本多劇場ならではの空間から立ち上がってくる、若い青年と年配の女性を軸とした音楽劇になるそうだ。

 「空間の使い方についてアイデアがたくさんあり、どれを採用するか迷っているところ。串田十二夜くんのキラキラを軸にストーリーを進め、先輩である高田聖子さんに入っていただきました。幅広い世代でクリエイションするのが楽しみです。初めてお呼びする方は好きな部分を目一杯出す役柄をお任せしますが、長くやっているメンバーについては既成概念を壊したい。元気になりたい人、じめっとした状態の人はぜひ来てほしいですね。僕自身も新たなステージにいけるよう、モヤモヤが晴れる作品にしたいです」

(取材・文:吉田沙奈 撮影:平賀正明)

オーディション、本番前など……ここぞ!という時にやるルーティーンは?

「舞台でのルーティーンは、基本的にはあまりないのですが、例えば、初日の本番前にたまたまオロナミンCを飲んで、悪くない出来だったら、数日続けてみたりとか、そんな程度です。ただ、開演直前に舞台裏で、祖父母をはじめとしたお空の数人に挨拶するのだけは必ずやっています。最近少し人数が増えてきて、ちょっと時間がかかります(笑)。うっかり誰かを忘れてしまった時も、舞台上でハッとしてしまうので、ちょっとやり方を考えねばと思っています」

プロフィール

ノゾエ征爾(のぞえ・せいじ)

脚本家・演出家・俳優・はえぎわ主宰。1995年、大学在学中に演劇を始め、1999年に「はえぎわ」を始動。以降、全公演の作・演出を手掛ける。2012年、『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞受賞。2024年は、小川絵梨子演出作品『デカローグ1&3』への出演のほか、はえぎわ×彩の国さいたま芸術劇場『マクベス』(上演台本・演出)、音楽劇『死んだかいぞく』(脚本・演出)、モチロンプロデュース『ボクの穴、彼の穴。W』(翻案・脚本・演出)、『ロボット』(潤色・演出)など劇団外でも活躍。はえぎわ25周年新作公演の次は、フライングシアター自由劇場『そよ風と魔女たちとマクベスと』(串田和美演出)4月25日~5月4日すみだパークシアター倉に出演予定。

公演情報

はえぎわ 25周年記念公演
『幸子というんだほんとはね』

日:2025年2月26日(水)~3月2日(日) 
場:下北沢 本多劇場
料:一般6,000円
  U-25[25歳以下]2,500円
  U-18[18歳以下]1,000円
  ※U-25・U-18は要身分証明提示
  ※他、世田谷区民割引あり。詳細は下記HPにて(全席指定・税込)
HP:https://haegiwa.net/kouen/2025_sachiko/
問:リトル・ジャイアンツ tel.090-8045-2079

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