山本卓卓による新作を益山貴司が演出する「とんでもないおもちゃ箱」! 人助けが生業のヒーローたちの世界を舞台にした音楽劇

 山本卓卓の新作戯曲を益山貴司が演出する音楽劇『愛と正義』。人を助けることを生業とするヒーローたちの世界を舞台に、人間関係のあり方を抽象化した物語を、語り(歌)と対話で展開するという。一色洋平と山口乃々華は出演にあたっての思いをこう語る。

一色「企画書の段階から、面白そうな企画の匂いがぷんぷんしました。卓卓さんは舞台を拝見しても、本人にお会いしても、唯一無二の世界観を持っていると感じます。それを貴司さんというまた独創的な世界観を持った人が演出するわけですから、とんでもない“おもちゃ箱”をKAATさんは用意したかったんだろうなと思いました。自分で言うのも変な話ですが、キャストは“このおもちゃ箱で遊んでくれそうな人”を厳選した気がして。このメンバーの一員になれたことは演劇人として光栄です」

山口「最初はタイトルから小難しい印象を受けたのですが、脚本を読んでみると、非日常なところもありながら、とても日常的な話だと思いました。最近感じる言葉にできない雰囲気や感情も含めて、共感できることがたくさんありました。つら過ぎたり、悲し過ぎたりする話ではなく、救いがあって、誰もが1人きりにならずに繋がっているところが凄くいいなと思います」

 一色は主人公のヒーロー・コチを、山口はその妻・ソチを演じる。役についての印象を尋ねると。

一色「自分のことを後回しにする人ばかり出てくる話で。その中で常に他人の命を見つめてきたコチは、ソチのおかげで初めて自分の命に目を向けて、それが恐れに繋がっていくんです。『疲れた』というセリフがあるんですが、それは大切にしたいですね。大事にし過ぎると重くなるので、軽快にやりたいですが、彼が大事にしてきたことのしわ寄せがきたことを表すセリフだと思うので」

山口「物腰が柔らかくて、達観しているようなソチ像を私はイメージしていたのですが、益山さんからはもっと大人で、強くて、感情が前に出るソチをオーダーされて……役づくりの真っ最中です。ソチはとにかくコチが大好き。だからこそ彼を守りたいし、コチにしか本音をさらけ出せなかったのではないかなと思っています」

 イガキアキコの音楽と黒田育世の振付も見どころだ。

一色「イガキさんの音楽はこれまでやってきたどの音楽よりも難しいけど、歌いこなせたらきっとおしゃれで格好いい」

山口「振付はコンテンポラリー要素が強く面白いです。場面転換も観ていて飽きないと思います」

 どんな新作音楽劇を見せてくれるのか、乞うご期待!

(取材・文:五月女菜穂 撮影:間野真由美)

プロフィール

一色洋平(いっしき・ようへい)
1991年8月6日生まれ、神奈川県出身。法政大学入学と同時に、早稲田大学演劇研究会に入会。卒業後は舞台・ドラマ・劇作など活動の場を広げ、また、身体能力も傑出しており多くの作品に出演。近作に、梅棒19th GIFT『クリス、いってきマス!!! 』、ノサカラボ『ゼロ時間へ』、KOKAMI@network vol.20『朝日のような夕日をつれて2024』、舞台『鋼の錬金術師』シリーズなど。

山口乃々華(やまぐち・ののか)
1998年3月8日生まれ、埼玉県出身。「E-girls」として、2012年よりパフォーマーとして2020年末まで活動。2021年より、本格的に女優としての活動を開始。主な出演に、ミュージカル『ジェイミー』、『SPY×FAMILY』、『ラフヘスト~残されたもの』など。

公演情報

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 音楽劇『愛と正義』

日:2025年2月21日(金)~3月2日(日)
場:KAAT 神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉
料:一般6,500円 ※他、各種割引あり。詳細は下記HPにて(入場順整理番号つき自由席・税込)
HP:https://www.kaat.jp/d/aitoseigi
問:チケットかながわ 
  tel.0570-015-415(10:00~18:00)

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