シリーズ3作目の超人気アクションRPGを初舞台化 壮大なゲームの世界観がステージに蘇る

シリーズ3作目の超人気アクションRPGを初舞台化 壮大なゲームの世界観がステージに蘇る

 誕生から30周年を迎える『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』が初めて舞台化される。原作となるゲームは、『聖剣伝説』シリーズの3作目として1995年に発売されたアクションRPG『聖剣伝説』のフルリメイク版として発売され、世界累計出荷・DL販売本数100万本を突破した超人気作だ。マナの力を利用し世界征服をたくらむ勢力の争いに巻き込まれながら、必死に運命に抗う若者たちの旅立ちと試練の物語を描く。今作の主人公・デュランたちと共に冒険に旅立つ、アンジェラを演じる飯窪春菜に公演への意気込みを聞いた。


―――『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』はご存じでしたか?

 「周りから『聖剣伝説』シリーズの中でも『聖剣伝説3』が特に面白いと聞いていたので知っていました。ちょうどリメイク版が発売されたときに、スクウェア・エニックスのゲーム紹介番組のMCをやらせていただいていたので、そこでゲームをご紹介したのを覚えています。出演させていただけるとお聞きして、『あ、紹介したゲームだ!』と。その番組内でプレイさせていただいたので、まさかその舞台版に自分が出られるなんてと驚きました」

―――番組内でプレイをしたときは、どんな印象を持ちましたか?

 「まずストーリーがとても面白かったです。それから、6人のキャラクターの中から誰をメインに遊ぶか選択できるのが『聖剣伝説3』の楽しいところだと思います。私は、プロローグで誰でプレイしようかと凄く悩んで、ケヴィンにしました。ケヴィンの相棒のカールが死んでしまうというプロローグで涙してしまって。なので、アンジェラのプロローグはそのときは見ていなかったんです。今回改めて見て『こんなに悲しい始まり方なんだ』と心が動かされましたし、ストーリーも面白かったです。私はコマンドを選んで戦うゲームよりも、自分でボタンで攻撃を繰り出していくというゲームが好きなので、そういう意味でも好きなジャンルのゲームです」

―――ご出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

 「嬉しかったです! しかも、『聖剣伝説3』は誕生から30周年ですが、私も30歳なので同い年なんですよ。主演の小笠原海くんも、リース役の礒部花凜ちゃんも同い年なので、30歳が集まった面白い縁だなと思いました」

―――飯窪さんが演じるアンジェラについて、どのようなキャラクターだと捉えていますか?

 「アンジェラはお母さんの愛情に飢えていて、孤独を感じているかわいそうなところもある女の子です。私は家族みんな仲良しなので、アンジェラの気持ちが分からないところもあります。過去に自分が感じたことのある孤独の中から、彼女の孤独を見つけて演じ、みなさんにお届けできたらと思っています。ゲームで声優さんのボイスを聞いたときに、思っていたよりも声が高く、少女らしい可愛らしい声だと感じたので、自分も頑張って声を高くしなくちゃと今からドキドキしています(笑)」

―――これまでも漫画や小説が原作の舞台作品、いわゆる2.5次元舞台に多数ご出演されてきたと思いますが、ゲーム原作ならではの役作りや演じ方で何か意識されているところはありますか?

 「以前に、バンダイナムコの『TALES of ARISE』というゲームのオンライン舞台にヒロイン・シオン役で出演したことがあります。そのときも、攻撃時の決めゼリフはゲームならではと感じましたが、それをいかに自然に、そのキャラクターが発しているようにお見せできるかというところが課題でした。今回の稽古でもそうしたゲームならではのセリフを体に染み込ませていかなくてはいけないと思っています」

―――松多壱岱演出作品への出演ですが楽しみなことはありますか?

 「そうですね。壱岱さんが演出されている舞台を拝見させていただき、美術が凄く素敵で音楽も壮大で、ゲームの世界にどっぷりと浸かれました。今回の『聖剣伝説3』の世界がどのように表現されるのか今からワクワクしています。壱岱さんがどんな世界観を作るのか凄く楽しみです」

―――アンジェラのビジュアルもまた、楽しみの1つですね。

 「衣裳が凄く精巧に作られているので、刺繍1つとっても、飾り1つとっても、そのままゲームから飛び出してきたような衣裳でした。今からこの衣裳を着て舞台に立てるんだと感動していますし、公演が終わったらこの衣裳が欲しいと思っています(笑)。本当に素晴らしいです。ヘアメイクとウイッグは、『TALES of ARISE』でお世話になった方が作ってくださるそうで、原作に沿った見た目にこだわっていらっしゃる方なので、衣裳とメイクにも絶対的な自信があります。あとは、自分のコンディションを整えるだけだと思っています」

―――役作りをする際や稽古中に、原作のゲームに立ち返ることもありますか?

 「キャラクターとして戦うとなると、やはり基本的な殺陣のお稽古を殺陣の先生から習うだけでなく、武器の持ち方や手の向きなど、細かいところは自分たちで把握しておかないといけない。なので、そうした細かい部分までしっかりとゲームに立ち返って予習してから稽古に臨みたいと思っています。実際にはゲームと同じような高いジャンプはできませんが、できる限り近づけて、生身の人間がやるリアルなアクションとしてお届けできたらいいなと思います。私はあまり殺陣の経験がないんです。でも今回は魔法使いだからそれほど動かないのかな?と思っていたのですが、台本を見るとしっかりと戦っているので、私も頑張ろうと改めて気合いを入れているところです(笑)」

―――共演者の方々の印象を教えてください。共にパーティーを組むケヴィン役の青柳塁斗さん、リース役の礒部花凜さん、ホークアイ役の阿久根温世さん、シャルロット役の宮崎あみささんはいかがですか?

 「ケヴィン役の青柳塁斗くんは、今年5月に『女の友情と筋肉』というミュージカルで共演させていただいたばかりです。そのとき、塁くんは筋肉モリモリの女の子の役を演じていたんです。今回初めて男の子として塁くんに出会うので、それが楽しみです。リース役の花凜ちゃんは2年前に『炎炎ノ消防隊』で共演しました。ほわほわしている子で、暖かいんですよ。シャルロット役のあみさちゃんは初共演ですが、同じ事務所で、あみさちゃんもぽわぽわしていて、癒し系です。今回は、ぽわぽわした女の子が多い現場です。阿久根さんはまだきちんとお会いしたことがないのですが、まだ10代と聞いて、恐れおののいています(笑)。楽しみです」

―――稽古場も楽しくなりそうですね。

 「楽しそうです! 他にも、理の女王を演じる最上もがさんは長い付き合いのお友達です。まさか、もがさんが私のお母さん役になるなんて考えてもいなかったので、それも楽しみの1つです。実は、出演が決まってすぐに連絡が来たんですよ。もがさんは2.5次元舞台が初めてだそうで、『春菜にずっとくっついていようと思う』と連絡いただきました! 知り合いが多いので、私としては安心して稽古に挑めるなと思っています。年齢も活動しているジャンルもそれぞれ違う、バラエティーに富んだキャスト陣が集まっているので、みなさんと早く仲良くなって一丸となって頑張っていきたいと海くんとも話しています」

―――今回は東京公演のほかに、大阪でも公演を予定しています。大阪での公演で楽しみにしていることを教えてください。

 「ご飯が楽しみです! 大阪と言ったらやっぱりお好み焼き。お好み焼きはみんなが仲良くなれるご飯だと思うので、ぜひキャストのみなさんと一緒に作って仲を深めたいです。それから、以前に大阪で公演をおこなったときに素敵なバーを見つけたので、そこに行くのも楽しみにしています」

―――先ほど、飯窪さんも『聖剣伝説3』と同じ30歳というお話がありましたが、30代に向けてどのような思いがありますか?

 「私はこれまで30代になるのが凄く楽しみでした。私の周りの大人の方たちがみんな『30代は楽しいよ』と言っていたので、早くなりたかったんです。ようやく11月に30歳を迎えられたので、より自分のことを大事にして、愛していきたいと思いますし、愚直に真っ直ぐ頑張りたいと思います」

―――振り返ってみて、20代はいかがでしたか?

 「濃い10年間でした。アイドルも経験しましたし、25歳からは舞台も始めて。本当にたくさんの方との出会いがあり、自分の人生が豊かに彩った20代でした」

―――変化も大きい10年でしたか?

 「アイドルを卒業したというのは大きな変化かもしれませんが、芸能のお仕事はずっと続けているので、気持ちの変化は特になかったです。ただ、20歳のグループ現役当時は、外の世界を知らなかったので、“どうやったらグループに貢献できるか”ばかりを考えていました。30歳になった今は“自分を大事にしなくては”と思うようになりましたので、そうした変化はありました」

―――30代の目標は?

 「何事にも挑戦していきたいと思います。今回、がっつりアクションをするというのも私にとっての新たな経験です。まだまだ30歳。色々なことに挑戦していきたいと思います」

―――ところで、アンジェラは魔法王国の女王の一人娘ですね。それにちなんで、もし魔法を使えるとしたらどんなことをしてみたいですか?

 「瞬間移動です! 私は、人生をかけて世界各地の絶景を見るというのが夢なんです。テレポートできたらすぐにオーロラも見に行けるし、行きたい国にも行けるので、テレポートの力が欲しいです。それに、家を出る5分前に起きても仕事場に一瞬で行けますから(笑)」

―――改めて、公演に向けての意気込みと読者にメッセージをお願いします。

 「多くの方に愛されてきた『聖剣伝説3』が舞台化されます。このゲームに子どもの頃の大切な思い出が詰まっている方もいらっしゃるでしょうし、大人になって初めてプレイされた方もいらっしゃると思いますが、ぜひ、現実の世界で生身の人間が表現する『聖剣伝説3』の世界を体感していただけたらと思います。たくさんの方に愛されているゲームだからこそ、観に来ていただいたときにがっかりさせないようにみんなで一丸となって作り上げて、素晴らしい作品をお届けしたいと思います。お時間のある方はぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです」

(取材・文:嶋田真己 撮影:平賀正明)

プロフィール

飯窪春菜(いいくぼ・はるな)
1994年11月7日生まれ、東京都出身。2011年、「モーニング娘。」に10期メンバーとして加入。2018年、グループを卒業。以後、モデル・俳優など幅広く活躍。主な出演に、舞台『東京リベンジャーズ―聖夜決戦編―』、『トワツガイ』シリーズ、『女の友情と筋肉 THE MUSICAL-幸せの上腕二頭筋-』など。

公演情報

聖剣伝説3 TRIALS of MANA THE STAGE

【東京公演】
日:2025年3月7日(金)~16日(日)
場:サンシャイン劇場

【大阪公演】
日:2025年4月4日(金)~6日(日)
場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

料:12,100円(全席指定・税込)
HP:https://seiken3-tom-stage.com
問:上記HPよりお問い合わせください

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