光月るう✕彩音星凪W主演のエンターテインメント時代劇! 激動の幕末で出会った2人の志士。互いを敵と知った時、下した決断は!?

 関西を拠点に40年以上活動を続ける劇団「そとばこまち」が誰もが楽しめるノンバーバル(非言語)作品として2018年に創作したエンターテインメント時代劇『幕末』。激動の幕末に一度は心を通わせるも、敵と知り、互いの使命との間で葛藤する坂本龍馬と沖田総司を描く。2020年に全編台詞を加えて再演され、2022年にテレビ番組とのコラボレーションが実現し、2024年にはダンス公演に形を変えて上演されるなど多くのファンを魅了してきた。そして今年、W主演に元宝塚歌劇団月組の光月るうと彩音星凪を迎え、新たな物語とシーンを加えたより重厚な舞台へと昇華させる。坂本龍馬役の光月に公演への意気込みを聞いた。


―――本作への出演が決まって率直な印象を聞かせてください

 「関西で長らく活動されている劇団そとばこまちさんが手掛ける、エンターテインメント時代劇の1つとして『幕末』は2018年に初演されました。以前に初めて拝見させていただいた時は、殺陣がすごいという印象でしたね。私自身、坂本龍馬を演じた経験はありませんが、坂本龍馬が師と仰ぐ勝海舟を演じさせていただいたことはあります。全く未知な世界ではないことと、和物のお芝居が好きなこともあって、歌劇団を卒業以来、久しぶりに袴をはけるんだと、とてもワクワクしています」

―――幕末という時代、坂本龍馬という人物にどのような印象をお持ちですか?

 「幕末は怒涛のように様々なことが変わっていった時代で、様々な人達が掲げる正義や信念、思惑といったものが激しくぶつかった時代だと捉えていて。この物語は、現状維持を恐れ、先見の明と強い信念に基づいて行動をしていた尊攘派の坂本龍馬と、彼らを取り締まる幕府の警備隊であった新選組一番隊組長の沖田総司が出会い、心を通わすことから始まります。結果的に互いの信義は違っていても何か認め合うものがあったのではないでしょうか。その意味では沖田総司を演じる彩音さんとは、宝塚時代からの関係性も生かされると思います」

―――宝塚歌劇団では男役スターとして活躍をされました。本作でも再び男性を演じられます。

 「今まで沢山の男性役を演じてきましたが、“男役”を演じることと、歌劇団を離れてから“男性”を演じることでは、大切にする部分が変わった感覚があります。宝塚の世界では、夢をお届けすることが前提にあり、女性が演じる男性像は美しいものが基本となります。勿論、なるべくリアルな世界観を追求していますが、あまりにリアルすぎると夢がなくなってしまうので、そこを踏まえたステージがつくられてきました。
 本作でも女性が男性を演じますが、男性キャストもいますし、よりリアルな男性像に近づけていきたい。一方で歌劇団出身の私達にしか表現できない世界観も織り込みたいと思っているので、その辺の加減を今からどうようかと考えているところです。
 彩音さんとは、入団時期が離れていますが、同じ月組の男役ということで、積極的に話しかけてくれた印象があります。感性が重なる部分と、また違った部分もあり、歌劇団を離れた彼女がどんな経験を重ねてきたのかも楽しみにしているところです」

―――殺陣やダンスも見どころです。

 「歌劇団時代の後半は重鎮役が多く、立ち回りは若いメンバーが担当していたので、今回は私にとっても久しぶりの殺陣になります。昨年にメインビジュアルを撮影した時も、手にした刀がすごく重く感じました。刀の扱い方に慣れているそとばこまちさんの劇団員の方のアドバイスを頂きながら稽古を積んでいきたいです」

―――物語も加筆されてさらに重厚なストーリーになるそうですね。

 「己の使命の為なら、命さもいとわない彼らの悲しいまでの決意は、心を揺さぶられます。だから、彼らを突き動かすその信念をどのように演じ、表現するかが重要だと考えています。時代は違えども、彼らの姿を通して、現代を生きる私達が改めて気づかされる、大切な何かがきっと作品に込められると信じています。
 一方で劇団そとばこまちさんは、お笑いの要素も大切にしているので、龍馬のコミカルな部分も楽しみにしていただければと思います。ただ、関西公演ではお客様の笑いのハードルも上がるので、なかなか緊張していますが(笑)」

―――今後、挑戦したいことはありますか?

 「何でも挑戦したいです。例えば掃除婦や普通のおばさん役、3歩下がってついてくる控えめな妻役などを演じてみたい一方で、今回のように男性の役を頂いた時は、眠っていたものが目覚めるというか、燃えるものがあるので、性別や年代、職業にこだわらず色んな役に挑戦していきたいですね」

―――最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

 「彩音さん演じる沖田総司との関係性にも注目してもらいながら、歌劇団での男役とはまた異なる1人の男性としての坂本龍馬を、今のこの環境だからこそできる表現力で演じられたらと思います。劇団そとばこまちさんは演劇が大好きな方が集まっているので、皆さんとの共演をすごく楽しみにしていますし、今回私達が加わることで化学反応が起こり、また新たな『幕末』をお見せできると信じております。皆様のご来場を心からお待ちしております」

(取材・文:小笠原大介 撮影:平賀正明)

プロフィール

光月るう(こうづき・るう)
2002年、第88期生として宝塚歌劇団に入団。2018年、月組副組長に就任。同年、月組組長に就任。2023年に、平安朝クライム『応天の門』-若き日の菅原道真の事-/ラテン グルーヴ『Deep Sea -海神たちのカルナバル-』をもって宝塚歌劇団を退団。退団後はOG公演やソロコンサートをおこなうほか、2024年7月には舞台『父との夏』で初となるストレートプレイに出演するなど、活躍の場を広げている。

公演情報

エンターテインメント時代劇『幕末』

【東京公演】
日:2025年3月7日(金)~9日(日)
場:かめありリリオホール

【大阪公演】
日:2025年2月28日(金)~3月2日(日)
場:箕面市立文化芸能劇場 大ホール

料:SS席6,600円 S席5,500円 A席4,400円
  【大阪公演のみ】B席3,300円
  (全席指定・税込)
HP:https://sotobakomachi.com
問:劇団そとばこまち tel.06-6885-3033

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