なんとなく歴史が学べる映像をお届けするバラエティ番組『戦国鍋TV』の舞台版として、2011年に誕生した る・ひまわりの“祭”シリーズ。オリジナル解釈を加え、難解な歴史をわかりやすく、楽しく理解できる公演として長年ファンに愛されている。
本シリーズは歴史をテーマにした芝居パートの第1部と、歴史上の人物たちがオリジナルユニットを結成してショーを行うライブパートの第2部の、2部構成になっているのが特徴だ。今年のテーマは“革命”。第1部では、ファン待望の幕末時代に初挑戦し、新しい国を創ろうと立ち上がる若者たちと、最後まで徳川将軍家のために命を懸けた志士たちの想いのぶつかり合いを描く。“祭”シリーズ経験者の広井雄士が藤堂平助、初出演となる野口準が伊東甲子太郎として出演する。20代前半の彼らが演じる幕末の志士たちは、一体どんな表情を見せてくれるだろうか。第2部の煌びやかな衣装に身を包んだ広井・野口の2人に、ビジュアル撮影の合間に話を聞いた。
―――年末恒例となっている、る・ひまわりの“祭”シリーズ。広井さんは昨年末に引き続き2度目のご出演ですが、歴史を題材にしつつエンタメに特化した本作について、どのような印象をお持ちですか?
広井「全力でお芝居をした後に、全力でふざけ倒すのが醍醐味で……第1部と第2部でここまで素早く気持ちを切り替えなければいけない公演は、初めての経験だったので、凄く刺激を受けました。1年の時を経て、またこのステージに立てるのは感慨深いですし、この1年で自分が新たに培ったものを、このシリーズのファンの皆さんに観ていただく機会をいただけて、嬉しく思います」
―――歴史はもともと詳しいですか?
広井「正直なところ、あまり詳しくはないです。でも、学生時代は暗記が得意というか、覚えること自体が好きで、テストの時に覚えたな、こんなことがあったなと台本を見ながら思い出しています。歴史の面白さを“祭”シリーズを通して改めて思い出している感覚で、もしかしたらお客さまも同じような感覚なのかな?と思っています」
―――野口さんは“祭”シリーズ初参戦ということですが、身近なキャストたちからお話は聞いているとのことで……。
野口「そうなんです。噂はかねがね聞いていました(笑)。まず僕はお芝居をしながら年を越すというのが初めてで、こんな贅沢なことがあっていいのか!と感動しています。皆さんと一緒に年末年始を過ごせるのが楽しみです。ただ、錚々たる先輩方と共演させていただくので、今の自分の芝居力でどうやって皆さんと渡り合おうか、震えてもいます。でもやっぱり、楽しみな気持ちの方が大きいですね」
―――歴史については詳しいですか?
野口「正直に言うと、僕は本当に勉強ができなくて、知らないことの方が多いです……。これを機に勉強させてください!」
―――ぜひ! 野口さん演じる伊東甲子太郎と、広井さん演じる藤堂平助は“御陵衛士”として、最終的には元々いた新選組と袂を分かつことになります。そもそも伊東を新選組に引き入れたのが藤堂だと言われているので、非常に関係性が深い2人なんですよね。野口さんと広井さんは1度目のビジュアル撮影以来、会うのは2回目ということですが……。まだ少しぎこちないですか?
野口「ちょっと……結構ぎこちないです(笑)」
広井「隣でメイクしてもらいながら、何か話題を振らないと……!って、ぐるぐる考えちゃうくらいには、まだ(笑)」
―――穏やかなオーラを纏ったおふたりなので、馬が合いそうな気がします。
広井「そうですか!? よかった、ぜひ仲良くしてください!」
野口「こちらこそです!!」
―――歴史の話に戻りますが、伊東甲子太郎は新選組に入って参謀として活躍したり、その裏で暗躍していたりと、狡猾で頭がいい印象があります。野口さんはこういった人物を演じるにあたり、どのように役作りをしていきますか?
野口「自分とは真逆な人物像ですが、役者として、真逆だからこそできることがあると思っています。めちゃくちゃ頭がいい人って現実にもいるじゃないですか。まずはそういう人をモデルとして想像しながら役作りしようかなと……。個人的に、裏表がある人物を演じるのは、得意ではないのですが、楽しくて好きなので、嬉しいです」
―――対して藤堂平助は、快活な人物として描かれることが多い印象がありますね。
広井「今作のキャスト発表が行われたYouTubeで得た情報だと“江戸っ子気質”だそうで……。最近は“江戸っ子”で検索していろいろな動画を観ています」
野口「真面目! というか、そんな動画あるんですね」
―――「てやんでぃ!」みたいな……?
広井「そうです、そうです(笑) “江戸っ子=明るい”印象で、やはり藤堂平助はそういう人物だと捉えられているんだなと。ただその反面、彼の境遇って結構重いんですよね。御陵衛士と新選組の間で揺れ動く心情をどこまで表現できるかは、僕がどれだけ事前準備ができるかにかかっていると思うので、しっかり向き合って、理解していきたいです」
―――本日は第2部の衣装でのビジュアル撮影ということで、野口さんはどこかの国の王子様のようですね。
野口「素敵なビジュアルに仕上げていただきました。本編とは打って変わってポップな印象になって……第1部と第2部でこんなに差があるのかと驚きです」
広井「第1部の重たい人物背景を抱えたままだと、第2部はできないので(笑)。僕も緑のウクレレ?のようなものを持って撮影しました。刀をウクレレに持ち替えて、全部忘れて楽しみます」
―――広井さんはこのシリーズの経験者として、野口さんにアドバイスはありますか?
広井「いやそんな、アドバイスなんておこがましいです! ただ昨年僕が大先輩の加藤啓さんに教わって胸に刻んでいることがあって……。“自分の出番以外はでしゃばらない”ということです。“誰かが何かを発表しているときは引く、出るタイミングを見極めろ、ただ騒げばいいというわけじゃない!”というのを教わりました。むちゃくちゃな第2部ですが、ここぞ!という時だけ攻める勇猛さを持って今年も生き抜きたいと思います」
野口「素晴らしいアドバイス……! 僕らは第1部だけでなく第2部でも一緒に出ると聞いているので、よろしくお願いします!」
広井「こちらこそ! よろしくお願いします」
―――毎年テーマが定められていますが、今年のテーマは“革命”。ということで、2024年に何か身の回りで“革命”が起こったことはありましたか?
野口「プライベートの話で恐縮なのですが……ちょっと広めのお部屋に引っ越しをしたところ、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が上がり、まさに“革命”が起きました! 気持ちも明るくなるし、以前より疲れもとれている気がして……。家って、衣食住って本当に大事なんだなと思いましたね」
広井「僕は牛乳が好きなんですけど、お腹が弱いのがずっと悩みで……。でも今年になって、逆に自分のお腹が弱いのは20年間毎日飲み続けている牛乳のせいなのでは?と思い至り、苦手だと思っていた豆乳に切り替えたんです。食わず嫌いだったみたいで意外と美味しく飲めています! そして心なしかお腹も、身体の調子もよくなりました」
野口「それは“革命”が起きましたね!」
広井「ただ笑ってほしいんですけど……現在進行形で今、ちょっとお腹が痛いです(笑)」
野口「痛いんかい!(笑)」
広井「今後も検証していきます……」
―――身体にいいことは間違いないはずなので、調子を見ながら無理なく続けてみてください……! では最後に、観に来てくださるお客様にメッセージをお願いします。
広井「第2部を楽しむのは勿論なんですが、第2部を充実させるためには第1部を皆でしっかり作り上げていかないといけないと思っています。第1部で自分ができることを全力でやるからこそ、その分第2部がぶっ飛んで楽しくなると思うので、座組の皆さんと一緒にこのシリーズならではの素敵な幕末を作り上げていけたらと思っています」
野口「年越し公演ということで、2024年も大変お世話になりました! 早すぎるかな? 僕自身、初めての年越しをしながらの公演ということで、本当にワクワクしています。お客さまは長い時間、席にお座りいただくことになるのかなと思うのですが……。そんなことを忘れるくらい楽しんでいただけるように頑張りますので、一緒に新しい1年を迎えると同時に、来年も素晴らしい1年にしましょう!」
(取材・文:通崎千穂 撮影:間野真由美)
野口 準さん
「朝、仕事の現場に向かっている途中に、たまたま少し前に共演した先輩と遭遇して、とてもエネルギーに溢れたその先輩に会った瞬間に嬉しくなって眠気も吹っ飛んで。沢山元気を貰いました。じゃあまたね! とお互いに仕事に向かったのですが。そんな偶然が、1日の始まりをハッピーにしてくれました。またご一緒出来るように、僕も頑張らなければ」
広井雄士さん
「【7776 】 皆さん。この羅列に見覚えがあるのでは無いでしょうか? そうです、自販機「もう1本貰えるかも」チャンスのハズレ数字です。しかし!僕は舞台稽古の休憩時になんと!! 【7777】出ちゃいましたー。当たりの画面を初めて見たので、3度見ほどしましたね(笑)……ちょっとというか、大分ラッキーかも」
プロフィール
野口 準(のぐち・じゅん)
2000年2月6日生まれ、大阪府出身。主な出演に、MANKAI STAGE『A3!』シリーズ 向坂椋役、舞台『東京リベンジャーズ』シリーズ 橘直人役、Action Stage『エリオスライジングヒーローズ』レオナルド・ライト・Jr 役、舞台『鋼の錬金術師』- それぞれの戦場- ケイン・フュリー役など。
広井雄士(ひろい・ゆうと)
2001年9月23日生まれ、新潟県出身。主な出演に、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン宍戸亮役、『マッシュル-MASHLE-』THE STAGE シリーズ フィン・エイムズ役、舞台『フルーツバスケット The Final』真鍋翔役など。縦型映画『TikTok 怪談×ノロイ』(主演)の公開が控えている。
公演情報
シンる・ひま オリジナ・る ミュージカ・る
革命 『もえ・る剣』
【東京公演】
日:2024年12月27日(金)~2025年1月2日(木)
場:シアターH
【大阪公演】
日:2025年1月18日(土)・19日(日)
場:サンケイホールブリーゼ
料:13,500円 ※12/31カウントダウン公演、1/1公演は14,000円(全席指定・税込)
HP:https://ru-ken.com
問:る・ひまわり
mail:ruken2024_info@le-himawari.co.jp