年末の定番「第九」を、楽曲が生まれた背景と共に味わう演奏会 人の声の魅力とオーケストラの迫力を存分に感じてほしい

 年末のクラシック演奏会の定番曲として親しまれる「第九」こと、ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調『合唱付き』op.125。今年も各所で様々なプログラムが組まれる中、ひときわ注目したいのが、12月
21日(土)にすみだトリフォニーホール 大ホールで開催される『みんなで楽しむ「第九」特別演奏会2024』だ。オーケストラは新日本フィルハーモニー交響楽団、ソロ歌手に高野百合絵(ソプラノ)、谷口睦美(メゾ・ソプラノ)、笛田博昭(テノール)、平野和(バリトン)というラインナップ。合唱は、新日本フィルの「第九」特別演奏会で20回以上共演している栗友会合唱団が今年も出演する。新日本フィルの音楽監督としてタクトを振る佐渡裕は、演奏会への思いをこう話す。

 「2022年に新日本フィルのミュージック・アドバイザー、そして2023年に音楽監督に就任して3回目の『第九』の季節がやってきます。ベートーヴェンの『第九』は、もう30年以上にわたり、200回近く演奏してきた曲ですが、その年ごとに特別な思いがあり、毎回新たな発見があります」

 楽曲の合唱部分は「歓喜の歌」というタイトルでも知られる。そこで歌われるのは、世界中の人々へ向けて“星空の上に住む聖なる存在を信じよう”と呼びかける内容だ。

 「国内外で様々な災害や紛争が絶えない中ですが、“全ての人が兄弟になる”という『第九』のテーマを、1年の終わりに我々演奏者とお客様とで共有する時間は、とても意味があるのではないかと思っています」

 さらにこの日だけの趣向として、演奏会の前半には、イラストとお話で綴る『第九ものがたり』が披露される。ベートーヴェンが「第九」を作曲するに至るまでを、指揮者・コラムニストの岡田友弘が物語として綴り、ズーラシアンブラス『音楽の絵本』コンサートの司会などで人気の土肥陽子が朗読。アニメーション作家・イラストレーターのいよりさきによるイラストも交えて、「第九」の聴きどころを楽しく伝えてくれる。ホームグラウンドで響く新日本フィルの演奏を、誰もがより深く味わうことができるに違いない。

 「初めて『第九』を聴かれる方にも楽しんでいただけると思います。ぜひお子様も一緒にコンサートホールに足を運んで、人の声の魅力とオーケストラの迫力を存分に体感してください!」

(文:西本 勲 撮影:Takashi Iijima)

プロフィール

佐渡 裕(さど・ゆたか)
京都市立芸術大学卒業。故レナード・バーンスタイン、小澤征爾らに師事。1989年、ブザンソン指揮者コンクール優勝。これまでパリ管弦楽団、ロンドン交響楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団等、欧州の一流オーケストラに多数客演を重ねている。現在、ウィーンで110年以上の歴史を持つトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督、兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラの首席指揮者、サントリー「1万人の第九」総監督等を務める。CD録音は多数あり、最新盤はトーンキュンストラー管弦楽団を指揮した21枚目のCD「マーラー:交響曲第7番」を2024年10月にリリース。著書に「棒を振る人生~指揮者は時間を彫刻する~」(PHP文庫/新書)など。出光音楽賞(1991年)、モンブラン国際文化賞(2003年)、渡邉暁雄音楽基金音楽賞(2003年)、岩谷時子賞(2014年)、文部科学大臣表彰(2024年)などの受賞歴がある。2023年4月より新日本フィルハーモニー交響楽団第5代音楽監督に就任。

公演情報

みんなで楽しむ「第九」特別演奏会2024

日:2024年12月21日(土)14:00開演(13:15開場)
場:すみだトリフォニーホール 大ホール
料:SS席12,000円 S席9,000円 A席8,000円
  B席6,500円 C席5,000円
  ※他、各種割引あり。詳細は下記HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://www.njp.or.jp
問:新日本フィルチケットボックス
  tel.03-5610-3815(平日10:00~18:00/土10:00~15:00/日祝休)

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