ご家族で本物の芸術を生で鑑賞して欲しい。そんな思いを体現したイベントが夏休み期間中に行われる。クラシック・バレエの名作、『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『ジゼル』、『ラ・シルフィード』を中心に名場面を厳選。欧州の名門バレエ団のソリストたちが卓越した技術と表現力で届ける。現役バレリーナによる見どころや解説も設けられ、初めてバレエ鑑賞するお子様にも十分楽しんでもらえる本公演。特別出演する新国立劇場バレエ団のソリスト・直塚美穂も「非現実的な世界を味わえる貴重な機会」と来場を呼びかける。
「私が幼稚園や小学生の頃は他の人のバレエを観る機会といえば、発表会が中心でしたが、中学生になって初めてボリショイ・バレエ団の公演を観た時は何もかもが衝撃的でした。初めて観た全幕物だったので、こんなストーリーがあったのかとか、ダンサーのテクニックや、舞台装置、生のオーケストラにも圧倒されました。それが自分もいつかロシアでバレエを学びたいと強く思った原体験とも言えます。本公演では『白鳥の湖』よりアダージョ、黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥのほか、『ジゼル』、『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥといった形で、作品のハイライトというべきパートが抜粋されているのが特徴です。またヨーロッパを中心に世界の第一線で活躍する一流のソリストたちが一同に会するので、ダンサーの見比べや個性の違いを確認できる貴重な機会とも言えます。私自身もその中で踊らせてもらえることは、とても光栄に感じています」
2018年から所属していたモスクワ音楽劇場バレエでのキャリアを、ウクライナ侵攻により断念せざるを得なかった直塚だが、帰国後の日本で見出した新たな使命に心血を注いでいる。
「ウクライナ侵攻が起きなければ帰国はしませんでしたが、日本のステージで踊るようになってから、お客様より想像以上の反響を頂き、喜んで頂けたことは嬉しく思います。バレエは追求すればするほど終わりの見えない世界ですが、今は与えられた役に集中して磨きをかけていき、私の踊りを観たお客様が、また明日から頑張ろう!と思ってもらえるような舞台を届けたいと思っています。ロシアでは映画鑑賞の感覚で観に行くバレエですが、日本ではまだまだ敷居が高いと思われています。活動を通してそれを変えられるきっかけにつながれば嬉しいです」
(取材・文:小笠原大介)
直塚美穂さん
「野球観戦で普通の席と聞いて行ったのに、ファンが集まるど真ん中の席だったことです。周りはユニフォーム着用、タオルもグッズも持っていて、応援歌や掛け声が完璧の方たちだったのです。初めは場違いで恥ずかしいと思いながら肩を狭めていましたが、だんだん周りの熱気に影響され、おかげで応援もマスターでき、とても楽しめました! 次に行く際はあえてまたその辺りの席にしようと思います!」
プロフィール
直塚美穂(なおつか・みほ)
愛知県出身。2009年、ユース・アメリカ・グランプリニューヨーク本選 銅メダルを受賞。2012年にワガノワ・バレエ・アカデミーに留学。2013年、サンクトペテルブルグ・バレエ・シアターにソリストとして入団。2016年、ミハイロフスキー劇場バレエにコリフェとして入団し、『海賊』ギュルナーラなどを踊る。2018年、モスクワ音楽劇場バレエに移籍し、2020年ソリストに昇格。新国立劇場では『バレエ・アステラス』に2014年、2019年に出演。2022年に新国立劇場バレエ団にファースト・アーティストとして入団。D.ドウソン『A MillionKisses to my Skin』、F.アシュトン『夏の夜の夢』芥子の種の精、P.ライト『白鳥の湖』ポーランド王女などを踊っている。2023年、ソリストに昇格。
公演情報
『親子で楽しむ夏休みバレエまつり』 ヨーロッパ名門バレエ団のソリストたち
日:2024年8月3日(土)・4日(日)
場:東京国際フォーラム ホールC
料:一般8,000円
こども[小学生以下]5,000円
(全席指定・税込)
HP:https://www.koransha.com
問:光藍社チケットセンター
tel.050-3776-6184(12:00~16:00/土日祝休)