クシシュトフ・キェシロフスキが遺した『デカローグ』10篇を完全舞台化 壮大なプロジェクトの締め括りは“孤独”と“希望”の物語

クシシュトフ・キェシロフスキが遺した『デカローグ』10篇を完全舞台化 壮大なプロジェクトの締め括りは“孤独”と“希望”の物語

 『ふたりのベロニカ』や「トリコロール」3部作で知られるクシシュトフ・キェシロフスキは、90年代のミニシアター躍進の起爆剤になったとも言えるポーランド出身の映画監督だ。『デカローグ』は、もともと彼がテレビ放映用に制作した10篇の連作からなる作品だが、その全てを舞台化するという大プロジェクトが新国立劇場で行われている。このプロジェクトは、小川絵梨子演劇芸術監督が留学先のニューヨークで本作に出逢い、いつか舞台化を……と心に秘めていたものだという。

 全10話を3つのブロックに分け、4月から順に1話~4話、5話・6話と上演している。その締め括りとして、6月22日からは上村聡史が演出する7話・8話(プログラムD)と、小川が演出する9話・10話(プログラムE)が交互に上演される。その中でプログラムEに出演する宮崎秋人と竪山隼太に話を聞いた。

宮崎「デカローグ9『ある孤独に関する物語』で主人公の妻・ハンカの不倫相手を演じます。不倫の物語ですが、本読みを終えた印象では、滑稽さ・ポップ感・愛くるしさがあって、あまりドロドロしていないんですよね。凄く愛に溢れた物語だと思います。スタッフの皆さんは全話を手掛けているので、僕たちの稽古始めにはもうトップギアです。早く追いつけるよう、そこは頑張らないといけませんが、しっかり楽しみたいですね」

 続く、デカローグ10『ある希望に関する物語』では、竪山隼太が亡き父のコレクションに思いがけない価値があることを知り、それに翻弄される兄弟の弟を演じる。

竪山「小川さんの演出は、さいたまネクスト・シアター時代に体験しているのですが、新国立劇場の舞台に立つのは初めてですし、プロジェクトの最終話に出演できるのは凄く嬉しいです。この兄弟は亡くなった父が遺したコレクションの価値が明らかになるにつれ、父親の遺志を考え始めて、どう活かすかを考えます。欲をかいて痛い目にも遭うのですが、そういったことも含め、人間賛歌だと思います。10篇の物語は極めて丁寧に描かれた人間ドラマですが、その中でも特に最後の2話は一筋の光が差しているような物語だと思います」

宮崎「10篇通して40名を超える俳優が関わる壮大なプロジェクトですから、おもしろいに決まっているわけで。その締め括りをしっかりと見届けていただきたいです。」

(取材・文:渡部晋也 撮影:平賀正明)

プロフィール

宮崎秋人(みやざき・しゅうと)
東京都出身。ワタナベエンターテイメント所属。2011年のデビュー以降、演出家・栗山民也、白井晃、森新太郎などの舞台に出演し、実力派俳優として活躍の場を広げている。近年の主な出演に、舞台『ビロクシー・ブルース』(演出:小山ゆうな)、ドラマ『帰ってきたらいっぱいして。』など。

竪山隼太(たてやま・はやた)
大阪府出身。NHK大阪児童劇団に所属し、子役として活躍。卒団以降、舞台を中心に活躍し、演出家・蜷川幸雄が結成した若手俳優による演劇集団さいたまネクスト・シアターに旗揚げ公演から参加。解散後も岩松了、瀬戸山美咲、永井愛、上村聡史などの演出家による作品や、吉田鋼太郎演出のシェイクスピア作品に出演。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』では、ロン・ウィーズリーを演じた。

公演情報

新国立劇場 2023/2024シーズン デカローグ7~10[プログラムD・E交互上演]

日:2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)
場:新国立劇場 小劇場
料:A席7,700円 B席3,300円
  ※他、各種割引あり。詳細は公式HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://www.nntt.jac.go.jp/play/dekalog-de/
問:新国立劇場ボックスオフィス
  tel.03-5352-9999(10:00~18:00)

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