南野陽子・山口智恵・小飯塚貴世江による演劇トリオが誕生 ぺテカン本田誠人に捧ぐーー永逝と誕生が交差する、奇跡の追悼公演

 女優・南野陽子の「芝居を通して社会貢献がしたい」という想いをきっかけに、信頼を置く山口智恵、小飯塚貴世江らと結成した演劇トリオ「NANCHEKKOI」。初めての公演となる今回、2021年1月に47歳で早世した、劇団ぺテカンの役者・脚本・演出家 本田誠人が2012年に手掛けた朗読劇を上演する。

南野「結成は2019年頃から計画していて、小飯塚さんから本田さんをご紹介いただき、私達のやりたいこと、作品作りの打ち合わせを何度もしていました。でも私自身、内容に迷い、コロナ禍も重なり、一旦バラシで頓挫しかけていました。そこに本田さんから、お亡くなりになる約1ヶ月前に私達1人ひとりに『この作品でやりませんか?』とお電話をいただきました。リモートでお身体が辛い中でも熱心に接して下さったことを思うと、私達に託されたバトンの様な気がして、追悼公演の思いも込め実現に至りました」

 本田から本作の演出を託されたぺテカン主宰の濱田龍司も、在りし日の姿に思いを馳せる。

濱田「“ダメ出し”という言葉がありますが、彼の場合は“良し出し”なんですよ。『今の良いね!』という演出家だった。僕にとっては再演ではあるけども、本田の作品を守るだけではなくて、まっさらな新しい『たかえ先生の手紙』を創ることが結果的に本田の為にもなるのかなと思っています」

 記念すべき第1回公演の演目として本作が決まったことに、小飯塚、山口の2人も不思議な縁を感じているという。

小飯塚「人間としても演劇人としても大好きだった本田さんと『いつか一緒に!』と言ったまま、ずっと叶えられずにいたんです。ある時『そういえば僕、こんな作品を書いていたよ』と、本作を勧めてくださいました。ご一緒させていただく時間は限られましたが、 改めて本を読んでみると、シンクロニシティを感じずにはいられない内容でした。人を愉しませる才能豊かな本田さんのことですから、本番中何が起きても受け入れようと覚悟しています」

山口「この3人で一緒に出来るとなった時は本当にワクワクしました。計画の時間は長かったけども、やっと形に出来たのは本田さんが背中を押してくれたからだと思います。3人が培ってきた経験と、濱田さんのお力を借りながら、演劇よりも記憶に残る朗読劇にします。どうか新たな命の誕生を見届けにお越しください」


(取材・文:小笠原大介 撮影:佐藤雄哉)


プロフィール

南野陽子(みなみの・ようこ)
1967年6月23日生まれ、兵庫県出身。1984年ドラマ『名門私立女子高校』でデビュー。1985年『スケバン刑事Ⅱ少女鉄仮面伝説』で2代目主人公・麻宮サキ役を演じトップアイドルの座を獲得。以後、歌手・女優としても様々な作品に出演。近年ではドラマ『半沢直樹』(2020年)で半沢と敵対する電脳雑技集団代表取締役社長・平山美幸を熱演した。

山口智恵(やまぐち・ちえ)
1961年12月10日生まれ、大阪府出身。大阪芸大舞台芸術学科で演劇を学び東京に進出。大谷亮介氏による「東京壱組」の旗揚げから解散までの10 年間、全作品に出演。代表作にNHK連続テレビ小説『オードリー』(2000年)、映画『のど自慢』(1998年)、『アルビノの木』(2016年)、舞台『音楽劇ぼんち』(2008年)などがある。

小飯塚貴世江(こいいづか・きよえ)
1977年10月15日生まれ、神奈川県出身。桐朋学園大学短期大学部演劇専攻科卒業後、劇団俳優座、芸能事務所クリオネを経て、現在はキヨエコーポレーション代表を務める。近年の主な出演作にドラマ『下町ロケット』(TBS/2019年)、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日/2017年)、名取事務所公演 舞台『ベッドに縛られて』(2019年)、映画『Mr.インクレディブル』(吹替/2004年)など。

濱田龍司(はまだ・りゅうじ)
1974年8月3日生まれ、宮城県出身。舞台芸術学院演劇部本科45期卒。1995年主宰としてぺテカンを旗揚げ。以降全作品に出演。思春期の悩みを抱え
た娘を持つ父親や、よれた白衣で白髪交じりのドクターなど、幅広く個性的な役柄を演じる名バイプレーヤー。


公演情報

本多劇場グループnext NANCHEKKOI vol.1
ペテカン本田誠人追悼公演
朗読劇『たかえ先生への手紙

日:2021年7月27日(火)~8月1日(日)
場:下北沢「 劇」小劇場
料:前売4,800円
  当日5,500円(全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/kiyoeduka 
問:キヨエコーポレーション
  mail:kiyoekikaku@gmail.com


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