22年ぶりの再演! 扉座40周年記念公演 青春を後悔する人に捧ぐ、ある高校演劇部の実話

22年ぶりの再演! 扉座40周年記念公演 青春を後悔する人に捧ぐ、ある高校演劇部の実話

 扉座の創立40周年記念公演となる『ホテルカリフォルニア -私戯曲 県立厚木高校物語-』は、驚くべきことに前回公演から22年を経ての再演となる。岡森諦や六角精児ら還暦近くなった主要キャストも高校生役を続投、体力の衰えを実感しながら鋭意稽古中だと言う。

横内「もともとは個人的な体験を書いたつもりだったんですよ。43年前、厚木高校の演劇部で六角や岡森と出会い、劇団を作るきっかけとなった時の話です。当時は予想以上の反響があって驚きました。全国の中途半端な進学校で受験に苦しんだ人たちや、青春に後悔がある人たちに届いたんです。端的に言うと、なんであの時僕たちは自分との戦いにばかりかまけて、もっと人と話し合わなかったんだろうという後悔。今の若者とは全然風土が違いますが、気分は同じなんじゃないかな」

 22年ぶりとなるのは「けっこう大がかりなので、迂闊にやると延長料金がかかるんです(笑)。そうして塩漬けになっているうちにこっちも年取ってきちゃって。でもこのメンバーでやるから面白いんじゃないですか」と、扉座の大きな区切りとして再演を決意したという。
 高校時代の自分自身を演じることとなる心境を改めて尋ねると。

岡森「あまりそういう感覚はないんです。岡本という役をどうすればいきいき演じられるかを新鮮に考えていますね。油で揚げたようにカラッとした性格で、自分もこうやって生きて行けたらいいのにと思います(笑)」

六角「当時それぞれが抱えていた羞恥心や恥じらいを思い出しながらやっていくしかないのかな。それだけでいいと思っています。若い時って、自分は普通の人間だと言いつつどこか他の人とは違うと思ってませんでした? 今ってそれがほんとにぶち破られた歳じゃないですか」

横内「それは40年で思い知ったことだね」

岡本「でも僕、思い知ることもあるんだけど変わらないものは変わらない気がするんだよね」

 扉座旗揚げから40年。共に舞台に立ち続けてきた創立メンバーの、和気あいあいとした空気感は変わらない。

横内「僕たちがホテルカリフォルニアをやることは二度とないでしょう。同じ時代を演劇と共に生きてきた人たちや、これから演劇をやろうとしている人たちにも観ていただきたいなと感じています。今この時ではなく、僕たちの40年を観てもらうつもりです」

(取材・文:いつか床子 撮影:間野真由美)

プロフィール

横内謙介(よこうち・けんすけ)
1961年生まれ、東京都出身。1978年、厚木高校在学時に『山椒魚だぞ!』で演劇コンクール全国2位に(岡森・六角も出演)。早稲田大学在学中の1982年、劇団善人会議(現・扉座)を旗揚げし、以後主な劇団公演で作・演出を務める。さいたまスーパーアリーナこけら落とし作品『火の鳥』や『スーパー歌舞伎II ワンピース』を始め、外部公演にも多数参加。1992年『愚者には見えないラマンチャの王様の裸』で第36回岸田國士戯曲賞受賞。

岡森 諦(おかもり・あきら)
1961年生まれ、神奈川県出身。善人会議創立メンバー。外部出演作に、つかこうへい事務所公演『幕末純情伝』、『熱海殺人事件』、銀座セゾン劇場公演『陽だまりの樹』、劇団方南ぐみ公演『あたっくNo.1』など。また、映画『超高層ハンティング』(主演)や大河ドラマ『八重の桜』、『青天を衝け』など映像作品にも多数出演。ゲーム「スター・オーシャン」シリーズでは声優も務めている。

六角精児(ろっかく・せいじ)
1962年生まれ、兵庫県出身。善人会議創立メンバー。テレビドラマ『相棒』シリーズで注目され、映画『鑑識・米沢守の事件簿』では主演を務めた。近作にミュージカル『衛生』、『レ・ミゼラブル』、映画『すばらしき世界』、ドラマ『おちょやん』(NHK)、『華麗なる一族』(WOWOW)など。

公演情報

劇団扉座第72回公演
扉座40周年記念公演
『ホテルカリフォルニア -私戯曲 県立厚木高校物語-』

日:2021年12月7日(火)~19日(日)
場:紀伊國屋ホール
料:前売5,000円 当日5,500円
  学生券3,000円 ※要学生証提示
  ※他、割引あり。詳細は団体HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://tobiraza.co.jp/hotel-california
問:劇団扉座 tel.03-3221-0530

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