ブルメイステル版『白鳥の湖』で主演デビューを果たすダンサーに注目! 物語の中に入り、キャラクターとして生きながら踊ることを求めて

ブルメイステル版『白鳥の湖』で主演デビューを果たすダンサーに注目! 物語の中に入り、キャラクターとして生きながら踊ることを求めて

 2024年春、古典バレエの代表作『白鳥の湖』を上演する東京バレエ団。本作で主演デビューを果たすダンサーが、榊優美枝だ。

 「“いつか主演を”という気持ちはありましたが、最近はソリストでやりたい役を少しずつやれていたので、自分の踊りが少しでもよくなればいいなという考えにシフトしていました。お話を聞いたときは、あまりにも予想外で信じられませんでした」

 『白鳥の湖』にはさまざまな演出があるが、今回はブルメイステル版での上演となる。

 「バレエ団のブルメイステル版には初演から参加しています。コールドからひとつずつ、任される役が上がっていった作品ですし、歴代の主役の方々も見てきているので、思い入れは強いです。ブルメイステル版は最初から最後までドラマが繋がっていて、3幕黒鳥のパ・ド・ドゥの楽曲が場を最高潮まで盛り上げてくれるところが魅力です」

 本作の主演はオデットとオディールの2役を演じ、全4幕を踊り通すことが求められる。

 「2幕は決まった振りの中で、王子とのやりとりをどう作っていくかが課題。3幕のオディールは強さを出すキャラクターですが、やろうとするほど空回りしてしまう部分もあるので、内面の女性らしさやしなやかさとの塩梅が大事かなと思っています。そして4幕はドラマティックな音楽にマッチするコールドとの動き、王子との葛藤などで魅せていきます。2幕では抑えていたオデットの感情が、4幕で溢れ出るという流れをきちんと意識したいです」

 数多くのダンサーが踊ってきた“白鳥”だが、どのダンサーの踊りが好みなのか、聞いてみた。

 「私はオールドバレエが大好きで、(ナタリア・)マカロワさんなど昔のダンサーさんが役として舞台に立ち、動きや目線で語っている姿に心を動かされます。もちろん若いときにしかできない踊りもありますが、歳を重ねるほど演劇的な面が深みを増すというのは、バレエ団のトップダンサーの方々にも感じます」

 榊のパートナーを務めるのは、プリンシパルの柄本弾だ。

 「どの演目でも、舞台に立つと弾さんの内にあるエネルギーが客席を惹きつけるんです。安心して頼れる方ですし、“白鳥”の経験も豊富なので、いろいろアドバイスしていただいています。本番まではとにかく積み重ねの毎日。1回のリハーサルに、どれだけ熱を入れられるか。本番と同じ緊張感をもって、稽古に取り組みたいと思っています」

(取材・文:木下千寿 撮影:友澤綾乃)

春は出会いの季節。最近、新たに出会ったものorひとは?

「新しくできた麻布台ヒルズにあるチームラボボーダレスに行ったのが最近の新しい出会いです。キラキラとした世界、音や香りもついて五感で楽しむファンタジーの世界でした。人の多いところが苦手で外を出歩くことも少なく、アミューズメントパークなどもほとんど行かないのですが、ここでは夢中になって歩き回り、気づいたら3時間は余裕に過ぎてしまいました! たまには習慣にないことをやることで自分の感性が揺れ動くような出会いに繋がることを改めて実感しました。これは舞台と同じで、映像や写真を残すのも楽しみだけどやはり生で見て感じたものには敵わない気がしますね。素敵な経験と時間でした」

プロフィール

榊 優美枝(さかき・ゆみえ)
4歳よりバレエを始める。2014年、東京バレエ団に入団し、国内外の公演に出演。おもなレパートリーに『くるみ割り人形』のアラビア、『眠れる森の美女』のリラの精、『ジゼル』のドゥ・ウィリ、ノイマイヤー『スプリング・アンド・フォール』などがある。

公演情報

東京バレエ団
ブルメイステル版『白鳥の湖』全4幕

日:2024年4月26日(金)~29日(月・祝)
場:東京文化会館 大ホール
料:S席14,500円 A席12,000円
  ※他、各席種あり。詳細は団体HPにて
  (全席指定・税込)
HP:https://www.nbs.or.jp
問:NBSチケットセンター
  tel.03-3791-8888
   (月~金10:00~16:00/土日祝休)

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