幅広い年齢層に分かりやすく親しみやすい、笑って泣ける“エンターテイメント時代劇”を創造する片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」。江戸を舞台に単一の世界観のもとで全ての作品が書かれ、同じ登場人物が複数作品に登場する“スターシステム”を採用しており、初見でも楽しめる作りながら、複数作品を観れば観るほどに解釈が深まる仕組みになっている。
そんな「ざ☆くりもん」の記念すべき第30回本公演『汚泥河童(おでいがっぱ)』が2024年5月2日から6日まで、池袋のシアターグリーン BOX in BOX THEATERにて上演される。前回公演『玉章恋慕(たまずされんぼ)』でも主演を務めた座長 山田拓未が河童の河太郎役を、とあることから河太郎に助けてもらう青年の役を『玉章恋慕』にも出演した山口託矢が務める。2度目の共演となる2人に今作の見どころを聞いた。
―――山田拓未さん、山口託矢さんでのインタビューということで……
山田「“やまたく”コンビです!」
山口「よろしくお願いします!(笑)」
―――お願いします!(笑) お二人は「ざ☆くりもん」第29回本公演『玉章恋慕』でも共演されているのですよね。
山口「お世話になっている大尊敬のアニキです!」
山田「いやいや、そんな……! 僕こそ沢山助けてもらっています」
―――今作『汚泥河童』は、2015年に上演された作品のリメイクだと伺っています。
山田「そうなんです。当時の公演の映像と台本も見させていただきました。10年近く前の作品なので、おそらく令和の価値観にアップデートされて、また新しい『汚泥河童』になるのではないかなと僕自身も楽しみです」
―――2015年には3館同時上演という試みで、『吉原万灯』、『猫忠臣蔵』と合わせて上演されました。今回はこの『汚泥河童』だけでの上演となりますが、その点も含めて、2015年ver.とは少し違った物語になりそうですね。
山田「そうですね! ゴールデンウィーク公演ということで子役さんたちにも沢山出演していただくので、ちょっと大人向けの表現がマイルドになって、くりもんの持ち味を生かしたコメディ要素が強くなるかなと思います」
―――山口さんがオファーを受けた時の心境は?
山口「前回出演させていただいたご縁がこうして次に繋がるのは素直に嬉しいです!
今作では、今はまだ言えないのですが、大事な役どころを任せていただいているので、プレッシャーもありますが……おこがましくも、そういう重要な役を任せるに値すると評価していただけたのかなと」
―――“エンターテインメント時代劇”、前回出演してみていかがでしたか?
山口「歌もあってダンスもあって、こんなにエンターテインメントが凝縮された時代劇ってなかなかないと思うのでビックリしたのですが、凄く楽しかったです!
僕が出演した公演が第29回本公演だったので、こんな楽しい公演が過去に28回公演分もあったのかと……。もっともっと、くりもんの世界に触れてみたいなと思っていたところで、今回、記念すべき30回目の本公演の出演オファーをいただけて、本当に光栄です。
子役さんもいるとなると、どんな作品になるのだろうなとワクワクしています」
―――山田さんは、遊郭に売られてしまった幼馴染の雛を健気に待ち続ける河童の河太郎を演じますね。ちなみに、今日の緑っぽい衣装は河童を意識して……?
山田「そんなつもりはなかったんですが(笑)、そう見えますね」
山口「もう役作りが始まっているのかと(笑)」
―――同じ登場人物が複数作品に登場する“スターシステム”も「ざ☆くりもん」名物ですが、今作ではどういう楽しみ方ができますか?
山田「まさに僕ら2人が共演した前回公演『玉章恋慕』のヒロインだった女の子の幼少期の話が、この『汚泥河童』になります。『玉章恋慕』で足抜けした花魁(おいらん)も出てくるので、『玉章恋慕』を観ていたお客様はより楽しめるかと思います。とはいえ、この作品単体でも十分楽しめますので、ご安心ください!」
―――『玉章恋慕』の時、お二人の演じている役同士はどのくらい絡んだのでしょう?
山口「同じ火消し役ではあったんですが、実はお芝居では絡めるシーンがなかったんです」
山田「託矢くんが演じていた本助たちが出ているシーンは楽しそうで、僕は『いいなぁ、仲間に入りたいなぁ』って遠巻きに思っていました(笑)」
山口「でも拓未さんは、稽古に来られない人がいると積極的に代役で入ってくださっていたので、稽古では沢山絡めて楽しかった思い出です。座長自らそこまでしてくださるってなかなかないですよね。拓未さんは稽古から全力で凄く楽しいんですよ」
山田「今回も楽しみだけど、あんまりやりすぎて子役さんたちに引かれないようにしないと……」
―――子供と触れ合うことには慣れていますか?
山口「子供、大好きです! 僕は和太鼓をやっているので、子供たちを指導する機会もありますし、『おしりたんてい』という子供向けのミュージカルにも出させていただいていたので、比較的子供たちと接する機会が普段から多い方だと思います」
山田「僕も『おかあさんといっしょ』のコンサートでダンサーをやらせていただいていたことはあるのですが、接していた子役さんたちは、今回の子役さんたちよりもう少し低年齢層かな……。小学生くらいの子たちとご一緒するのは慣れていないからどうなるだろう」
―――でも、子役さんって同年代の子たちより成熟していらっしゃる印象もあります。
山口「分かります! 拓未さんの前で直接言うのもなんですけど、おそらく拓未さんが1番稽古場でわちゃわちゃしていて、元気な気がしますよ!? 童心を忘れていないというか(笑)」
山田「否定できないなぁ(笑)。僕ら2人とも汗っかきだから、稽古場で汗だくになって子供たちと遊んでいそうです」
―――童心といえば、あらすじには河太郎の想い人・雛は、童心を忘れて、河童である河太郎のことが見えなくなってしまう……という切ないエピソードがありますね。
そこで、お二人が“童心にかえる瞬間”というのはありますか?
山田「僕はいつでも童心まみれです。遊ぶことしか考えていません(笑)」
―――芝居には遊び心も大事ですからね(笑)。山口さんはどうですか?
山口「童心というのか分からないですが、母の手料理を食べると、気持ちが子供に戻っちゃいます。2年前くらいに上京したので、久しぶりに食べるとやっぱり美味いな~って感動しちゃって」
―――それはお母様も本望かと思いますよ!
さて、話は本筋に戻りますが、記念すべき第30回本公演ということで、改めて意気込みとお客様へのメッセージをお願いします。
山田「河童が出てくるコミカルな時代劇なので、TVドラマで時代劇を見るよりも入りこみやすいのではないかなと思います。ゴールデンウィークの公演ということで、出演していただく子役さんたちと同年代の子供たちにもぜひ楽しんでいただきたいです。と同時に、大人の方々にも子供たちが頑張っている様子をぜひ観に来ていただきたいです」
山口「拓未さんのおっしゃる通り、ぜひ家族連れで観に来ていただきたいですし、子役さんから大人まで、色々な世代が舞台に立っているのを観て、ぜひ同世代から刺激を受けてもらえたらいいなと思います。ゴールデンウィークの素敵な思い出の1つになるように、精一杯頑張ります!」
(取材・文&撮影:通崎千穂(SrotaStage))
プロフィール
山田拓未(やまだ・たくみ)
1986年2月1日生まれ、大阪府出身。テーマパークでダンサー・アクターとして活躍の後、2008年に蜷川幸雄演出の舞台『さらば我が愛覇王別姫』で役者デビュー。近年の主な出演作品に、オリジナルミュージカル『最後の晩酌-TOKIWA DAYS-』(第18回杉並演劇祭 優秀賞作品)、大統領師匠vol.13『ユナイテッドステイツ』、ラゾーナ川崎プラザソル開館15周年記念公演『俺は黙って鍋を振る』など。
山口託矢(やまぐち・たくや)
1997年3月18日生まれ、福岡県出身。2021年まで九州地方を拠点として活躍した「九星隊」として活躍する傍ら、2020年から約3年間、『おしりたんていミュージカル』で新人警官たくや役を務める。5歳から和太鼓も嗜み、嵐ARASHI LIVE TOUR 2015「Japonism」に和楽器隊として参加。2023年には太鼓ユニット「打音’sTOP↗↗↗↗」(ドンストップ)のメンバーとしてとして全国ツアーを行った。
公演情報
片肌☆倶利伽羅紋紋一座 ざ☆くりもん
第30回本公演『汚泥河童(おでいかっぱ)』
日:2024年5月2日(木)~6日(月・振休)
場:シアターグリーン BOX in BOX THEATER
料:SS席[前2列]8,500円
S席6,500円 A席6,000円
公開ゲネプロ公演[5/2 13:30]5,000円
(全席指定・税込)
HP:https://alii-inc.co.jp/kurimon/
問:アリー・エンターテイメント
mail:kurimon@alii-inc.co.jp