驚きやエンタメ要素たっぷりの魅力的なファンタジーを、新たなカンパニーで作り上げる

驚きやエンタメ要素たっぷりの魅力的なファンタジーを、新たなカンパニーで作り上げる

 映像舞台企画集団ハルベリーの本公演として2017年に上演された代表作が、ハルベリーオフィス設立10周年記念公演の第1弾として再演される。
 脚本を最新版に改訂した『輪廻転生∞楽園ダイバー』の演出を務めるのは、人気劇団「おぼんろ」の看板女優で演出家としても活躍している、わかばやしめぐみ。物語の中心となるキャラクターを、亀谷理子・石渡真修・杉浦大毅が演じる。稽古が始まる前のタイミングで、4人に意気込みや見どころを聞いた。

―――ハルベリーオフィス設立10周年記念公演です。お話をいただいた時の思いから教えていただけますか。

わかばやし「私は普段おぼんろという劇団で役者をやっているんですが、ハルベリーオフィスさんでは4回演出をさせていただいています。この作品についても、実は初演の時に稽古場に伺い、通し稽古を見せていただきました。
 今回、10周年の記念公演として客演さんを迎えて改めて代表作であるこの作品を上演したいというお話をいただき、ぜひやらせてくださいとお返事をしました。亀谷さんが本作のヒロイン……というか申役です」

一同「(笑)」

わかばやし「十二支を擬人化している中で、キーパーソンが申です。石渡くんは干支の獣たちが暮らす天干地に連れてこられた石田洋平という人間の役。おぼんろで共演して、とてもいい俳優さんだと感じて直談判しました。杉浦さんは、詳しいことは言えませんが大切な役。洋平の異母兄弟で康介というキャラクターを演じていただきます」

石渡「今、めぐみさんが全部言ってくれました」

亀谷「頼もしい!(笑)」

―――キャストの皆さんには意気込み、ネタバレにならない範囲でご自身の役についてお伺いしたいです。

石渡「台本を読んで、結構びっくりする展開があるなと感じました。役作りについては稽古場でめぐみさんや皆さんと話しながら決めていこうかなと思っています。
 めぐみさんとは以前おぼんろで共演して、お芝居がすごく素敵だったんです。打ち上げの時に『真修、次出て!』と打診を受けて、役者として素晴らしくて熱量もすごいめぐみさんが、いったいどんな演出をされるのか気になって出演を決めました。作品の世界観をどう描かれるのか楽しみです」

亀谷「私はめぐみさん演出の舞台に関わるのは4回目です。2回は音楽としてで、どちらもハルベリーオフィスさんの公演でした。1回目はたまたま演奏で入ることになって、それがきっかけでめぐみさん演出の舞台に役者として出演しました。大変だったけど忘れられない作品になっています。
 めぐみさんのことを女優としても尊敬していますし、石渡さんもおっしゃっていたように熱量がすごい。演劇を愛するめぐみさんのもとで演劇を作れるのが幸せです。以前『花火の陰』という作品で音楽を担当させていただいたんですが、その時に密接にやり取りしながら一緒に作っていくのがすごく面白かった。
 今回7年ぶりくらいにめぐみさん演出のお芝居に役者として出演するのでドキドキしていますし、初めましての方が多いカンパニーも久しぶり。きっと皆さんにご迷惑をおかけすると思いますが、胸を借りて思いっきり挑戦し、いいものを作りたいと思います。役としてはネタバレを考慮するとあまり言えませんが、とにかく申です(笑)」

杉浦「僕はわかばやしさんとは初めまして。ハルベリーオフィスさんを知ったきっかけが、友達の渡辺裕太くんに『受けてみたら』と紹介されたオーディションでした。そのオーディションは落ちて」

一同「(笑)」

杉浦「そこで、僕は舞台向いてないのかなって思って1年くらい経ち、でも舞台をやりたいなと思っていたら今回オファーをいただいて、かましてやろうかなと(笑)」

亀谷「かましてやりましょう!(笑)」

杉浦「僕が演じるのはちょっと高圧的なキャラクター。現実世界のパートで石渡さんと掛け合いをするので、2人で一緒に作っていけたらと思っています。石渡さんに対して上からものを言わなくちゃいけないんですよ」

石渡「すごいですよね」

杉浦「お笑いをやっていた時も女性に従う役だったのでちょっと心配ですが、ここは思いっきり演じようと思います! “こんなの喋ったことないぞ”と思っていますが、日常生活でも試してみています。どうやったらしっくりくるかなって」

石渡「よくないです、あれを試すのは(笑)」

亀谷「やばい(笑)」

杉浦「今までにない役なのですごく楽しみです(笑)」

―――わかばやしさんは初演時に稽古などをご覧になったということですが、この作品のどこに魅力を感じていますか?

わかばやし「私自身、スピリチュアルなことが大好きなんです。この作品に登場する十二支には『一度しか嘘をつけない』というルールがあり、嘘をついた動物を見つけないと元いた場所に戻れない。さらに、十二支の動物たちも元々は現実世界で生きていたかもしれない。パラレルワールドに近い世界と十二支を組み合わせているのがすごく魅力的で、ファンタジーの中に『嘘は1回だけ』というルールを作ったのが秀逸だなと思っています。
 嘘をついたモノを見つけるのが真修くん演じる洋平のミッションで、彼がこの世界に来てしまった理由も作中で描かれますが、それが杉浦さんも関わる現実世界のある出来事とリンクしていく。最後に謎解き要素もあって、ストーリーの軸がしっかりしています。この3名が演じる役はもちろん、周りを取り囲む十二支にもちゃんと役割があり個性豊かで、物語も2時間くらいにぎゅっとまとまっている。すごく面白いと感じました。その作品を自分なりに料理できるということで、初演とはまた違う観点で作っていきたいなと思っています」

―――初演の時は歌あり、ダンスありだったということですが、今回はどうなるんでしょう。

わかばやし「今回もその要素は入れたいと思っています。物語のキーパーソンであるこの3名は先にオファーし、他にはハルベリーオフィスの役者さん、オーディションで決まったキャストもいます。役付きは人数が限られてしまいますが、魅力的な方々が集まってくださったのでアンサンブルという形でオファーした方もいるんです。だからド派手にしたいなと思っています」

亀谷「踊るんですか? 踊れません!」

石渡「心の準備をしておこう」

わかばやし「亀谷さんは『ポップしなないで』というバンドもなさっているので、曲も作っていただこうと思っていて」

亀谷「でも踊れません。助けてください……」

わかばやし「曲は凝ろうと思っているんですが、踊りはすごく拒否されたのでどうしよう(笑)」

亀谷「なんでも頑張りますけど、下手だってことを伝えておきたくて(笑)」

石渡「歌と踊りが似合う作品ではありますよね。向こうの世界に行ったときとか、オープニングみたいな感じで」

亀谷「十二支が踊ってたら可愛いですよね」

石渡「絶対可愛い」

わかばやし「もちろん杉浦さんも」

杉浦「えっ!? 踊らない方がよくないですか?」

亀谷「高圧的なのに踊ってたら可愛いかも!(笑)」

杉浦「僕、下手ですよ!?」

わかばやし「まだ構想だけなので、完成したらすごく真面目な作品になっている可能性もあります(笑)。現時点では入れたいなと企んでいます」

―――亀谷さんは音楽にもクレジットされています。どんな曲を作ろうか考えていらっしゃいますか?

亀谷「一緒にやっているメンバーと2人で作ろうと思っています。まだ細かい打ち合わせをできていないんですが、私たちのバンドはクセのある曲が多いです。テーマソングみたいなものになるのかな、みんなが歌ってくれるのかなと勝手に想像しています。
 歌いやすいけど耳に残って、終演後に観た方が口ずさんで帰ってくれるような曲になったら嬉しいですし、曲を聴いた時に舞台のことをみんなが思い出してくれるようなものになったらと思っています」

―――顔合わせ前ということではありますが、見どころになりそうな部分、楽しみなことを教えてください。

石渡「ビジュアルがどうなるのかすごく楽しみです。十二支のみんなは人になるのか動物なのか。めぐみさんの頭の中にはどんなビジュアルがあるのかなって」

わかばやし「衣装さんとは話をしていて、モチーフはわかるようにしつつ動物すぎる見た目にはしたくないと思っています。
 元々人間だった彼らが死後に干支の役割を与えられてそれぞれの担当する場所を守っているというストーリー。申ならテーマカラーとして茶色を入れるとか、色味としては活かそうと思っています。現実世界に生きている洋平さんや康介さんはスマートに見せていこうという話をしています」

亀谷「私は美術も楽しみです。現実世界と十二支の世界を行き来するので、演出を含めてどう見せていくんだろうって。舞台の使い方も変わってくるかと思いますが、台本を読んだだけではうまく想像できない。
 美術の竹邊奈津子さんとも何度かご一緒させていただいていて、毎回素敵な美術を手がけられています。今回はどんな美術のマジックを見せてくださるかワクワクしています」

杉浦「冒頭は石渡さんと僕の結構シリアスなシーンで始まります。そこでビシッと決めてから転換があって十二支の世界に入ったら物語が引き締まると思います。そこをまずは乗り越えたいですね」

石渡「最初と最後は兄弟のシーンですもんね」

わかばやし「物語が進むにつれて2人の関係性がわかっていくし」

杉浦「最初に台本を読んだ時は『誰が嘘をついているんだろう?』ってわからなくて、ラストで衝撃を受けたというか。スッキリして帰れるんじゃないかと」

―――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

杉浦「新しい杉浦大毅を観ていただけると思います。ドSな僕を観ていただけたら(笑)」

亀谷「私は最近、音楽活動がメインになっていて、舞台に立つのはすごく久しぶりです。お話をいただいた時から楽しみにしていて、めぐみさんに『命懸けでやります』と言ってしまいました(笑)。命をかけて挑むので皆さんにもそれを目撃してほしいですし、石渡さんと杉浦さんもきっと命懸けでやってくださると思います。本当にいい舞台になると思うので、ぜひ足を運んでください」

石渡「物語の主軸になる、すごく人間らしい人物を演じます。僕としてはそういう役が結構久しぶりなので、めちゃくちゃ楽しみです。
 めぐみさんがどんな世界を作ってどう演出されるかも楽しみですし、ファンの方が大好きなテイストの物語だと思いますから、期待して足を運んでいただけたら。もしかしたら歌とダンスもあるかもしれません。キャスト全員で力を合わせて頑張りたいと思います」

わかばやし「再演ですが、また新しい作品として見せたいと思っています。本当に魅力的なキャストの皆さんが集まってくださって、15名ほどの大所帯になります。一人ひとりのキャラが立って生き様を見せられるような作品になるよう、命をかけて演出をさせてもらおうと思っています。
2024年の初演出が楽しみで仕方ないです。ファンタジーの中にも人の優しさや愛情深さが描かれている作品ですから、観に来ていただけたら嬉しいです」

(取材・文&撮影:吉田沙奈)

プロフィール

わかばやしめぐみ
現在所属する「おぼんろ」では、2011年の第7回本公演より全公演に参加。5人の出演者で4,000人超の観客動員を誇る大人気劇団の看板女優として活躍し、外部客演舞台も多数。演出家・演技講師としても活動している。演出作品として、ハルベリーオフィス特別公演『箱の中身2016』、ナイスコンプレックスプロデュース#4『えんとつ町のプぺル』、舞台『花火の陰』、『forever for ever ~太陽とつばさ~』など。

亀谷理子(かめがい・あやこ)
声優・女優・ミュージシャン。声優として、アニメ『僕のヒーローアカデミア』少年役、『若おかみは小学生!』向坂真由桂役、スマートフォンゲーム『ポケモンマスターズ』ラン役などに出演。2023年2月にメジャーデビューを果たしたバンド「ポップしなないで」のキーボードボーカルも務めている。

石渡真修(いしわたり・ましゅう)
2012年~2014年、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンにて、7代目青学桃城武役を務めた。近年の代表作に、『錆色のアーマ』シリーズ 藤白役、ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』シリーズ 東北新幹線役などがある。

杉浦大毅(すぎうら・だいき)
タレント・俳優。お笑いコンビ「ブリリアン」を解散後、俳優として活動中。映画『KATACHI』、ドラマ『おっさんずラブ -in the sky-』、『これは経費で落ちません!』などに出演。趣味のポーカーはプロ級の腕前である。

公演情報

ハルベリーオフィス設立10周年記念公演 第1弾
『輪廻転生∞楽園ダイバー』

日:2024年3月13日(水)~17日(日)
場:新宿シアタートップス
料:一般6,000円
  学割4,000円 ※要学生証提示
  (全席指定・税込)
HP:https://twitter.com/HaruberryOffice
問:ハルベリーオフィス
  tel:070-5519-1555(平日12:00~18:00)

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