直木賞作家・奥田英朗の小説を舞台化 「一人前の男になりたい」と願ったヒットマン 決行までの3日間を描く物語 

直木賞作家・奥田英朗の小説を舞台化 「一人前の男になりたい」と願ったヒットマン 決行までの3日間を描く物語 

 2014年に初舞台化、2018年には野村周平主演で映画化し、監督を務めた“STRAYDOG”主宰の森岡利行が、直木賞作家・奥田英朗 原作の『純平、考え直せ』を自ら舞台化する。
 主演を務めるのは、本作が舞台初主演となる長谷川幹。ヒロイン・加奈を2023年にNMB48を卒業した本郷柚巴が演じる。長谷川と本郷に公演への意気込みを聞いた。

―――原作、または映画や舞台初演をご覧になった感想を教えてください。

長谷川「初めて映画を観た時から、純平役をやりたいと思ってました。それで、ずっと『やりたいです! やりたいです!』って(笑)」

―――そうすると、念願の役どころなんですね。

長谷川「そうです」

―――純平を演じてみたいと思ったのは、どんなところに惹かれたからなのですか?

長谷川「僕と似ているところがあるんですよ。僕もあまり真面目に生きてきた人間ではないので、純平のような男が好きで、それでやってみたいなと」

―――なるほど。本郷さんはいかがでしたか?

本郷「私は、今まで観たことがないタイプの映画だったので、いい意味で、今どきじゃないところが面白いなと思いました。昔はこういうこともあったんだとか、こういう言葉もあったんだというのを知る機会にもなりました。
 なので、お話をいただいたときは、新しいことにチャレンジできると思いましたし、ぜひやらせていただきたいと思いました」

―――長谷川さんは、純平のどんなところに共感できますか?

長谷川「僕は男として誰にも負けたくないと常々思っていて、この業界でももちろんそれ以外でも、誰にも負けたくない。なので、そういう生き方をしている純平には共感できますし、自分にぴったりな役だと思います」

―――本郷さんは、加奈という役柄について、どう感じていますか?

本郷「私はのほほんとしているタイプなので、加奈とは違うところも多いと思います。なので、今回、お話をいただいたときは、嬉しさもありつつ、不安もありました。ですが、選んでいただいたからには全力で取り組みたいなと思ってます」

―――演じる上では、どんなところを意識したいですか?

本郷「私自身、舞台経験があまりないので、どう演じようかということはまだ分からないというのが正直なところです。今から緊張していて、周りの方についていけるのかなと不安もたくさんあるのですが、みんなと一緒に1つのもの作り上げるというのがすごく好きなので、一丸となって稽古を頑張って、素晴らしい本番を迎えられたらと思ってます」

長谷川「純平は強い男を目指している男の子なので、弱々しい部分は見せないように、リアルな不良になりきっていきたいと思います。本当はこの人は悪くないんだろうなと思われないような芝居をしたいと思っています」

―――長谷川さんは、今回、舞台初主演です。初主演に向けての意気込みを聞かせてください。

長谷川「僕の出演が決まる前に、本郷さんがヒロインを演じることは決まっていて、僕が出演する別舞台の稽古場に一度来ていただいた時に、芝居稽古を一緒にやらせてもらったことがあるんですよ。その時に、『僕を主演にするように演出の森岡さんに言ってください』とこっそりお願いしたんです(笑)。だから今、こうして主演になれているのかは分かりませんが(笑)、ずっとやりたいと思っていた役柄なので、気合いはバッチリです」

―――本郷さんは、グループを卒業して新たなステージに向かって一歩足を踏み出したところだと思いますが、そうした中で、この作品に出演することに対して、改めてどのような思いがありますか?

本郷「本当に私でいいのかなという不安がすごくあります。(長谷川が)仰っていたように、一度、(森岡)監督に演技を見ていただくために稽古場に行かせていただいたことがあって、その時に(長谷川が)純平役をしてくださったんですが、すごくやりやすかったんですよ。慣れていらっしゃって」

長谷川「本当ですか!?」

本郷「はい。なので、純平をやりたいというお話を聞いた時ももし、一緒に作品を作って行って、本番を迎えたらどうなるんだろうとワクワク感がありました」

―――では、その時に感じたお互いの印象や共演で楽しみにしていることを教えてください。

本郷「私は21歳の年なので、(長谷川は)1学年上なのですが、リードしてくれる人だなと思いました。演技で分からないことがたくさんありますが、一緒に練習させていただいている時も『こうした方がいいんじゃない?』とか、『これを用意しよう』とかたくさん教えてくださるので、とてもありがたく思っています」

―――長谷川さんから見た本郷さんはいかがですか?

長谷川「アイドルで活躍されていたと聞いてたので、僕が相手でいいのかなと。ですが、きっと大丈夫、自信があります(笑)」

―――本郷さんは、元々、お芝居や舞台に興味はあったのですか?

本郷「はい、ありました。グループにいた時にも1度だけ舞台に出させていただいたことがあって、その時に演じるって楽しいと感じたので、グループを卒業してもまた舞台に出られたらいいなという思いはずっとありました。なので、出演できてすごく嬉しいです」

―――ところで、森岡さんの演出はどんな演出なのですか?

長谷川「テンポが良くて、迫力がある作品が多いと思います。“STRAYDOG”の舞台は、カーテンコールの時に『この舞台、一瞬だったな。迫力がすごかったな』と思っていただけるのが魅力だと思います。
 (2023年に上演された)『嫌われ松子の一生』では、舞台にプールを使って、そこに雨が降るセットがあったんですよ。その場面で僕がワーっと暴れさせてもらったんですが、水をバシャバシャ使ってお芝居をしていたら、『やりすぎです』と言う意見の方がいて。そうしたら、森岡さんが『ここにいるやつは全員、演劇人なんだから、役者が思い切りやることに対して制限をかけるな』と仰っていて、僕、この人のところで役者をやれて幸せだなと思いました」

―――本郷さんは、“STRAYDOG”の公演は何かご覧になっていますか?

本郷「『嫌われ松子の一生』を観させていただきました。ダブルキャストで2チームあったのですが、2回とも涙が止まらなくなってしまって。魂を込めて演じるというのは、こういうことなんだなというのを感じた舞台だったので、私も今回一緒に演じさせていただけるのがすごく嬉しいです」

―――では、改めて今作の見どころを教えてください。

本郷「加奈がネットの掲示板に色々と書き込むことで物語が動いていくのですが、今の時代だったらSNSがあるけれども、この時代は掲示板なんだというのがある意味で新鮮でした。なので、そうした一昔前のことも学べたりするので、そこも見ていただけたらと思います」

長谷川「“STRAYDOG”の舞台は歌とダンスが見どころの1つですし、僕が好きなところです。今回もかっこいいダンスをかっこいい音楽で派手に踊ると思うので、ぜひ楽しんでいただきたいと思います」

―――最後に、公演に向けての意気込みとファンの方にメッセージをお願いします。

本郷「グループを卒業して初の舞台出演で、至らない部分もたくさんあると思いますが、精一杯、加奈を演じさせていただきますので、よろしくお願いします!」

長谷川「僕も初主演ということで、かなり気合いが入っています。舞台に行く時は、本当に面白いのかなと思いながらもチケットを取ることがあると思いますが、この作品は気軽に観にきていただけたら、必ず楽しませる自信があります。ぜひ劇場でお待ちしております」

(取材・文&撮影:嶋田真己)

プロフィール

長谷川 幹(はせがわ みき)
2002年1月20日生まれ、東京都出身。2022年の舞台『海街diary』(原作:吉田秋生)や、『絶叫』(原作:葉真中顕)など、人気原作の舞台化にメインキャストとして出演。2023年の『嫌われ松子の一生』(原作:山田宗樹)では、主人公の甥である川尻笙役を好演。本作で舞台初主演となる。

本郷柚巴(ほんごう ゆずは)
2003年1月12日生まれ、大阪府出身。2015年にNMB48に加入し、選抜メンバーとして活躍。20歳を迎えた今年、新たなステージへと進むため、惜しまれつつもNMB48を卒業した。グラビアでも人気を博し、週刊プレイボーイや週刊ヤングマガジンなど数々の媒体で表紙を飾っている。

公演情報

“STRAYDOG” Produce『純平、考え直せ』

日:2024年2月21日(水)~25日(日)
場:新宿シアタートップス
料:一般6,000円 高校生以下3,000円 Age21割引3,000円(全席指定・税込)
HP:https://www.straydog.info/2024junpei
問:STRAYDOG PROMOTION mail:s-pro@straydog.info(平日11:00〜18:00)

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